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土木工事とは?12種類の仕事内容、必要な資格について解説
2024.4.29
一口に土木工事といってもその範囲は非常に幅広く、多種多様な建設物や工法が存在します。
土木業への就職や転職を考えている方は、まず土木工事の定義と内容を知り、自身が携わりたい工事を明確にすることが重要です。
それに加えて、土木業に関する資格を取得することで、就職、転職がぐっと有利になります。
今回の記事では、土木工事の仕事内容や必要な資格について解説します。
土木業で働きたい、ステップアップしたいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- 土木工事の定義
- 土木工事の具体的な施工内容
- 土木分野において特に有用な資格
目次
土木工事とは
土木工事とは、建設工事の中で建築物を建てる建築物工事以外の工事を指します。
具体的には、建築物を建てる土地を整える工事や、道路・橋・ダムといった建築物以外の設備を造り上げる工事などが該当します。
土木工事と建築工事の区分は曖昧になっているところもありますが、現場では「地面の上が建築、地面の下が土木」と考えられることが多いようです。
土木工事の種類
土木工事の重要な目的の一つに、建築物が建てられる土地の整備があります。
土地ごとに適切な施工をすることで、その後に建設される建築物の安全性・快適性を上げられます。
土地の整備に関わる土木工事は、「基礎工事」・「造成工事」・「外構工事」の3種類です。
基礎工事
建物の土台を造る工事で、「杭基礎」と「直接基礎」の2種類があります。
また、直接基礎はさらに「ベタ基礎」、「独立基礎」、「布基礎」に分けられます。
それぞれの工事の特徴は以下の通りです。
杭基礎 | 軟弱な地盤の上に建築物を建てる際、杭を打って基礎を強化する | |
直接基礎 | 杭を使わず、地盤の上に直接基礎を築く | |
(直接基礎の種類) | ベタ基礎 | 基礎となる部分全面をコンクリートで直接覆う最も一般的な直接基礎工事 |
独立基礎 | 柱の下部のみに基礎を施工する | |
布基礎 | 基礎梁周囲に連続的に基礎を施工する |
造成工事
問題のある土地を加工し、建築物を安全に建てられるようにする工事です。
土地の問題と具体的な工事を表にまとめると以下のようになります。
土地の問題 | 具体的な工事 |
土地に高低差がある | 段差をつけながら土地を整える |
土地が変形している | 土地を四角形に整形する |
地盤が弱くなっている | 腐葉土を排除し、盛り土をする |
外構工事
建物本体以外の外構物を造る工事です。
主な外構物としては、以下のようなものが挙げられます。
- ・門扉
- ・フェンス、塀、生け垣、石垣
- ・徒歩区間の手すりやスロープ
- ・駐車スペース、駐輪場、カーポート、ガレージ
- ・物置、倉庫
- ・ポスト
- ・庭(庭木や庭石、池も含む)
土木工事の具体例12種
先ほどは土木工事の施工内容で分類しましたが、次は「何を造るか」という観点から見ていきます。
土木工事の範囲は非常に広く、建築物以外の建設は全て土木工事に入るといっても過言ではありません。
それでは、土木工事の具体例を12種類ご紹介しましょう。
道路工事
道路の開設や既設道路の修繕・改良を行います。
土で作った路床に砕石を敷き、ローラー什器で踏み固めた上を熱したアスファルトで覆って道路を造成します。
また、標識やガードレールのような道路に付随する設備の設置・交換も道路工事の分野です。
河川工事
河川の氾濫による水害の防止・減災を目的とした工事です。
堤防の建設や水門の設置、河川の切削を行い、河川の増水を防ぎます。
上流では地滑り防止や砂防工事をすることもあります。
海岸工事
高波や津波による災害や海岸の浸食を防ぐための工事です。
主な内容としては堤防の設置や修繕、護岸工事、人工的な浅瀬を作る人工リーフ工事、浸食された海岸に砂浜を新たに造成する養浜工事などが挙げられます。
潜水を伴う作業が多く、危険の多い工事です。
ダム建設工事
貯水や水力発電に用いる「貯水池ダム」や土砂災害防止を目的とする「砂防ダム」などを造る仕事です。
非常に大規模な工事になるため、ダム建設に先んじて資材運搬や建設機械が入るための道路の造成を行います。
橋梁・高架橋工事
川や海、地面の上に橋や高架を架ける工事です。
一般的には先に基礎部分を造り、その上に橋脚、橋桁を設置したのち線路や道路といった端の本体を造ります。
また、メンテナンスや改築も行います。
トンネル工事
山や地下、水中などにトンネルを造る工事です。
まず思い浮かぶのは道路や鉄道ですが、上下水道やガス管を設置するためのトンネルも含まれます。
トンネル工事の工法は大きく分けて4種類があり、場所や用途によって適した方法が用いられます。
工法 | 特徴 | 適した場所 |
山岳工法 | 大きな機械や爆薬で少しずつ山を崩しながら周りの壁をコンクリートや鉄骨などで固めて掘り進める | 山岳 |
シールド工法 | シールドマシンを使って掘り進め、リング状の部品(セグメント)を組み合わせて壁を作る | 街中の地面 |
開削工法 | 地面から穴を掘りトンネルを設置もしくは造成する | 地下街・地下鉄など |
沈埋工法 | 箱のような建造物を運搬し、水中でつなぎ合わせる | 水中 |
参考:シールドマシン
空港建設工事
空港の新設やメンテナンス、解体を行います。
新設の場合は造成工事や護岸工事を行い、建設地を整備した後に建築工事や舗装工事を行います。
メンテナンス工事は空港にあるさまざまな施設や設備が対象になります。
土地区画整理工事
建物などを建設する前に、地面をならすなどして土地を整える工事です。
地面の状態によって、重機や手作業で掘削や盛り土、切土などを行います。
公道下の下水道工事
公道の下に下水道を敷設する工事です。
舗装を切断して道路を掘り下げ、下水管や汚水を本管に流すための排水桝などを設置し、崩れないよう土留めをして再度舗装します。
老朽化した下水道のメンテナンスも行います。
農業土木工事
農地の保全や生産性アップを目的として行われる工事です。
農地に河川や地下水から水を引く「灌漑水道工事」と、区画整理や排水改良、整地を行って土地を農業に適した状態に整える「農用造成工事」に大別されます。
森林土木工事
森林道を整備し、土砂崩れの予防を目的として行われる工事です。
大まかに分類すると、森林を整備し、道路を造成する「林道工事」と、森林を作る前段階として、治山ダムの建設や山腹の補強、地滑り防止工事をする治山工事」があります。
砂防工事
土砂災害や土砂が溜まることによる河川の氾濫を食い止めるための工事です。
具体的には、山の斜面に柵や壁を設けたり、堤防を築いて河川を流れる大きな石をせきとめたりするといった工事を行います。
それに加え、土砂災害や森林火災により荒廃した土地を整えるのも重要な仕事です。
被害のあった場所に草木を植えたり、公園を設けたりすることで、土地の安全性と自然環境を守ります。
土木工事に役立つ資格
土木工事は非常に範囲が広く、必要とされる知識や技術もさまざまです。
そのため資格も数多くありますが、特に役立つ資格をご紹介します。
土木施工管理技士
土木工事の現場で監理、指導ができる能力を持った人材であることを認定する国家資格です。
1級、2級があり、1級を取得すれば公共工事のような大規模な工事における責任者である「専任技術者」や「管理技術者」に従事できます。
受験するためには実務経験が必要になるため、土木業の従事者がキャリアアップのために取得するケースがほとんどです。
技術士・技術士補
高等の専門的応用能力を備えた技術者である、すなわち「技術コンサルタント」としての能力を有することを認定する国家資格です。
技術士は分野によって21の部門に分かれており、土木工事に関係するのは建設部門の技術士です。
資格を取得すると建設コンサルタントに登録ができます。
建設関連の資格では最高峰に当たり、難易度も非常に高い資格です。
技術士補は技術士の業務を補助する技術者で、技術士と同じく国家資格です。
第一次検定合格者、もしくは特定の大学の課程を卒業した者が登録できます。
測量士・測量士補
道路工事を計画する際に必須の土地の測量に関する知識・技能を持つことを認定する国家資格です。
土地の測量は測量士しか携われない「独占業務」であり、営業所にひとりは配置しなくてはなりません。
そのため資格保有者は建設業において非常に重宝されます。
測量士補は測量士を補佐する資格です。
現場によっては、測量士とほぼ同じ業務に携わることもあります。
測量士・測量士補はともに国土地理院が実施する国家試験に合格することで取得できます。
一方で、学校や養成施設で測量に関係する専門科目を習得後、所定年数以上の実務経験を受けることで試験を受けずに取得することも可能です。
コンクリート技士
コンクリート技士は、コンクリートの技術的業務を実施する能力のある技術者を認定する資格です。
コンクリートの信頼性向上と建設産業の発展を目的として、国益社団法人日本コンクリート工学会が制定しました。
コンクリートは住宅や高層ビル、道路、橋梁などに広く用いられている、社会基盤を作り上げる上で欠かせない資材です。
コンクリート技士の資格取得者はコンクリートの専門家として、土木業に留まらず建設業全体で求められる人材だといえるでしょう。
コンクリート診断士
コンクリート診断士は、コンクリートの劣化の程度を診断する知識を持つことを認定する資格です。取得のためには日本コンクリート工学会の講習を受講した後、試験に合格する必要があります。
コンクリート診断士は建設物の安全性を維持するうえで欠かせない存在です。資格所持者は建設会社や建築コンサルタント、コンクリートの製造会社・調査会社などで重宝されるでしょう。
それに加え、土木分野の公務員や発注者支援業務にも門戸が開かれます。
公共工事の受注に、コンクリート診断士の資格所持が求められることが増えてきたためです。
舗装施工管理技術者
舗装工事に関する高度な技術と能力を有していることを評価する民間資格です。
一般社団法人 日本道路建設業協会が開催する試験に合格することで取得できます。
民間資格とはいえ、公的な舗装工事において資格所有者が受注条件に含まれる場合も多く、公務員や発注者支援業務に携わるうえで非常に重要な資格です。
RCCM
RCCM(Registered Civil Engineering Consulting Manager)は、建設コンサルタントに携わるために必要な資格です。
建設コンサルタント業務などを管理する技術者の育成と、技術力の客観的評価を目的として、一般社団法人 建設コンサルタンツ協会によって創設されました。
RCCMを受験するためには所定の実務経験を積んだのち、試験(AとBの2種類)に合格する必要があります。
資格を取得すると建設コンサルタントとしての知識と能力があることが認められ、建設コンサルタント会社やゼネコンやサブコンへの転職時に役立ちます。
また、公的な土木設計業務の入札においても重要視されるため、大規模なインフラ工事に携わりたい方はぜひ取っておきたい資格です。
まとめ
土木業の定義と種類をご紹介しました。土木工事は非常に範囲が広く、公共工事に関係するものが多いという特徴があります。
土木施工管理技士や測量士といった関連資格を取得することでより選択の幅が広がるため、実務経験を積んでステップアップしやすい分野です。
特に公共事業に関わりたい方は、発注者支援業務への転職も視野に入れると良いでしょう。
発注者支援業務は、公共事業発注に伴い発生する工事積算や工事検査といった業務を、発注者に代わって行うものです。
人の生活基盤を支える大規模な施工に携われる「やりがい」と、公務員に準ずる休日数や労働時間で従事できる「働きやすさ」を両立できる点が発注者支援業務の魅力です。
土木業に興味のある方や、土木業事業者でステップアップを目指している方は、「発注者支援業務」を目指してみてはいかがでしょうか。