Construction column
現場施工管理補助業務とは?施工管理と現場監督の違いや仕事内容を解説
2023.12.18
現場施工管理補助業務とは、どのような仕事なのでしょうか?
この記事では、建設現場における現場施工管理補助業務の役割や、施工管理と現場監督の違いなどを解説します。
現場施工管理補助業務は、プロジェクトのスムーズな進行をサポートする重要な役割を果たします。施工管理者と連携し、予算とスケジュールの管理、安全確保、品質管理など、幅広い業務を担います。これらの業務を通じて、建設プロジェクトが成功に導かれるための裏側を探り、現場施工管理補助業務の重要性とやりがいについてもご紹介します。
目次
施工管理補助業務の役割
施工管理業務は広範に渡るため業務量が多く、現場を任される責任者の負担も大きくなります。
負担が大きくなることで、施工管理業務に不備が出てしまうと、工期の遅れや予算オーバー、安全管理が疎かになれば、事故が発生する可能性もあるでしょう。
そこで、工事現場の責任者の負担を軽くし、工事現場がうまく回るように施工管理業務の補助を行うのが施工管理補助業務です。
簡単に言えば、施工管理業務のサポートを行うということになりますが、重要な業務と言えるでしょう。
施工管理補助業務の内容は、各企業によって異なりますが、「現場での仕事」と「デスクワーク」に大別されます。
現場での仕事
施工管理補助業務の担当者は、施工管理者と共に工事現場へ出向き、施工管理者の指示を受けて業務を行います。
施工管理補助業務担当者が行う仕事は、あくまでも施工管理者の補助となるため、責任のある仕事は任されないことが多いようです。
そのため、一般的に現場における仕事としては、工事現場の清掃作業や現場写真の撮影、工具や資材の準備などが業務となります。
一見すれば、地味ですがどれも重要な作業です。清掃作業は、工事現場内を綺麗にすることが目的ですが、綺麗にしておくことで、構造物への傷や汚れを防ぐことができます。
また、清掃作業を徹底することで、落ちている釘などで発生する怪我を防止するなど、安全管理にもつながります。
このように工事現場での施工管理補助業務は、とても地味な業務です。しかし、施工管理者の業務軽減を図るだけでなく、現場で働く作業員の安全を守る重要な役割も果たすことになります。
デスクワーク
施工管理者の主な業務には、書類作成業務も含まれます。工事管理のための工程表はもちろん、会議用に資料を作成や、書類整理なども行わなくてはいけません。
このようなデスクワークが多いことも、施工管理者の業務量を多くしてしまっている要因です。
そこで、施工管理補助業務の担当者は、施工管理者が抱えるデスクワークを業務として行うことがあります。
例えば、書類作成や、会議用資料を作成することで、施工管理者は工事全体の管理に力を入れることができます。
また、道路を使用するための許可申請書を作成し、行政機関へ提出するなどの業務も任され場合もあるようです。道路使用許可を忘れていると、工事の日程が遅れるなど、さまざまな弊害が出ることもあるため、許可申請の業務は重要と言えるでしょう。
施工管理者の業務は、現場だけではなく、打ち合わせや会議、書類作成などのデスクワークにまでおよびます。
このような負担を取り除き、工事管理に集中してもらうことで、工事の品質も確保されます。
施工管理補助業務は、施工管理のサポートという考え方もできますが、施工管理を確実に行っていくために必要な大切な業務だということができるでしょう。
施工管理業務とは
施工管理業務とは、工事がスケジュール通りに進むよう、工事現場において工事全体の管理を行う業務です。
工事スケジュールの管理や予算の管理、事故が起きないようにするための安全管理など、工事全体をまとめて進捗させる業務を担っています。
施工管理業務について、具体的に見ていきましょう。
まず、あげられるのは工程管理です。工程表を作成し、作業の進め方はもちろん、人員の人数や配置、重機の手配などを管理し、工期を守る重要な業務です。工期に遅れが発生すれば、工程表を作成し直し、工期内に工事を完成させられように調整します。
次に、安全管理があげられます。現場において、事故が発生しないよう安全に配慮する業務です。安全確保のための設備の用意はもちろん、作業員への安全教育も重要な業務です。また、危険な場所への看板設置、現場の立ち入り制限なども行います。
原価管理も施工管理業務の一つです。工事現場でかかる費用を算出し、予算オーバーにならないように管理します。予算と進捗状況によって発生する経費を把握・管理し、予算との差異がある場合には、計画や工程の改善をして適正な費用と利益を確保することが目的です。
工事に使用する材料の品質が、設計図書や仕様書通りの規格を満たしているかを管理する、品質管理も重要な業務です。構造物の強度不足や歪み、工法のミス見落としがないかをチェックします。また、完成品の強度などが、基準や規定を満たしているかを確認するのも重要です。
施工管理と現場監督の違いについて
施工管理と現場監督の仕事は、共に建設現場の作業進行を管理・監督することです。しかし、その役割には微妙な違いがあります。
施工管理職は、工事現場の総合的な管理者としての役割を果たします。彼らはプロジェクト全体の進行を監督し、工期を計画通りに進めるために必要なスケジュール管理を行います。また、資材や建材の調達、作業員の配置など、現場の効率的かつ安全な運営に必要なさまざまな調整業務を担当します。安全管理にも特に注意を払い、労働者の健康と安全を守ることが求められる職務です。
一方で、現場監督は施工管理職とは異なり、より現場に密接に関わる業務を担います。施工管理がデスクワーク中心の事務方であるのに対し、現場監督は実際の建設作業の監視や指示を行います。彼らは現場作業の安全性や品質を直接管理し、問題が発生した場合には迅速な対応を行います。
企業によっては、施工管理が主に計画や調整を担当し、現場監督がその計画を具現化する役割を担うという分業が行われている場合もあります。
令和3年4月より始まった新制度「技士補」
令和3年4月1日より、日本の建設業界において重要な変更が導入されました。これは、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の一部を改正することにより、「技士補」という新たな資格制度が施行されたことによります。
この新制度の導入により、「技士補」という資格が新設されました。この資格の目立った特徴は、従来の制度において、1級施工管理技士試験に合格し、その後に監理技術者講習を受講して監理技術者となる必要があった工事現場において、技士補を専任の技術者として配置することが可能になった点です。これにより、一人の監理技術者が複数の工事現場を兼任できるようになります。
この変更は、建設現場での「技術者の不足」という長年の課題に対する解決策として期待されています。技士補は、必要な技術力と知識を持ちながらも、監理技術者としての全ての資格を持たない技術者に、より多くの機会を提供します。また、これにより監理技術者の負担が軽減され、効率的なプロジェクト管理が可能になることが期待されています。
この制度の導入は、建設業界における技術者不足の問題に対する一つの解決策であり、技術者のキャリアパスに新たな道を開くものです。技士補としての経験を積むことで、将来的には監理技術者へのステップアップも見込めるため、業界全体の発展に貢献する可能性を秘めています。
詳しくはこちらの記事もチェック:令和6年改正!施工管理技士受験資格の最新情報
施工管理補助は施工管理者へのステップアップ
施工管理の求人の際、未経験者や経験の浅い求職者に対して、施工管理補助からスタートという会社は少なくありません。
その理由としては、まず建設業界の人材不足があげられます。そのため、施工管理者の数も少なくなったことで一層、業務の負担は増しています。
そこで、未経験または経験の浅い求職者に対しては、施工管理補助業務で採用し、現場で施工管理業務のサポートを経験させることで将来的に施工管理者として育てていこうという考えがあるものと思われます。
施工管理補助業務は、施工管理者と共に仕事をすることで、工期や予算はもちろん、人員調整や安全管理など、施工管理業務の重要性を学ぶことが可能です。
土木施工管理技士の資格取得や現場監督として独り立ちを目指したい人はぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
施工管理補助業務は、施工管理業務をサポートすることで、施工管理者の業務負担軽減に貢献する重要な業務です。
それは、施工管理者の業務負担が軽減されることで、専門的な職務に専念することができるようになり、工事全体の品質を保つことが可能になります。
補助という名称になってはいますが、施工管理補助業務も施工管理業務には欠かせない仕事であることに間違いはないでしょう。
このように、工事全体の管理を行い、工事自体の品質を確保し、人々が安心・安全に暮らせる構造物を造る仕事に携わってみたいと考えている方は、「発注者支援業務」もおすすめです。
発注者支援業務は、国や都道府県などの自治体や、官公庁が発注する公共事業の発注業務をサポートする仕事です。
公務員と同じような年間休日や勤務時間など職場環境も整っており、安定的な仕事であることも魅力のひとつでしょう。
国民の生活を支えるインフラ整備に関われる「発注者支援業務」の仕事も、ぜひ視野に入れてみてください。