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Construction column

建設コラム

【建設DX】EC化について現状の課題や今後の展望について解説

2023.4.29

近年ではスマートフォンや通信技術の発展により、建設DXが急速に普及しています。そんなIT化を進めるにあたり、特にEC(Eコマース)市場が拡大傾向です。

民間工事では普及している建設DXですが、公共工事においても参考にできることは多々あります。

公共工事を施工する民間業者を公的な立場で管理する、発注者支援業務も今後変化していくでしょう。国交省が推し進める建設DXがますます加速していくのは間違いありません。

民間工事の中でもECの需要が高まっていますが、今後公共工事でも展開されることは時間の問題かもしれません。しかし、さまざまな課題があるため早急な解決が必要です。

今回は、建設DXの1つであるEC化について現状の課題や、今後の展望について解説します。

建設業のEC化に関する現状

建設業のEC化に関する現状

建設業でECが始まったのは2000年頃と言われています。

2000年はGoogleの日本語検索サービスや、Amazonマーケットプレイスがオープンした時期です。

そのため、建設業のECはインターネットの普及と同程度の歴史があると言えます。

ECが普及したことにより、オフィスや家庭では持ち運びが困難なものなどを入手しやすくなりました。

特に、家庭ではDIYブームの到来により、木材や工具といった資材を購入する方が多く見受けられたものです。

建設業のEC市場規模の推移

日本における建設業のEC市場は、下記の通り毎年増加傾向にあります。

  • 2019年:182,680億円
  • 2020年:195,944億円
  • 2021年:208,558億円

しかし、市場に出回っている商品のうち、ECで販売されている割合を示す「EC化率」は、いまだに10%前後で推移しています。

食品や繊維品では40~50%程度の割合で推移していることから、建設業のEC化率は低いと言えます。

そのため、各社がEC市場に商品を掲載し、多くの商品を取り扱うようになればEC科率が上昇し、市場の拡大も期待できます。

ただし、建設業のEC化にはさまざまな課題があるため、その点については後述する項目で詳しくご説明します。

建設業がEC化するメリット

建設業がEC化することによって、下記のようなメリットを得られます。

時間や場所にとらわれず販売できる

一般的な建設業や資材製造業者では、お客様のもとへ訪問したり、事前に受注した商品を納品したりすることで利益を獲得します。

対人で資材の量や価格が決定する一方、自分から売り込みが難しいことがあります。

また、実店舗の場合はお客様が訪問しない限り収益を得ることが難しく、商圏も限られています。

メーカーの営業マンも24時間365日稼働しているわけではなく、お客様のもとへ訪問するためには時間と交通費が必要です。

そのため、接客販売は費用対効果の観点では改善の余地がある販売方法と言えます。

ECサイトに自社商品を掲載すると、営業マンが不在でも24時間365日販売できる点はメリットと言えるでしょう。

近年では国内のみならず、海外にも自社商品を販売する「越境EC」も注目を集めている企業が多い販売方法です。

コストを抑えられる

実店舗で販売する場合、光熱費や家賃、人件費といったさまざまな費用が発生します。

そのため、商品を販売する際は高い利益を得られる価格設定にする必要があります。

ECサイトの場合テナント料が発生せず、実店舗よりも光熱費や人件費を抑えることができます。

また、お客様のもとへ訪問する必要がないことから、交通費も発生しません。

商品の原価以外にかかる費用を抑えられるため、利益体質を改善できる点もメリットと言えます。

自由な販売方法が選べる

ECサイトでは、個別に商品を販売するだけではなく、セットや定期購入などさまざまな形式を選ぶことができます。

商品単体では機能しませんが、複数の商品と組み合わせることで成果を上げることができるものがあります。

また、商品によっては使うたびに消耗してしまうため、定期的に購入する必要があるものも含まれます。

訪問営業の場合、お客様に複数の商品を説明しなければ購入してくれないことがあるため、コミュニケーションコストが発生します。

ECサイトであれば説明文を記載することでお客様が呼んでくれることから、低コストで高単価の商品を販売できます。

さまざまなデータを収集できる

ECでは、お客様や商品に関する下記のようなさまざまなデータを収集できます。

  • 性別・年齢・地域などの個人情報
  • 購入商品・個数
  • 購入頻度
  • 出荷数量
  • ページ閲覧数
  • アクセス数

これらは商品の販売促進時に行うマーケティング活動や、今後の商品開発に活用することができます。

以上のことから、建設業がECサイトで販売するメリットは十分にあると言えます。

建設業のEC化の課題

建設業のEC化の課題

EC化によってさまざまなメリットが得られるにも関わらず、建設業ではEC化率が10%程度と、改善の余地がある状況です。

こちらでは、建設業のEC化における課題をご紹介します。

世間の情勢に影響される

建設業はコロナウィルスやロシア・ウクライナの関係悪化などにより、仕入価格の高騰や商品がないといった問題があります。

日本は資源が乏しいことから、建築資材に使われるほとんどの原材料は輸入に頼っている状態です。

そのため、輸入制限や戦争といった世界情勢の変化の影響を受けやすく、価格が変動しやすい点が課題です。

デジタル化の遅れ

建設業界はほかの業界と比べ、デジタル化が進んでいないと言われています。

デジタル化の普及を阻む要因として、手作業やアナログを好むことが多いことが挙げられます。

現代ではメールやインターネット技術が進歩しましたが、電話やFAXで受発注をされている業者がいらっしゃるものです。

建材の管理方法

建材はインテリアやエクステリアなど、さまざまな箇所や用途に使われる資材です。

住宅にはさまざまな建材が使われていますが、その分品質や在庫管理が煩雑になりがちです。

管理の際は多くのスタッフを動員する必要があるため、ECの参入だけではなく業務効率の改善に頭を抱える業者は多いものです。

納期が不明確なものがある

建材によっては加工を外注したり、海外から輸入したりする必要があるものが含まれます。

自社に在庫を抱えている建材の場合は明確な納期を提示できますが、上記の建材は納期が不明確になる傾向にあります。

ECサイトにおいて納期回答は必須項目のひとつであることから、納品までのリードタイムが読みにくい点が課題となっています。

建設業がIT化を進めるメリット

建設業がIT化を進めるメリット

建設業界では、ECサイトの構築をはじめIT化に関するさまざまな課題があります。

これまで手作業で行っていた業務が、ある日突然デジタル化すると一時的に混乱することが考えられます。

しかし、IT化によって業務が簡素化されることにより、業務効率の改善が期待できます。

下記、建設業界がIT化を進めるメリットをご紹介します。

人手不足を解消できる

建設業界では、新規で就職する方が少なくなり、経験が豊富なベテラン社員が多く在籍しています。

高齢の社員が定年退職することによりノウハウや人材の流出が発生するため、業界全体が縮小してしまう要因です。

建設業界にITを導入することによって業務を簡素化・効率化が図れるため、同じ作業を短時間で終わらせることができます。

荷物が減る

紙媒体で情報を管理していると、お客様や現地へ持ち運ぶのに大きなバッグが必要です。

タブレットやPCといったITツールを使用することで、写真や図面データなどをどこでも持ち運ぶことができます。

また、USBやクラウドにデータを保管することで、いつでも・どのようなデータでも参照することが可能です。

品質の向上

先述したタブレットやPCに図面や各種データを保管しておくことで、必要な時に正確な数値を導き出すことができます。

建設業では細かな数値が求められることがあるため、属人的な計算ではヒューマンエラーが発生する可能性があります。

ITを利用することで迅速かつ正確なデータを算出することができるため、品質の向上が期待できます。

まとめ

今回は、建設業のEC化について現状の課題や、今後の展望について解説しました。

建設業界のなかにもECサイトに進出している業者がありますが、ECサイトに掲載されている商品は全体の10%程度です。

EC市場は毎年拡大傾向であり、これからも発展が期待できますが、建設業界では下記のような課題が弊害となっています。

  • 世間の情勢に影響される
  • デジタル化の遅れ
  • 建材の管理方法
  • 納期が不明確なものがある

しかし、ECを含めITを導入することで、人手不足を解消できる・荷物が減る・品質の向上といったメリットを得られます。

まだ、発注者支援業務の中ではIT化やEC化がそこまで普及していません。しかし国交省が進める建設DXの一環で、IT化による人材不足の解消を早期に解決するべく、本腰を入れて推し進めています。

時代の波に乗り遅れないように、ITについての理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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