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Construction column

建設コラム

施工管理はなくなる? AIの登場によって見えてきた建設業界の将来性

2023.11.28

施工管理

Chat GPTなどの、AI(人工知能)を含むIT技術の発展がめざましい昨今ですが、建設業界にもその影響はやってきています。

施工管理はAIに仕事を奪われ、なくなるのでしょうか。

本記事では、建設業界について現状を説明し、AIの影響によって今後どうなっていくかを予測します。

施工管理業界の現状

「スーパーゼネコン」と呼ばれる大手総合建設会社の鹿島、大成建設、大林組、清水建設。

建設業界のトップであるこの4社は、毎年のように過去最高収益を更新し続けています。

それに比べて大型工事などの受注ができない地方の中小建設会社の経営は、楽ではありません。

しかし建設業界全体で見れば、毎年のように公共事業費が削減され、倒産や廃業が相次いだ二〇〇〇年代の苦しい時期を抜けたと言えるでしょう。

そんな建設会社が今、力を入れて取り組んでいるのは生産性の向上です。

どうして今、生産性の向上が求められているのでしょうか。その理由を深ぼっていきましょう。

施工管理の現状について詳しく紹介した記事はこちら↓

【将来性はあるの?】施工管理の現実と仕事の魅力|きついと感じる理由やその解決方法を紹介

人材不足

近い将来、どの業界でも人手不足の問題にあたることは避けられません。

さらに日本では、少子高齢化が進んでおり、今後数十年で生産年齢人口(15〜64歳)が激減することが明らかです。

建設業界においては技能者だけでなく、技術開発を担う建設技術者の確保も難しくなっていくでしょう。

人材不足により、産業間で人材の奪い合いが激しくなれば、労働環境がまだしっかりと整えられていない建設業界に勝ち目はありません。

IT技術の遅れ

製造業などに比べて、IT技術の発展が遅れている建設業界。

国内では大きな産業であるにもかかわらず、いまだに紙の書類や図面が当たり前のように使われています。

大手の会社はともかく、町の工務店などでは取引先とのやり取りでFAXなどを用いることも少なくありません。

ともすれば、AIを含むIT技術の導入によって、改善できる点が多くあることは業界にとって明るいとも捉えられるでしょう。

AIの導入で施工管理はどうなるのか?

世間では、AIが爆発的なブームとなっており、建設業界でもAI関連の研究や技術開発が進んでいます。

大手建設会社のほか、鉄道・高速道路などの社会インフラを運営する企業がAIの活用を経営戦略の柱に据え始めたのは、だいたい2016年以降です。

これまで職人や技術者が果たしてきた役割の一部をAIに置き換えることで人手不足を克服し、さらには飛躍的に生産性を高めようとしている企業は多いのです。

実は、国土交通省も「i-Cnstruction(アイ・コンストラクション)」を掲げており、工事や維持管理の生産性向上にAIが役立つだろうと考え、このような流れを歓迎しています。

AIの導入によって、施工管理は人とAIの業務の二分化が進み、より思考力が求められる業務に人は従事することになるでしょう。

AIの現場導入は難しい

解決したい課題と、AIの基本的な知識を備えたプロジェクト担当者、そして顧客のニーズを踏まえた適切な提案ができるパートナーがそろえば開発はスムーズに進みます。

しかしめでたく開発が進んでも、それで終わりではありません。

開発したシステムを業務に落とし込んで活用しなければ、何の意味もないからです。

実は、AIを導入する上で最も難しいのがこの段階だと言われています。

たとえば開発したシステムを自社の業務で活用する場合、いくら開発者が意気込んでいても、現場がその熱量についていけないのはよくある話です。

情報の共有が、開発側と現場で上手くできていないことがその理由として挙げられます。

まずはAIをテスト使用して、経験を重ねつつ効果を感じてもらいながら現場に取り入れるのが良いでしょう。

AI技術が建設業で用いられる例

では実際に、現場ではどのようにAIが用いられているのでしょうか。

使用例を見ていきましょう。

舗装点検

建設事業は大きく分けて、調査・設計、施工、維持管理や施設運営といった段階に分かれます。

このうちAIを活用した技術の開発が進んでいるのは、道路を代表とする土木インフラの「維持管理」です。

なかでもよく出てくるのは、アスファルト舗装の点検です。

道路のひび割れを、路面を撮影した画像からAIで自動的に検出し、損傷レベルを診断する技術の開発が進んでいるのです。

トンネルの打音検査

道路トンネルの点検では一般に、通行規制をかけてから点検員が高所作業車に乗り込み、打音検査(ハンマーで叩いて音で損傷の有無を確認する)を行います。

しかし点検に時間がかかるので規制が長引くのに加え、人によって点検結果にばらつきが出やすいです。

東急建設などは、これらの課題に答えるべく「トンネル全断面点検・診断システム」を開発しています。

このシステムを用いることで、打音検査の健全な壁の音をAIに学ばせて、ベテラン作業員と同じレベルで音を診断できるようになりました。

ドローンによる送電点検、データ不足はAIが補う

電力会社の悩みとして、落雷による送電線の損傷が挙げられます。

送電線が落雷を受けると、表面が溶けて「アーク痕」と呼ぶ黒っぽい痕跡ができます。

アーク痕を放置しておくと、送電線が切れる原因になるためいち早く補修しなければなりません。

しかしこの作業は人間がするには、大変な労力を伴い危険が生じるため、自動のドローンを用いて送電線の写真を撮影する技術の開発が進んでいます。

また撮影もれがないよう、ドローンにAIを搭載し、送電線の位置を把握しながら飛行できるようにしています。

施工管理の将来性は明るい

AIによって人が行っている業務も少なくなっていきますが、その分残業時間が減ったり、より生産性の高い業務に従事できるようになります。

建設業界はIT技術の導入が遅れていたり、労働環境の整備が進んでいる途中であるため、AIの導入は良い影響を及ぼすでしょう。

AIのメリットをしっかりと生かしつつ、業務の効率化を進めることが重要です。

また2025年には、大阪万博が控えていたり、公共工事の建設も進められているため、建設需要はこれからも高まっていくことが予想できます。

また2024年の労働時間の上限規制に向け、働き方改革も進められているため、建設業界は将来働きやすくなるでしょう。

加えて、施工管理技士などの施工管理業務で活かせる資格を取得すると、キャリアアップも期待できます。

施工管理について詳しく紹介した記事はこちら↓

施工管理は大変?施工管理の現実と仕事の魅力を紹介

施工管理で働くなら発注者支援業務

AIの導入によって、施工管理業務も働きやすくなるとはいえ、業界の慣習から残業が多かったり、激務である印象を抱く人も少なくありません。

しかし施工管理の中でも、残業時間が少なく休みもしっかりとれる働きやすい業務はあり、「発注者支援業務」がそれにあたります。

発注者支援業務は、官公庁の発注した工事をサポートする業務です。

公的機関の代わりに業務を行うため、みなし公務員と呼ばれており、給与や福利厚生が公務員に準じているので働きやすく人気の業務です。

施工管理への転職を考えており、プライベートも充実させたいなら、発注者支援業務の求人サイトをチェックしてくださいね。

こちらの記事で発注者支援業務について詳しく解説しています。↓

発注者支援業務とは?仕事内容と必要な資格やスキルまで詳しく解説します

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