建設業の週休2日の実態とは?働きやすい環境を実現するためにやるべきこと
建設業といえば「3K」という言葉を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
旧3Kは「きつい」「きたない」「きけん」というネガティブなイメージがありましたが、現在は新3Kである「給与」「休暇」「希望」という言葉があります。
新3Kを実現するためにも、現在週休2日の導入が進められています。
そこで今回の記事では、建設業の週休2日の実態について詳しく解説していきます。働きやすい環境を実現するためにやるべきことについてもチェックしてみてください。
目次
建設業の週休2日は進んでいる
建設業では、国土交通省の工事を中心に週休2日が進められています。それでは、実際にどれくらい週休2日が進められているのかをみていきましょう。
一般社団法人 日本建設業連合会の「週休二日実現行動計画2022年度上半期フォローアップ報告書 2022年12月」によると、4週8閉所以上の事務所は増加しています。
2018年度は全体の23.6%、2020年度は全体の37.9%が4週8閉所以上を達成しているのです。
さらに、2020年度には全体の45.2%が4週8閉所以上を達成していることから、週休2日を導入している事務所は徐々に増えてきているとわかります。
また「週休二日実現行動計画 2017年12月」では、週休二日を実現するための具体的な行動計画を策定しています。
各年度ごとに行動計画が定められており、2019年度末までに4週6閉所以上、2021年度末までに4週8閉所以上を実現させるために取り組みを進めてきました。
さらに、2024年度末までに4週8閉所を達成すること、土日の閉所にこだわらず年間104閉所の実現を目指すことを掲げています。
建設業といえば、技能者だけではなく技術者も「高齢化」「人手不足」が大きな課題です。
週休2日に関する具体的な取り組みを進めていない企業は、新たな担い手を確保するためにもいち早く週休2日に向けて行動する必要があります。
週休2日が導入されることで、旧3Kである「きつい」「きたない」「きけん」というイメージが払拭され、新3Kの「給与」「休暇」「希望」が実現されるのではないでしょうか。
週休2日の導入により「建設業は働きやすい」といったイメージを持ってもらえるため、建設業全体のイメージアップにもつながるといえます。
一般社団法人 日本建設業連合会|週休二日実現行動計画2022年度上半期フォローアップ報告書2022年12月
一般社団法人 日本建設業連合会|週休二日実現行動計画 2017年12月
週休2日が導入されていない理由
週休2日についての取り組みが進められている一方で、中には週休2日を導入していない企業もあるのです。なぜ、週休2日が導入されていないのでしょうか。
ここからは、週休2日が導入されていない理由について解説していきます。
民間工事では難しい
公共工事では週休2日を実現している現場は多いですが、民間工事では土曜日や祝日は仕事という現場もあります。
公共工事に比べて民間工事では週休2日が進められていないのです。
民間工事の場合、工程より遅れて工事が開始されることが多いです。そのため、工程の遅れを取り戻さなければならず週休2日を実現するのは難しいといわれています。
また、受注者側で週休2日についての取り組みを進めていても、発注者の理解が進んでいないこともあります。
民間工事でも週休2日を進めていくためには、発注者と受注者の相互理解と協力が重要です。
技能者の給与が減ってしまう
週休2日が導入されることによる課題もあります。
技能者の6割以上が日給制といわれていますが、週休2日が導入されることで日給制で仕事をする技能者の給与が減ってしまうのです。
日給制の場合、仕事をした日数分だけ給与をもらえます。そのため、土曜日や祝日の仕事がなくなると、その分給与が減ってしまうのです。
週休2日が導入された場合、考労務単価の引き上げや給与減少分の補填なども考慮する必要があります。
機材のリース料金が高くなる
週休2日を実施する場合、機材や足場材などの仮設材のリース料金が高くなる可能性があります。
そのため、週休2日を導入する場合は積算時に適切にリース料金を算出しなければなりません。
たとえば、一般社団法人 日本建設業連合会の「週休二日実現行動計画 2017年12月」でも、週休2日を導入した場合の費用について記載があります。
週休二日をふまえた工期設定を行なった場合、請負代金に「直接工事費」「間接工事費」などを反映しなければならないのです。
直接工事費とは労務費や機械損料で、間接工事費とは共通仮設費や現場管理費等をさします。
工事請負業者は、費用について発注者に丁寧に説明し、発注者の理解を得る必要があります。
一般社団法人 日本建設業連合会|週休二日実現行動計画 2017年12月
建設業の週休2日に向けた取り組み
それでは、建設業では週休2日に向けて具体的にどのような取り組みを進めているのでしょうか。ここからは、建設業の週休2日に向けた取り組みについて解説していきます。
工期設定システムの導入
国土交通省では、週休2日を考慮した工期設定を自動で行える「工期設定システム」を導入しています。
工期設定システムを活用することで、歩掛かりごとの標準的な作業日数を算出できたり、作業手順を算出できたりします。
また、雨休率や準備・後片付け期間も設定でき、さらに工期日数の妥当性をチェックまでできるようになるのです。
工期設定システムは、国土交通省発注の工事において平成29年から維持工事を除くすべての工事で原則適用しています。
週休2日を考慮した工事費の補正
週休2日をふまえた工期設定を行なった場合は、請負代金に「直接工事費」「間接工事費」などを反映しなければなりません。
国土交通省の「週休2日の取り組み」によると、工期日数の延長にかかる経費の補正をすると記載があります。
経費の補正は、共通仮設費を1.02倍、現場管理費を1.04倍補正することにしているのです。
週休2日を導入する場合は、適切な工事費を算出する必要があります。
ICTを活用した工事
調査・設計から施工、さらに検査や維持管理までICTを活用することで生産性向上を進めています。
たとえば、ドローン等を利用することで3次元測量を行ったデータから施工量を算出できるようになります。
また、実際の現場ではICT建設機械により施工を進められるのです。
さらに、ドローンを利用して検査を行うことも可能となるため、広い現場では大きく活用できます。
ICT建設機械により業務を効率よく行えるようになるため、週休2日の実現も期待できるといえます。
建設業で週休2日の仕事がしたいなら
建設業で週休2日の仕事がしたい方は、採用情報の募集要項を確認し「週休2日」と記載がある企業を選びましょう。
ただし、会社全体で週休2日が基本となっていても、担当する現場によっては4週8休ではない場合もあるため注意が必要です。
募集要項では週休2日と記載があっても、現場に配属されたら土曜日も仕事だったという場合もあります。
そんな週休2日の会社で仕事を希望する方におすすめなのが発注者支援業務です。
発注者支援業務は発注者の勤務形態に準拠するため、土日祝が休日である場合がほとんどです。
特に、国土交通省など国の行政機関の工事を担当する場合は週休2日の取り組みが進められているため、働きやすい環境が整っています。
まとめ
今回の記事では、建設業の週休2日の実態と働きやすい環境を実現するためにやるべきことについて解説しました。
建設業では、国土交通省をはじめ週休2日の取り組みが進められています。
しかし、週休2日に向けて課題は残っている現場もあるため、すべての発注期間で週休2日が実施されるには時間がかかるといえるでしょう。
「週休2日の会社で仕事をしたい」とお悩みの方は、お早めに転職するのもおすすめです。
転職をお考えの際は、ぜひ発注者支援業務も選択肢の1つにしてみてくださいね。