会社ロゴ白抜き

Construction column

建設コラム

建設業における専任技術者の条件と特におすすめの資格一覧をご紹介します

2024.3.30

 建設業許可申請を行うためには、専任技術者の設置が必要です。専任技術者の条件はさまざまですが、所定の国家資格があれば実務経験がなくても専任技術者になることができます。

今回の記事では、専任技術者に求められる資格の中でも、特におすすめの資格をピックアップしてご紹介します。

この記事のポイント

  • 建設業許可申請に必要な専任技術者についてわかります
  • 専任技術者に求められる資格の中でも特に汎用性の高いものがわかります
  • 資格の取得条件や就職先が分かります

建設業とは

建設業とは、土地や道路、建物などの建設工事に関わる仕事全般を指します。建物を建てる建築工事、道路や橋、ダムなどを造る土木工事を始めとして、建設工事の過程で必要となる電気工事や舗装工事、内装仕上工事等も建設業に含まれます。

建設業は建設業法上、29種類の業種に区分されており、それぞれにおいて建設業許可を取得しなければ工事を請け負うことができません。

建設業の業種については以下をご参照ください。

参考記事:建設業の業種は29種類。一覧と許可申請の条件について解説

建設業許可申請には一定の資格を有する専任技術者が必要

建設業許可を得るためにはさまざまな条件がありますが、その中で特に重要なのが専任技術者の設置です。専任技術者は建設に関する資格もしくは経験を有する技術者のことで、請負契約の適切な締結とその履行を行います。専任技術者は、営業所ごとにひとりずつ設置しなくてはなりません。

 専任技術者になるためには、実務経験もしくは所定の資格が必要です。また、資格によっては実務経験が求められる場合もあります。

専任技術者になる一番の近道は国家資格を取得することです。国家資格があれば実務経験がなくても専任技術者になれるためです。

 専任技術者に必要な資格一覧は、国土交通省の資料で確認できます。

特におすすめの資格

専任技術者に必要な資格の中でも、中でも汎用性の高いものをご紹介します。これらの資格を持っていれば、キャリアアップはもちろんのこと転職にも有利です。

建築士

建築士は建築に幅広く関わるための知識・能力があることを証明する資格です。主な業務内容は建築物の設計、施工、工事監理などで、中でも設計と工事監理は建築士でなければ行うことができません(独占業務)。

建築士には1級、2級、木造の3種類があり、それぞれ設計や工事監理が可能な範囲が定められています。

1級建築士制限なし
2級建築士戸建て住宅や小規模な店舗など、比較的小規模な建築物に限定
木造建築士小規模かつ2階建てまでの木造建築物に限定

1級建築士の資格があれば、学校や役場など大規模な公共事業にも携わることが可能です。

専任技術者になれる業種

  • ・建築一式工事(1級、2級)
  • ・大工工事(1級、2級、木造)
  • ・屋根工事(1級、2級)
  • ・タイル・れんが・ ブロック工事(1級、2級)
  • ・鋼構造物工事(1級)
  • ・内装仕上工事(1級、2級)

 建築士資格の取得方法

建築士資格を取得するためには、所定の受験資格を満たした後、学科試験と設計図面試験の両方に合格する必要があります。

それに加え、条件によっては実務経験が求められる場合があります。

1級建築士の受験資格

  • ・大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業したもの
  • ・2級建築士もしくは建築設備士
  • ・その他国土交通大臣が特に認めるもの

なお、1級建築士として登録するためには、資格取得の前後を問わず2年以上の実務経験が必要です。

2級建築士の受験資格

  • ・大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業したもの
  • ・建築設備士
  • ・その他国土交通大臣が特に認める者
  • ・建築に関する実務経験が7年以上ある者

木造建築士の受験資格

  • ・大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業したもの
  • ・建築に関する実務経験が7年以上ある者

 建築士の就職先

建築士の資格は建設業の6業種において専任技術者の資格になります。非常に汎用性が高く、建築関係の仕事に携わるのであれば必ず取得したい資格です。

建築士の就職先としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ・建築設計事務所
  • ・建設会社(ゼネコン)
  • ・ハウスメーカー 
  • ・不動産会社
  • ・建築コンサルタント
  • ・公務員

建築設備士

 建築設備士は、電気や給排水、空調、換気といった建築設備全般に関する知識・技能を持つことを示す資格です。

建築士と同じく建築の専門資格ですが、建築士とは異なり設計は行いません。

しかし、建築設備士は建築士が建築設備に関する助言を求めてきた場合に、適切なアドバイスを行います。安全かつ快適な建築物の設計をするための、「縁の下の力持ち」ともいえる存在です。

建築設備の高度化・複雑化に伴い、建築設備士の重要性は増しています。建築設備士の在籍する企業や営業所は評価が高くなるため、転職にも非常に有利な資格です。

専任技術者になれる業種

  • ・電気工事
  • ・管工事

建築設備士の取得方法

建築士と同じく、受験資格を満たした後、「学科試験」と「設計製図試験」に合格することで取得できます。

受験資格はかなり厳しく、学歴もしくは資格に加え、所定の実務経験が必要になります。

学歴もしくは資格必要とされる実務経験年数
大学2年以上
短期大学、専門学校4年以上
高等学校6年以上
1級建築士1級電気工事施工管理技士1級管工事施工管理技士空気調和・衛生工学会設備士電気主任技術者(第1級、第2級、第3級)2年以上

※建築、機械、電気またはこれらと同様と認められる類似の過程を修了していること

建築設備士の就職先

建築士と同じく建築関係に加え、設備メーカーや販売会社でも重宝されます。一定の学歴や実務経験がある証明にもなるので、「即戦力になる人材」と見なされるため、転職の際にも有利です。

  • ・建設会社
  • ・設計事務所
  • ・不動産会社
  • ・設備メーカーや販売会社
  • ・公務員

電気工事士

電気設備の工事や取り扱いに関する知識・技能を有していることを示す資格です。電気設備は無資格者には扱えないため、電気工事系の仕事に携わるのであれば、必ず取得しておかなければなりません。

電気工事士は一種、二種があり、携われる工事範囲が異なります。

 工事範囲対象となる施設
第二種電気工事士一般用電気工作物(600V以下の低電圧で受電する「一般用電気工作物」の工事 一般の住居や小規模な店舗しか施工できない
第一種電気工事士第二種の工事範囲に加え、500KW未満の「自家用電気工作物」の電気工事 工場やビルといった大規模な建物も施工可能

専任技術者になれる業種

  • ・電気工事

電気工事士の取得方法

「学科試験」と「技能試験」があります。受験資格に制限はありませんが、第一種電気工事士の免状は実務経験が3年以上ないと取得できません。

また、電気主任技術者免状を取得している場合は、申請により筆記試験が免除、5年以上の実務経験がある場合は申請のみで第一種電気工事士の免状を取得できます。

電気工事士の就職先

電気工事は電気工事士しか行えないため、電気工事に関係する幅広い分野での就職が望めます。

  • ・建設会社
  • ・電気工事会社
  • ・ビル管理会社
  • ・電力会社
  • ・サービスエンジニア
  • ・公務員

電気主任技術者

電気主任技術者は、電気設備の保安監督業務に携わるために必要な資格です。電気工事士が工事を担当するのに対し、電気主任技術者は工事や維持、運用を監督し、電気工事士に対して指示を行うのが主な業務です。

電気工事に関する高い専門知識と技能に加え、判断力や指導力が求められるため、電気工事士よりも収入が高くなる傾向にあります。

一種、二種、三種があり、それぞれに監督可能な電気工作物の範囲が異なります。

 保安監督の範囲対象となる施設
三種出力500KW以上の発電所を除く、電圧5万V未満の事業用電気工作物工場、ビル小規模な再生可能エネルギーによる発電設備など
二種三種に加え、電圧17万V未満の事業用電気工作物中規模の再生可能エネルギーによる発電設備や大規模な工場など
一種制限なし大手の電力会社や発電所、変電所など

専任技術者になれる業種

  • ・電気工事

電気主任技術者の取得方法

電気主任技術者を取得する方法は以下の2通りです。

【1】指定の学校で電気関係の単位を取得後、実務経験を積み面接などを行い、認定を受ける

【2】電気主任技術者試験に合格する

試験は全て筆記で、受験資格は定められていません。

電気主任技術者の就職先

電気主任技術者の資格を取得できれば、電気工事に関係する業種への間口がかなり広がります。電気会社や電気工事会社以外でも、自社の建物や設備などの管理担当といった就職先も検討でき、興味や能力、経験に合わせた幅広い選択が可能になるでしょう。

  • ・電力会社
  • ・電気工事会社
  • ・建設会社
  • ・ビルメンテナンス会社
  • ・建物や設備のメンテナンス担当

施工管理技士

いわゆる「現場監督」の資格です。工事全体を管理し、工程、品質、安全、コストの面から工事が滞りなく進むよう確認や調整、指示を行うのが主な仕事です。

業種によって以下の7種類に分かれており、資格ごとに1級、2級があります。

資格名専任技術者になれる業種
土木施工管理技士土木一式工事とび・土木工事石工事鋼構造物工事舗装工事しゅんせつ工事塗装工事水道施設工事解体工事
建築施工管理技士建築一式大工工事とび・土木工事石工事屋根工事タイル・れんが・ ブロック工事鋼構造物工事鉄筋工事板金工事ガラス工事塗装工事防水工事内装仕上工事熱絶縁工事建具工事解体工事
電気工事施工管理技士電気工事
管工事施工管理技士管工事
造園施工管理技士造園工事
建設機械施工管理技士土木一式工事とび・大工工事舗装工事
電気通信工事施工管理技士電気通信工事 

施工管理技士の取得方法

施工管理技術検定は「第一次検定」と「第二次検定」があり、いずれも筆記試験です。両方に合格することで、施工管理技士の資格を取得できます。

2級の第一次試験は満17歳以上であれば誰でも受験可能、1級試験及び2級の第二次試験は定められた実務経験を有することが条件です。必要とされる実務経験は学歴もしくは資格によって異なります。

施工管理士の就職先

施工管理士の就職先は業種によって多少異なりますが、建築会社やゼネコン、ビルメンテナンス、公務員、発注者支援業務などさまざまな選択肢があります。

資格名専任技術者になれる業種
土木施工管理技士マリコン(海洋土木の建設会社)道路会社公務員発注者支援業務
建築施工管理技士建築会社ディベロッパーゼネコン工務店ビル管理企業不動産会社プラント施工会社建設コンサルタント公務員発注者支援業務
電気工事施工管理技士建設会社電気施工会社ゼネコンプラント施工会社公務員発注者支援業務
管工事施工管理技士建設会社配管工事会社ゼネコン公務員発注者支援業務
造園施工管理技士造園業建設業不動産会社工務店公務員発注者支援業務
建設機械施工管理技士建設会社ゼネコン道路会社公務員発注者支援業務
電気通信工事施工管理技士電気通信会社設計事務所ビルメンテナンス会社公務員発注者支援業務

資格所有者は「発注者支援業務」も選択肢の一つに

建設業に携わるに当たり、特に有利になる国家資格について解説しました。知識や技能が重要視される建設業において、能力を有していることを示す資格は必要不可欠なものであるといえるでしょう。

資格を持っていればキャリアアップできるだけではなく、転職にも有利です。公務員に代わり公共事業の施工監理を行う「発注者支援業務」を目指すことも安濃です。

発注者支援業務は学校や役場、また道路やダムといった大規模な公共工事に携わることができます。また、土日祝日の休みが取りやすく、ワークライフバランスの面でも魅力的です。

建設業に関する国家資格をお持ちの方は、発注者支援業務を選択肢の一つとして考えてはいかがでしょうか。

TOPへ戻るボタン
Banner Image