Construction column
1級土木施工管理技士は転職活動に有利?資格を活かして収入アップを狙おう
2023.1.17
建設業界で働いている人・その業界への就職を目指している人であれば「土木施工管理技士」という言葉を見聞きしたことがある人は多いのではないでしょうか。
この記事では既に土木施工管理技士の資格を持っていて、今後の転職活動に活かしたいと思っている人向けに、1級と2級の違いやどのような職に転職できるのかをご紹介していきます。
目次
土木施工管理技士とは?1級・2級の違い
土木施工管理技士とは、土木工事現場の施工管理を行うための国家資格です。公共の工事をメインに近年では自然災害時の復旧工事なども行っており、私たちの生活基盤を支えてくれる職業です。
建設業界で働くのであれば持っていて損はない資格。ここでは土木施工管理技士の1級と2級の違いについて説明していきます。
仕事内容や収入が異なってくる
2級:各作業の工程の責任を追う「主任技術者」
請負総額4000万円以下の工事現場に配置される
1級:現場全体を指揮する「監理技術者」
請負総額4000万円以上の工事現場に配置される
元請け・下請け関係なく全ての工事現場では、法律によって施工管理技士を配置することが定められており、請負総額の値段によって上記のように配置されます。
この全ての現場で配置されるのが「主任技術者」ですが、請負総額4000万円以上の大きな規模での現場においては更にレベルアップした「監理技術者」を配置する必要があります。
1級土木施工管理技士を持っていることで、「主任技術者」または「監理技術者」としてより多くの土木工事現場で活躍することができるので、昇給しやすいといったメリットがあります。
需要や求人に関わってくる
建設業界が営業するにおいて、最も重要なのが公共工事の入札。この公共工事の入札において、落札企業を決定する評価の中に「技術評価点」と呼ばれる「経営事項審査」があります。
この審査において、1級土木施工管理技士1人につき5点、2級土木施工管理技士1人につき2点が付与されるルールとなっているため、資格を保有している従業員が多いほど、会社にとっても有利になります。
その為、就職や転職活動においても、土木施工管理技士の資格を持っている人、その中でも1級を持っている人が、優先される傾向があります。
試験内容
土木施工管理技士の試験を受験するにあたって、試験内容はもちろん、下記の図のように必要な実務年数も異なってきます。
基本的には2級を取得後、働きながら実務年数を増やして1級を受けるという流れが多いです。
最初から2級を目指すことも出来ますが、2級を取得することで、1級受験に必要な実務年数が減るので、結果としては獲得するまでの時間短縮に繋がります。
https://www.sat-co.info/blog/dobokusekoukanri200003/#_12
1級土木施工管理技士を持っていることでどんな職につけるのか
ここまでの説明で1級土木施工管理技士を持っていることで収入アップ・転職活動においても有利になることが分かりました。それでは実際、この資格を持っていることでどのような職につけるのかをご紹介します。
ディベロッパー
企画・開発に必要な土地を取得し、その土地で開発事業を行うのがディベロッパー。主に街の再開発や商業施設開発、マンション開発などを頻繁に扱います。企画を行う担当者になるので、工事現場で働くような仕事とは大きく異なりますが、待遇が施工管理技術者よりも優れていることが多いので、年収アップが期待できる職です。
公務員(技術者採用)
土木施工管理技士として公務員になった場合、都市計画に基づいて、自治体が管理している道路や河川などの整備・管理が主な業務となってきます。
公務員なので職としても安定し、1年を通して仕事内容が決まっていることが多いためノルマや繁忙期に追われる、といったこともめったにない職です。
発注者支援業務
官公庁が発注する公共工事の発注業務をサポートする発注者支援業務。主に資料作成や品質管理、現場調査などの補助業務がメインとなりますが、高い専門知識やスキルが求められる職でもあります。またダムやトンネルなどの大規模なプロジェクトに関わることができます。
大手ゼネコン
会社としても優秀な人材・即戦力となる1級土木施工管理技士を持っていることで、地方や中小の企業から大手ゼネコンに転職できる可能性も少なくありません。
今後更に年収アップやスキルアップをしたいと考えている場合には、今の会社で実績を積んでおくことで転職活動をする際にもアピールできるでしょう。
発注者支援業務とは?
ここでは上記で記載した「発注者支援業務」について更に詳しく見ていきましょう。
先ほども説明したように、官公庁が発注する公共工事の発注業務をサポートする発注者支援業務の仕事は、かつては公務員である技術職員が行っていました。しかし、震災などの自然災害の復興や老朽化したインフラの整備などの業務量が年々増え、技術職員の負担が増えたことから「発注者支援業務」が誕生しました。
発注者支援業務は、建設コンサルタント業務と似たような職ではありますが、この2つの職は業務をする際の「立場」に下記のような違いがあります。
発注者支援業務:発注者の立場
建設コンサルタント業務:国と国民の中立的な立場
発注者支援業務は、国や行政の立場で業務を行いますが、建設コンサルタントは、事前調査や社会資本の設計などを行ってクライアントである国に提案するのが業務ですので、ここに「立場」の違いが生じます。
主な仕事内容
発注者支援業務の仕事内容は発注者によって多少異なってきますが、主な仕事に以下のような業務があります。
・資料作成
事業計画立案に関する資料や、公共工事をする際に行う地元説明会で使用する資料の作成など。
・契約の発注
発注者の補佐として、現場調査・近隣住民や土地保有者との協議を行い建設予定地を確保。
・品質・施工管理
施工の進歩に合わせながら、品質・工程・原価・安全管理を並行して行う。
デスクワークが多い印象ですが、現場監督と発注者の両者のコミュニケーションが円滑出来るようサポートしたり、施工が指示通りに進んでいない時に作業の改善を提案するなどのスキルが求められます。
作業1つ1つがスムーズに行えるように陰ながらサポートするのが発注者支援業務ですので、今までの工事現場での経験が生かせる仕事でもあります。
得られるメリット
それでは、発注者支援業務に就くことでどんなメリットが得られるのかご紹介します。
・土日休みがある
発注者支援業務は、官公庁の職員と一緒に働く仕事ですので、土日や休日に出勤するということがほとんどありません。
祝日や週末関係なく動いている工事現場と比較すると、休みの確保がしやすいといったメリットがあります。
・「発注する側」の立場が経験できる
発注者支援業務は「発注する側」ですので、今までの「発注される側」である工事現場とでは異なった視点で業務に携わることができます。
工事現場を知っている身だからこそ気付く点もあり、より業務がスムーズに進むように上手く管理するスキルを身に付けることもできます。
・大規模なプロジェクトに参加できる
官公庁が発注する事業には、ダム・トンネル・災害復興・高速道路など大規模なプロジェクトが多く存在します。このような事業に関わることで、技術者としての実績作りやスキルアップに繋がり、更にはやりがいや達成感を感じることもできます。
・年収アップがしやすい
発注者支援業務は、契約の受注から工事完了まで管理する中で、自然とあらゆるスキルが身に付けやすい職でもあります。要求される仕事のレベルや、携わる業務が増えることで年収がアップする可能性も十分にあります。
まとめ
いかがでしたか?1級土木施工管理技士の試験は決して簡単な内容ではありませんが、獲得することで今後も長く、あらゆる形で建設業界に携わることができます。
今すぐの転職を考えていなくても、今の職場で年収アップが期待できたり、ご自身のキャリアアップにも繋がってきますので、ぜひ1級獲得を目指してくださいね。