Construction column
発注者支援業務を行う企業はどんなところがある?発注者支援業務を請け負っている代表的な企業6社を紹介します!
2023.8.31
公共事業に興味がある方は「発注者支援業務」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、発注者支援業務を行っている企業がどのような仕事をしているのかや、請け負っている企業はどんなところがあるのかについては知らないという方も多いかもしれません。
本コラムでは、発注者支援業務の内容を解説し、実際に発注者支援業務を行っている企業を5社紹介します。発注者支援業務に興味があり、仕事に携わってみたいと考えている方は参考にしてみてください。
目次
発注者支援業務の内容
発注者支援業務とは、国や地方公共団体、官公庁等が発注した公共工事において、発注者が行う業務を代わりに行うサポート業務のことを言います。
本来は発注者である官公庁の職員がその業務を担っていました。しかし、「官から民へ」という流れや官公庁職員の人手不足という状況を受け、東日本大震災後から需要が拡大しつつあります。
発注者支援業務の主な内容は以下の3つです。
- 建設工事における発注者支援業務
- 道路や河川、ダムの公物管理補助業務
- 用地補償総合技術業務
この中で発注者支援業務については、さらに以下のような内訳となります。
- 積算技術業務
- 工事監督支援業務
- 技術審査業務
発注者支援業務は、発注者からの委託を受け上記のような業務を行っているのです。
発注者支援業務を行っているのはどんな会社なのか
もともと公共工事に関する業務を行っていたのは公務員でした。しかし、国が推し進めていた「小さな政府」という考えのもと、行政機関をコンパクトにするために公務員の採用人数削減が行われるようになります。
公務員の数を減らすことで、「小さな政府」への転換は進みました。しかし、その頃はバブル前後の時代だったこともあり、工事量も多かったため、公共工事に関する業務に関わる公務員が少なくなるという事態に陥ったのです。
そこで、一部の業務を外部の専門業者に業務委託することになりました。これが発注者支援業務の始まりです。
現在、発注者支援業務を行っているのは「建設コンサルタント会社」と呼ばれる会社です。発注者支援業務は建設コンサルタント業務のひとつとして、建設コンサルタント事業に分類されています。
ただし、すべての建設コンサルタント会社が発注者支援業務を行っている訳ではありません。発注者支援業務は入札によって受注が決まるため、入札のための応募要件を満たさない建設コンサルタント会社は発注者支援業務を行うことはできません。
発注者支援業務を行っている企業6選
発注者支援事業を行っているのは、建設コンサルタント会社であることが分かりました。
ここからは、実際に発注者支援業務を行っている会社を紹介していきます。「発注者支援業務に携わってみたい」「建設コンサルタント会社への就職、転職を考えている」という方は参考にしてみて下さい。
株式会社ティーネットジャパン
株式会社ティーネットジャパンは、1976年創業の建設コンサルタント会社です。土木施工管理を中心に、調査・計画・積算・施工など公共事業に関するさまざまな工程に対応しています。
中心事業は「発注者支援事業」です。国土交通省を始めとする中央省庁はもちろん、地方公共団体や独立行政法人の発注する公共工事においては、工事監督支援業務や積算技術業務、技術資料作成業務、公物管理補助業務など幅広い業務を手掛けています。
株式会社ティーネットジャパンは、大規模なプロジェクトを始め、さまざまなプロジェクトに携われるのが魅力といえるでしょう。
日本振興株式会社
日本振興株式会社は1977年創業の建設コンサルタント会社です。創業以来、社会インフラ整備に携わり、施工管理を始め調査・設計・解析業務など幅広い業務を行っています。
中心事業は、公共事業などの調査・計画・設計・発注・工事・維持・管理の各段階における発注者支援事業です。
強みとしては、大規模インフラ整備だけでなく、災害復旧・復興事業など、100を超えるプロジェクトに参加し、計画から施工、維持管理まで様々な形で関わってきたことで得られた信頼感です。
現在では環境事業分野にも取り組んでおり、建設だけでなくSDGsに関する事業に取り組めるのが魅力といえるでしょう。
参照:日本振興株式会社
株式会社サンテックインターナショナル
株式会社サンテックインターナショナルは1965年創業の建設コンサルタント会社です。「建設技術をもって社会に貢献する」を基本理念として、地域開発を始め災害復旧、発展途上国への技術協力などに取り組んでいます。
発注者支援業務を始め、測量や調査事業、建築事業、開発申請・届出助業などを手掛けています。
株式会社サンテックインターナショナルの強みは創業以来、社会インフラの整備に携わってきた実績です。それに加え、災害対策や地球環境の汚染防止、保全対策等に取り組む姿勢が魅力といえます。
大成エンジニアリング株式会社
大成エンジニアリング株式会社は1971年創業の建設コンサルタント会社です。創業当初から発注者支援業務に携わり、高速道路を中心に社会インフラの整備に関する調査・計画・設計・施工管理を行っています。
強みは何と言っても、中心事業である発注者支援業務です。道路はもちろん、橋梁、トンネル、舗装、保全と幅広く発注者支援業務を請け負っています。発注者支援業務に関心がある方にとって魅力的な会社といえるでしょう。
また、新たに文化財調査事業も開始しており、学術的なことに関心がある方にもおすすめの会社です。
株式会社日建技術コンサルタント
株式会社日建技術コンサルタントは1958年創業の建設コンサルタント会社です。創業当初から社会インフラ整備に関する調査や計画、設計、環境測定分析、空間情報技術、発注者支援に積極的に取り組んできた実績があります。
株式会社日建技術コンサルタントが行う業務は幅広く、発注者支援業務だけにはとどまりません。例えば都市計画や上・下水道に関する業務、環境調査などがあります。社会インフラに関するさまざまな業務を経験してみたいと考えている方には魅了的な会社でしょう。
また、最新技術を用いた測量や三次元設計などにも積極的に取り組んでいるため、最新技術に関心のある方にとっても魅力的な会社です。
株式会社エムエーシー
株式会社エムエーシーは、2009年に創業した建設コンサルタント会社です。創業当初から道路関連を中心とした発注者支援業務に携わり、社会インフラの整備に貢献しています。
また、発注者支援業務だけでなく、土木事業に携わる民間企業からいただく技術要請に対し、高い技術力で対応しています。
設計部門においても、高度な専門知識と豊富な経験を有しており、さまざまな分野において高い技術提供が可能であるのが強みです。
参照:株式会社エムエーシー
建設コンサルタントとは何が違う?
発注者支援業務は、建設コンサルタント会社が行う「建設コンサルタント業務」の一つであることが分かりました。
それでは、発注者支援業務と建設コンサルタントとは同じものなのでしょうか?結論から言えば、発注者支援業務と建設コンサルタントは同じものではありません。発注者支援業務と建設コンサルタントには違いがあります。
発注者支援業務はその言葉通り、発注者(国や地方公共団体、官公庁等)の「立場」から業務を、建設コンサルタントは国と国民の間の「立場」から社会インフラの設計などを国に対して提案する業務を行います。
このように、発注者支援業務と建設コンサルタントには「立場」の違いがあるのです。すなわち、発注者支援業務と建設コンサルタントは業務内容の違いではなく、業務を遂行する際の立場に違いがあるといえます。
公共事業を経験したいなら発注者支援事業に従事しよう!
発注者支援業務は、建設コンサルタント会社が行う「建設コンサルタント業務」に含まれています。発注者支援業務に携わりたいと考えている方は、建設コンサルタント会社に入社する必要があるでしょう。
ただし、建設コンサルタント会社の中には、発注者支援業務に入札するための資格要件を満たしていないことから、発注者支援業務を行っていないところもあるので注意が必要です。
発注者支援業務は、国民生活の基盤となる社会インフラを整備する公共事業に携わることができる重要な仕事です。そのため、重大な責任がかかってきますが、反面、やりがいのある仕事だといえるでしょう。
また発注者支援業務は、国や地方自治体、官公庁などが発注する公共事業の発注業務をサポートする仕事のため公務員と同じような年間休日、勤務時間など労働環境が整っています。
公共事業に携わってみたいと考えている方は、発注者支援業務の仕事も選択肢として考えていただければ幸いです。