Construction column
コンクリート診断士とは?転職先や受験資格、勉強方法などを解説
2023.11.30
コンクリート診断士は、コンクリート構造物の診断・評価・維持管理に関する専門資格で、建設業界で高い評価を得ています。
今回の記事では、コンクリート診断士の転職先、試験概要、受験資格、難易度、効果的な勉強方法について詳しく解説します。
資格取得を目指す方はもちろん、キャリアアップや転職を考えている方にも役立つ情報です。コンクリート診断士の資格を取得して、自分の市場価値を高めましょう。
この記事のポイント
- コンクリート診断士の転職先
- コンクリート診断士の受験資格
- コンクリート診断士に合格するための勉強方法
目次
コンクリート診断士とは
コンクリート診断士は、コンクリート構造物の診断・評価・維持管理に特化した専門資格です。
主に、調査、診断、維持管理に従事する技術者のための、公益社団法人日本コンクリート工学会が認定する民間資格の一つです。
コンクリート診断士の主な仕事内容としては、竣工済みや施工済みの構造物で使用されているコンクリートの評価、劣化状況の点検・診断、補修・補強計画の検討などが挙げられます。
コンクリートは、様々な建築物に使用されており、時間の経過とともに劣化します。
しかし、コンクリート品質規格の変遷や施工条件、立地条件などを総合的に判断し、適切な処置をすることで、その使用可能な期間を延ばすことが可能です。
コンクリート診断士は、高度な技術と知識を駆使して、構造物の安全性と耐久性を維持する役割を担っています。
コンクリート診断士とコンクリート技師の違い
コンクリート技士の仕事内容は、コンクリートの製造やコンクリートが使われた建築物の施工などの業務であり、実際にコンクリートを現場で扱うのが特徴です。
一方で、コンクリート診断士は、すでに完成した建築物に使われている、コンクリートの状態を診断することです。コンクリートの状態を定期的に点検し、補修や補強に関する計画を検討します。
どちらも取得することで、コンクリートに関わる業務のプロフェッショナルとして活躍できるでしょう。
コンクリート診断士になるメリット
コンクリート診断士の資格を取得することで得られるメリットは以下のものがあげられます。
・スキルアップにつながる
・就職や転職で有利になる
・資格手当がもらえるようになる
それぞれ詳しくみていきます。
スキルアップにつながる
コンクリート構造物の診断技術に関する高度な専門性を証明できます。また、現場での実践を通じて、理論を実際の状況に適用する能力を磨くこともできます。
実際に実務に必要な専門知識を取得することで、資格取得後に「役に立った」と答える人が資格保有者が多いのもメリットです。
就職や転職で有利になる
コンクリート診断士の資格を持つことで、就職や転職の際に有利な場合があります。
コンクリート技士や診断士は、生コンクリート工場や建設現場、コンクリート製品の開発や製造を行う企業で優遇される場合が多いです。
さらに、コンクリートを扱う企業に限らず、総合建設業者(ゼネコン)でも専門知識と技術が高く評価され、多くのコンクリート診断士が活躍しています。
資格を取得することで、企業への就職や転職がスムーズになり、キャリアの選択肢が広がるでしょう。
資格手当がもらえるようになる
コンクリート診断士を取得することで、資格手当を受け取れる場合があります。
所属している会社や転職を考えている会社で、コンクリート診断士の資格手当があるなら、取得を検討しましょう。
コンクリート診断士の資格が生かせる転職先
コンクリート診断士の資格を活かせる転職先は多岐にわたります。
コンクリート診断士の資格を活かした転職先として「構造物の調査診断技術者」「土木構造物の保守管理職」と「建設コンサルタント」を紹介します。
構造物の調査診断技術者
橋梁・横断歩道橋・標識・照明灯などのインフラ点検業務の点検員・調査・設計に携わる業務を行うのが、構造物の調査診断技術者です。
必ずしもコンクリート診断士を所有していないとできない仕事ではないですが、資格があると優遇される傾向があります。
土木構造物の保守管理職
コンクリート診断士の資格を活かした転職先のひとつに、土木構造物の保守管理職があります。
高度経済成長期からバブル期にかけて、多くの社会資本がコンクリートを用いて建設されましたが、近年ではそれらの老朽化が問題です。
現在、コンクリートを用いた土木構造物のリニューアル工事が増加しているため、コンクリート診断士の資格を持っていると重宝されます。
建設コンサルタント
国道や高速道路の橋梁、道路等の調査・計画・設計する建設コンサルタント業務も転職先のひとつです。
建設会社の技術者の評価では経験を重視されやすく、技術士の資格が効力を発揮する機会は比較的少ない傾向にある中、コンクリート診断士は高い技術力を持つ技術者として優遇されます。
コンクリート診断士の試験概要
コンクリート診断士の試験概要は以下の通りです。
⚫︎試験概要
願書販売:1,000円(税込み、郵送料含む)
受験料 :11,000円(税込み)
試験日:年に1回
試験内容:
・四肢択一問題(マークシート40問)
・記述式問題(1,000字以内で記述)
⚫︎登録
コンクリート診断士試験の合格者のうち、コンクリート診断士登録申込書に「コンクリート診断士倫理規定」を遵守することを誓約のうえ、登録した方には「コンクリート診断士」の資格が付与される。
登録料 :7,000円(税込み)
コンクリート診断士の受験資格
次のいずれかに該当する者が、受験可能です。
ただし、受験年度または前年度の講習e ラーニングを受講している必要があるので注意しましょう。
いずれかの資格を有している者 | ・コンクリート主任技士 ・コンクリート技士 ・一級建築士 ・技術士(建設部門、農業部門-農業土木) ・特別上級・上級・1 級土木技術者 ・RCCM(鋼構造及びコンクリート) ・コンクリート構造診断士 ・1級土木施工管理技士 ・1級建築施工管理技士 |
いずれかの学歴・実務経験を有している者 | ・大学または高等専門学校(専攻科)において、指定科目を履修して卒業後、4年以上の実務経験 ・短期大学または高等専門学校において、指定科目を履修して卒業後、6年以上の実務経験 ・高等学校において、指定科目を履修して卒業後、8年以上の実務経験 |
詳しい受験資格は日本コンクリート工学会のHPで確認してください。
コンクリート診断士の難易度
2023年度のコンクリート診断士試験の結果は、受験者数3,412人に対して合格者は535人、合格率は15.7%でした。
過去3年間の合格率を見ても、合格率が16%前後と民間資格でありながら、かなり難易度が高いと言えます。試験を受ける際にはしっかりとした準備が必要です。
引用:日本コンクリート工学会コンクリート診断士試験結果の概況より
コンクリート診断士に合格するための勉強方法
コンクリート診断士は、3時間のかなり長丁場な試験で、四肢択一式のマークシート問題と、手書きによる記述式試験の2形式です。
コンクリート診断士に合格するための勉強方法には、以下の3つがあげられます。
・過去問題を解く
・択一式問題の対策をする
・記述式問題の対策をする
それぞれ詳しく紹介します。
過去問題を解く
本を読むようにして過去問を読むことから始めましょう。
まずは問題を解くということよりも、どんな問題が出題されているか、試験のレベルや雰囲気を知るようにします。
そしてその後、解答・解説をすぐに読むようにしてください。
一通り読み終えると、2回目からは問題をじっくり解いていきましょう。
正解の選択肢がなぜそうなるのかテキストを用いながら確認するのが重要です。
テキストはeラーニング講習を申し込むとセットになっているのでこちらを活用するのがおすすめです。
最低3回は過去問題を解くようにしましょう。
択一式問題の対策をする
コンクリート診断士の試験には、4択から選択するマークシート方式が40問ほど出題されます。
年度によって合格ラインは微妙に異なりますが、大体65%である26問は正解する必要があるでしょう。
問題によって、「適当なもの」と「不適当なもの」どちらを選択するかが異なるため、読み間違えに注意しましょう。
さまざまなパターンの4択問題に繰り返しチャレンジして、慣れておくことが大切です。
記述式問題の対策をする
記述式問題は、構造物の診断に関する問題1000字以内の1問を、手書きで原稿用紙に回答します。
文字数は、マス目の80%以上を埋めることを目標にしましょう。
初見の過去問を手書きで解き、PCで記述解答例のトレースをしてから再度、過去問を手書きで解くなどして、挑戦してみましょう。
小論文は正解がないので、求められている答えをわかりやすく伝える力も大切です。
また四肢択一式問題より、記述問題の方が配点の割合は高いと言われています。
そのため、記述式問題がしっかり解けると、コンクリート診断士は合格に手が届くと言えます。
まとめ|コンクリート診断士の資格を取得して自分の市場価値を高めましょう
コンクリート診断士を取得して現場で実績を積むことで、転職活動を安心して進められるうえ、正社員での勤務はもちろん、年収アップも期待できるでしょう。
資格を取得したら、転職のサービスに登録し、掲載されている求人に応募してみてください。
また、コンクリート診断士は「発注者支援業務」でも活かせる資格です。
発注者支援業務は、工事の発注者である国土交通省や都道府県の業務を補助する仕事です。
国土交通省は、建設コンサルタント業務を発注する際に使用するガイドラインに、技術者資格の順位の評価区分を設けています。
その中に、コンクリート診断士も入っており、国から技術者として、コンクリート診断士が評価されていると言えるでしょう。
参照:「建設コンサルタント業務等における プロポーザル方式及び総合評価落札方式の 運用ガイドライン」
国土交通省の発注業務でもコンクリート診断士の需要は高まっています。
発注者支援業務に興味のある方はMACにご相談ください。
発注者支援業務について詳しく紹介した記事はこちら↓