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建設コラム

みなし公務員とは? 発注者支援業務はみなし公務員と呼べるのか徹底解説

2023.9.30

もしかしたら「みなし公務員」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その具体的な役割や魅力については詳しく知らない方も多いでしょう。

今回の記事では、土木に携わる皆さんにとって、一度は聞いたことのある「発注者支援業務」にフォーカスします。発注者支援業務は公共事業を成功させるために不可欠な役割を果たしており、土木プロジェクトの進行に欠かせない存在です。一方で、みなし公務員と言われる所以や発注者支援業務がどれだけ魅力的な仕事であるかをご紹介します。

みなし公務員とは?

ここからは「みなし公務員」について解説していきます。公務員との違いはどのような点なのかについても、詳しくみていきましょう。

みなし公務員

「みなし公務員(準公務員)」は、公共の利益に貢献する仕事に従事するが、公務員として採用されない職員のことを指します。

通常の公務員は国や自治体の職員で、公共のニーズに応じた仕事を担当しています。対照的に、みなし公務員は民間企業で働きながら、その仕事が社会的に重要であると認識されている職域に従事しています。

公務員とみなし公務員の両方には厳格な法規制が適用されています。たとえば、「守秘義務」は、仕事で得た情報や個人のプライバシーを厳守する必要があります。また、「贈収賄」は、取引企業からの贈り物や特典を受けることが禁止されています。

みなし公務員も、公務員と同じ待遇や報酬を受け取ることがありますが、民間企業との違約事項も頭に入れておかなければなりません。みなし公務員は、その職務が社会的な要因に寄与することが期待されるため、責任が重大で、民間企業の一般的な慣行が制約されることもあります。

みなし公務員になるためには、公務員試験を受ける必要はありません。代わりに、各企業が実施する採用試験に合格する必要があります。したがって、新しい職場に入社する際には、通常の企業の選考プロセスに従わなければなりません。

みなし公務員の仕事は、社会的な要請に対応するために欠かせないものであり、そのために社会的信頼性が非常に高い職種の一つといえます。

発注者支援業務以外のみなし公務員一覧

みなし公務員と呼ばれる職員はさまざまですが、例として次のようなものがあげられます。

  • 国立大学法人の役職員
  • 日本郵便の役職員
  • 日本銀行の役職員
  • 日本年金基金の役職員
  • 国民年金基金の役職員
  • 厚生年金基金の役職員
  • 駐車監視員
  • 公証人
  • 自動車教習所の技能検査員

上記は代表例ですが、この他にもみなし公務員に該当する職員はいます。

発注者支援業務がみなし公務員と言われる理由

発注者支援業務は、公共の利益に奉仕する重要な仕事であるため、みなし公務員と呼ばれている理由です。公務員ではないかもしれませんが、実際には公務員と同じような規則が適用されており、待遇面でも大差はありません。また、この仕事は安定して長く働ける魅力があります。

みなし公務員としての発注者支援業務の主要な要因は、情報の機密保持です。この仕事は通常、一般の人が入れない場所で行われ、職務で得た情報を外部に漏らしてはいけません。情報漏洩は民間企業でも厳しく禁止されていますが、みなし公務員としての役割を果たす場合、さらに厳格な規則が適用されます。だからこそ、発注者支援業務はみなし公務員の領域に含まれているのです。

実はみなし公務員ではなくなった?

これまで、発注者支援業務は一般的に「みなし公務員」と呼ばれていました。

しかし、令和3年12月14日に国土交通省 関東地方整備局が開催した「発注者支援業務・公物管理補助業務等の方針について」の説明会で、変更が発表されました。

令和4年度からは、発注者支援業務は市場化テストの終了に伴い、みなし公務員の枠を離れることとなりました。

この変更により、公共サービスの改革に関する法律(公共サービス改革法)の第25条が適用されなくなり、みなし公務員としての呼称も使われなくなりました。

ただし、現在契約中の業務については、業務が完了するまで「みなし公務員」のままとなりますので、注意が必要です。

みなし公務員には「スキルアップが難しい」「給与の上昇が限定的」といった懸念も存在しますが、発注者支援業務は国を代表する大規模建設プロジェクトに関与する機会があり、スキル向上や専門知識の活用に適した職場といえます。

現状みなし公務員として業務を行っている場合の注意点とは?

みなし公務員と呼ばなくなった発注者支援業務ですが、現在契約している業務の場合は業務が完了するまで「みなし公務員」という位置づけで仕事を行う必要があります。

みなし公務員として発注者支援業務を行う場合、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

ここからは、発注者支援業務を行う上で気をつけるポイントについて解説していきます。

みなし公務員規定とは?

みなし公務員には、公務員と同じように罰則規定が適用されます。

「みなし公務員規定」は、公共サービス改革法で規定されています。

公共サービスに従事する公務員以外の職員も、刑法上の公務員とみなされ、贈収賄などの罪に問われる可能性があります。

発注者支援業務は建設コンサルタント業務に該当し、規制は業務を行う担当者だけでなく、建設コンサルタント会社にも適用されます。

接待や贈答の禁止

みなし公務員も公務員と同様に、取引相手との接待や贈答は禁止されています。

飲食代を負担したり、お酒を振る舞ったりすることは法律違反となります。

お中元やお歳暮、手土産の受け取りも禁止で、これらを受け取ると贈収賄に問われる可能性があります。

ただし、接待や贈答の禁止は仕事上の付き合いに限定され、プライベートな場面では問題ありません。

副業の制約

公務員同様に、みなし公務員の中には副業が禁止されている場合があります。

発注者支援業務は建設コンサルタント業務に該当し、企業の就業規則によって副業が許可されないこともあります。

副業を考える場合は、事前に就業規則を確認し、企業に確認を取ることが大切です。

まとめ

今回の記事では、発注者支援業務がみなし公務員かどうかについて説明しました。しかし、令和4年度からは市場化テストが終了し、発注者支援業務はみなし公務員の枠を外れることになりました。ただし、既存の契約プロジェクトに関しては、引き続きみなし公務員としての規制が適用されます。

みなし公務員でなくても、さまざまなメリットや魅力がある発注者支援業務について理解が深まれば幸いです。

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