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建設コラム

建設業の業種は29種類。一覧と許可申請の条件について解説

2024.3.27

建設業を営むためには、一定の条件を満たしたうえで許可申請を受ける必要があります。

建設業の許可は業種ごとに取らなくてはならず、どの業種に区分されるのか分かりづらい工事も少なくありません。

建設業に携わる方であれば、建設業の業種の内容や区分について押さえておいた方が良いでしょう。

今回の記事では、建設業許可の条件と、業種ごとの具体的な工事例、間違えやすい業種の判断の仕方について解説します。

この記事のポイント

  • 建設業の業種についてわかります
  • 建設業許可についてわかります
  • 建設業29種の工事例についてわかります

建設業許可とは

建設業許可とは、建設業を営む際に取得する必要がある許可のことです。申請先は営業所の置き方により、国土交通大臣、都道府県知事のどちらかになります。

  • 大臣許可:複数の都道府県に営業所を設けている場合
  • 知事許可:1つの都道府県に営業所を設けている場合

工事現場の事務所や資材置き場所の場所は問われません。

建設業許可を取得するための要件

建設業許可を取得するために重要なのは以下の3要件です。

経営業務の管理責任者の設置

経営業務の管理責任者とは、営業取引上対外的に責任を有する地位にある人を指します。管理責任者になるためには、一定以上の建設業での経験が必要になります。

建設業許可を得るうえで最もハードルの高い要件であるため、2020年の法改正により規制緩和され、経営業務管理責任者と補佐者のチーム体制が認められるようになりました。

専任技術者の設置

建築業許可を取得するためには、営業所に1人以上の専任技術者を置かなくてはなりません。専任技術者になるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 所定の国家資格を有していること
  • 所定の学科を卒業後、実務経験を有していること(高卒5年以上、高専・大学卒3年以上)
  • 10年以上の実務経験を有していること

安定した財産を保有していること

工事を施工できるだけの財産や資金調達能力があることを示すことも重要な条件です。具体的には、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 自己資本500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力がある
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて、継続して営業した実績がある

誠実性を有すること

請負契約に関して、不正もしくは不誠実な行為をする恐れが明らかな場合は許可を取得できません。具体的には、暴力団の構成員などは誠実性がないと判断されます。

欠格要件に該当しないこと

建設許可申請書に虚偽の記載がある、過去に不正を行ったことがある、精神機能の障害により判断や意思疎通ができないといった欠格要件に該当している場合は、建設業許可を取得することができません。

建設業許可が不要なケース

500万円未満(一式工事の場合は1,500万円未満)の工事については、建設業許可は不要です。

また、請負金額に関わらず、木造住宅で延べ床面積が150㎡未満の工事に関しても許可は必要ありません。

※主要構造部が木造で、延床面積の1/2以上を住居で使用するものに限る

建設業許可の業務区分

建設業の種類は29種類あります。そのうち2種類が「一式工事」、27種類が「専門工事」です。

一式工事

複数の専門工事を組み合わせて、総合的に企画、指導、調整を行います。つまり「元請業者」です。

ここで注意したいのが、例えば「建築一式工事」の許可を得たからといって、建築に伴う専門工事(大工工事や電気工事など)を行えるわけではないという点です。専門工事の許可を個別で取得するか、許可を得ている下請け業者に依頼する必要があります。

専門工事

一式工事以外のさまざまな工事を、一定のルールで分類したものです。

一式工事

一式工事に分類されるのは以下の2種の建設業です。

【1】土木一式工事

総合的な企画、指導、調整の元、土木工作物を建設する工事です。

具体的な工事例

  • ・道路、堤防、トンネル、ダム、橋梁といった土木工事に分類される対象物を建設もしくは補修、改造、解体する工事

【2】建築一式工事

総合的な企画、指導、調整のもと、建築物を建設する工事です。

具体的な工事例

  • ・一棟の住宅建設等一式を工事として請け負うもの
  • ・建築確認を必要とする増改築

土木と建築の違いについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:建築と土木の違いは?仕事内容や施工管理業務に必要な資格を紹介

専門工事

専門工事に当たるのは以下の【3】~【29】の27種類です。区分が難しいものもありますので、違いをしっかり押さえておきましょう。

【3】大工工事業

木材の加工、取り付けにより工作物を築造、または口座ク物に木製設備を取り付ける工事を指します。

具体的な工事例

  • ・大工工事
  • ・型枠工事
  • ・造作工事

【4】左官工事業

工作物に壁土、モルタル、漆く、プラスター、繊維などをこてで塗る、吹き付ける、はりつける工事を指します。

具体的な工事例

  • ・左官工事
  • ・モルタル工事
  • ・モルタル防水工事
  • ・吹付工事

など

【5】とび・土工工事業

以下のいずれかに該当する工事を指します。

工事内容工事例
足場の組み立て、機械器具、建設資材等の重量物のクレーン等の運搬配置、鉄骨などの組立、工作物の解体等を行う工事とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立工事、コンクリートブロック据え付け工事
くい打ち、くい抜き及び場所打ちぐいを行う工事くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
土砂等の掘削、盛り上げ、締固め等を行う工事土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
コンクリートにより工作物を築造する工事コンクリート工事、コンクリート打設工事等
その他、基礎的もしくは準備的工事地すべり防止工事、地盤改良工事、土留め工事、吹付工事等

【6】石工事業

石材の加工、積方により工作物を築造、または工作物に石材を取り付ける工事を指します。

工事例

  • ・石積工事
  • ・石張り工事
  • ・コンクリートブロック積み工事
  • ・コンクリートブロック張り工事

【7】 屋根工事業

瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事を指します。

工事例

  • ・屋根ふき工事
  • ・屋根一体型の太陽光パネル設置工事

【8】電気工事業

発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事を指します。

工事例

  • ・発電設備工事
  • ・送配電設備
  • ・構内電気設備工事
  • ・変電設備工事

など

【9】管工事業

冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置、または金属性等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事を指します。

工事例

  • ・冷暖房設備工事
  • ・空気調和設備工事
  • ・給排水・給湯設備工事
  • ・水洗便所設備工事

など

【10】タイル、れんが、ブロック工事業

れんが、コンクリートブロックなどによる工作物の築造、または工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取り付け、はり付ける工事を指します。

工事例

  • ・コンクリートブロック積み・張り工事
  • ・レンガ積み・張り工事
  • ・タイル張り工事
  • ・スレート張り工事

など

【11】鋼構造物工事業

形鋼、鋼板などの鋼材の加工、組立てによる工作物の築造工事を指します。

工事例

  • ・鉄骨工事
  • ・鉄骨工事
  • ・橋梁工事
  • ・鉄塔工事

など

【12】鉄筋工事業

棒鋼などの鋼材を加工、接合、組み立てる工事を指します。

工事例

  • ・鉄筋加工組立工事
  • ・鉄筋継手工事

【13】舗装工事業

道路などの地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石などにより舗装する工事を指します。

工事例

  • ・アスファルト舗装工事
  • ・コンクリート舗装工事
  • ・ブロック舗装工事
  • ・路盤築造工事

【14】しゅんせつ工事業

河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事を指します。

工事例

  • ・しゅんせつ工事

【15】板金工事業

金属薄板等を加工して工作物に取付け、または工作物に金属製等の付属物を取り付ける工事を指します。

工事例

  • ・板金加工取付工事
  • ・建築板金工事

【16】ガラス工事業

工作物にガラスを加工して取り付ける工事を指します。

工事例

  • ・ガラス加工取付工事

【17】塗装工事業

塗料、塗材等を工作物に吹き付け、塗り付け、はり付ける工事を指します。

工事例

  • ・塗装工事
  • ・溶射工事
  • ・ライニング工事
  • ・路面標示工事

など

【18】防水工事業

アスファルト、モルタル、シーリング材等によって建築系の防水を行う工事を指します。

工事例

  • ・アスファルト防水工事
  • ・モルタル防水工事
  • ・シーリング工事
  • ・塗膜防水工事

など

【19】内装仕上工事業

木材、石膏ボード、吸音板、壁、紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて構築物の内装仕上げを行う工事を指します。

  • ・インテリア工事
  • ・天井仕上げ工事
  • ・壁張り工事
  • ・床仕上げ工事

など

【20】機械器具設置工事業

機械器具の組立などにより工作物を建設、または工作物に機械器具を取り付ける工事を指します。

  • ・運搬機器設置工事
  • ・給排気機器設置工事
  • ・ダム用仮設備工事
  • ・立体駐車場設備工事

など

【21】熱絶縁工事業

工作物、工作物の設備を熱絶縁する工事を指します。

工事例

以下の設備の熱断熱工事

  • ・冷暖房設備
  • ・冷凍冷蔵設備
  • ・動力設備
  • ・燃料工業、化学工業等の設備

【22】電気通信工事業

有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備の設置工事を指します。

工事例

  • ・有線電気通信設備工事
  • ・無線電気通信設備工事
  • ・放送機械設備工事
  • ・データ通信設備工事

など

【23】造園工事業

整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等による庭園、公園等の苑地の築造、道路、建築物の屋上等の緑化、植生の復元工事を指します。

工事例

  • ・植栽工事
  • ・景石工事
  • ・グランドカバー作業
  • ・公園設備工事

など

【24】さく井工事業

さく井機械等を用いてさく孔、さく井工事、これらの工事に伴う揚水設備設置等の工事を指します。

工事例

  • ・さく井工事
  • ・さく孔工事
  • ・井戸築造工事
  • ・温泉掘削工事

など

【25】建具工事業

工作物に木製、金属製の建具等を取り付ける工事を指します。

工事例

  • ・金属製建具取り付け工事
  • ・木製建具取り付け工事
  • ・サッシ取り付け工事
  • ・シャッター取り付け工事

など

【26】水道施設工事業

上水道、工業用水道等の取水、浄水、配水等の施設の築造工事、公共下水道、流域下水道の処理設備の設置工事を指します。

工事例

  • ・取水施設工事
  • ・浄水施設工事
  • ・排水施設工事
  • ・下水処理施設工事

【27】消防施設工事業

火災警報設備、消火設備、避難設備、消火活動に必要な設備の設置、または工作物に取り付ける工事を指します。

工事例

  • ・屋内消火栓設置工事等
  • ・屋外消火栓設置工事等
  • ・スプリンクラー設置工事
  • ・火災報知設備工事

など

【28】清掃施設工事業

し尿処理施設、ごみ処理施設の設置工事を指します。

工事例

  • ・ごみ処理施設工事
  • ・し尿処理施設工事

【29】解体工事業

工作物を解体する工事を指します。

工事例

  • ・工作物解体工事

間違いやすい業種例

建設業29業種の区分は非常に複雑で、どの工事がどの業種に区分されるか判断に迷うところも数多くあります。

そこで最後に、間違いやすい業種例をクイズ形式でご紹介します。

問題1 次のうち、「造園工事」に該当しないものはどれか。

※いずれも公園内の設備とする。

①景石の据付 ②植木の剪定 ③噴水の建設

答え:②

植木の剪定や管理のみを行う場合は建設工事に該当しません。

問題2 太陽光パネル設置工事と大きく関係する業種は以下のうちどれか。

①屋根工事 ②電気工事 ③熱絶縁工事

答え:①と②

屋根一体型の太陽光パネル設置工事は「屋根工事」、太陽光設備工事の設置工事は「電気工事」に該当します。

問題3 公共工事の下水道施設の工事は以下のどれに該当するか。

①管工事 ②水道施設工事 ③土木一式工事

答え:②

なお、公道下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事は「土木一式工事』に該当します。

問題4 以下のコンクリートブロック積み(張り)工事と該当する工事業の組み合わせの中で正しいものはどれか。

①土木工事におけるコンクリートブロック積み(張り)工事→石工事業

②エクステリア工事におけるコンクリートブロック積み(張り)工事→タイル・れんが・ブロック工事業

③法面処理または擁壁としてのコンクリートブロック積み(張り)工事→とび・大工・コンクリート工事業

答え:②

コンクリートブロック積み(張り)工事は用途により業務区分が変わりますので注意が必要です。

なお、①はとび・大工・コンクリート工事業、③は石工事業に該当します。

問題5 以下の組み合わせのうち、間違っているものはどれか。

①トンネル防水工事→防水工事業

②防水モルタルを用いた防水工事→左官工事業

③路盤築造工事→舗装工事業

答え:①

「防水工事業」に該当するのは建築系の防水工事のみです。トンネルのような土木系の防水工事は「とび土工工事業」に分類されます。なお、防水モルタルを用いた防水工事は防水工事業でも請負可能です。

まとめ

建設業29種類の名称と内容、工事例について解説しました。建設業の業種は法律によって区分されており、工事ごとに建設業許可を取る必要があります。

しかし、建設に関係する工事は非常に多種多様で、どの業種に該当するのか、そもそも建設業に含まれるのかすら判断が難しいものも少なくありません。

業種によって請け負える工事内容や必要とされる技術者が異なりますので、必要な業種や許可要件、申請方法についてしっかり調べることが重要です。

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