Construction column
用地補償総合技術業務とは?重要性や業務内容について解説します
2024.4.29
都市開発や地域振興を目的に大型の商業施設を建てる動きが活発になっています。
そんな大型施設を建てるためには、土地の確保が必要となってきます。
土地の確保には、所有者や地元住民に対して、適切な補償を行うことが重要です。
このような土地取得に際しての業務全般を行うのが「用地補償総合技術業務」といいます。
今回の記事では、この用地補償総合技術業務の重要性や業務内容などについて解説していきます。
目次
用地補償総合技術業務とは
用地補償総合技術業務は、大型施設建設などに必要な土地の取得や、それに伴う損失の補償に関する用地交渉などを行います。
用地取得の早期進捗を可能にすることを目的として行われる業務です。
民間ではなく、公共用地として交渉を進めていくため、一般の不動産業とは違い特殊なものとなっています。
用地補償の重要性
用地補償総合技術業務は、公共事業や企業の施設建設に必要不可欠な役割を担っており、重要性の高い業務です。
その重要性について解説していきます。
・スムーズで円滑な土地取得
土地の取得を円滑に進めるために、適切な補償金額によって土地の権利者の合意をし、迅速な契約へと尽力していきます。
これにより施設建設スケジュールを守ることが可能となってきます。
・土地の権利者との交渉
土地取得のために重要なのは、権利者との交渉や調整です。
適切な補償金額を提案を行い、トラブルなく円満な契約合意につなげていきます。
・法的規定やその遵守
土地取得には法的規定が存在します。
それらを遵守することも、用地補償総合技術業務の業務です。
適切な手続きやそのサポートをすることも重要です。
・プロジェクトの成功の推進
用地補償総合技術業務はプロジェクト成功のカギをにぎっています。
スムーズな土地取得によって、社会的にも利益を生むことにつながります。
上記のように、用地補償総合技術業務は、土地取得においては重要な業務であり、地域発展にも貢献する価値の高い業務です。
業務の概要
用地補償総合技術業務の詳しい業務内容については以下の通りです。
・プロジェクト概要のヒアリング
・現地調査等
・関係権利者の特定
・補償金額の算定や照合
・補償金明細表の作成
・公共用地交渉方針の策定、交渉用の資料の作成
・権利者に対する公共用地交渉
・公共用地交渉後の措置
・移転履行状況の確認
上記のような項目が、用地補償総合技術業務の主な業務内容です。
技術の活用と効果
ここからは用地補償総合技術業務の技術や効果について解説していきます。
用地補償総合技術業務では、GISと呼ばれる地理情報システムを活用しています。
これは、地理的データを収集、管理、分析するためのツールで、土地情報や権利者の分布を可視化し、補償金額の算定に活用されます。
正確な土地評価や土地の調査など交渉の際の材料としての効果的なものです。
さらに評価モデルを構築することによって、さまざまな要因を考慮した補償金額の算定が可能となってきます。
それにより、公平な評価と適切な補償金額の決定に効果を発揮します。
用地補償総合技術業務のメインとなるのは権利者の交渉です。
その交渉スキルはスムーズな交渉につながり、権利者との円満な契約に効果的です。
積算基準と補償方法
用地補償総合技術業務では、土地取得に向けて正確で適正な金額の算出が必要であり、公平性の高い積算基準が必要です。
その積算基準を基に権利者に対しての補償金額を算出していきます。
この基準が不明確で統一されていなけば、円滑な土地取得は困難となってきます。
ここからは、そんな積算基準と補償方法について詳しく解説していきます。
積算基準の考え方
用地補償総合技術業務での費用算出のため積算基準が決められています。
用地調査や測量、補償金額の算定に伴う費用の算出に用いられる基準です。
・用地調査等業務費積算基準
・用地調査点検等技術業務費積算基準
・用地アセスメント調査等業務費積算基準
上記の基準を用いることで、土地取得の際の積算を適切に行うことが可能となるため、積算時の参考や、積算根拠の証明として役立ちます。
補償方法の流れ
用地補償を行う際には、一連の流れに沿って行われる場合が多いです。
・事業計画説明会の開催
地域住民に向けた事業の目的や概要といった計画を説明する会を開催します。
・用地幅杭の設置
用地の範囲を明確にするために、現地に位置や幅を示す杭を設置します。
・土地測量、物件調査
土地の境界を明確にして、土地面積を測量します。
さらに既設の建築物や工作物などの調査を行い、補償金額算定への情報収集を行います。
・補償金額の算定
国で定められた各種基準に基づいて補償金額を算定していきます。
・用地交渉、契約
土地の権利者との用地交渉を行い、補償金額などに納得されたら契約に進みます。
・建物の移転や撤去
取得した用地内の建物や工作物の撤去を行い、土地の引渡しを行います。
補償金の支払いも行われます。
上記のような流れで、土地の取得と補償が行われていきます。
公平性があり、適切な補償方法や手順を踏んでいくことが重要です。
入札と期限
用地補償総合技術業務を行いたい場合は、期限内に入札に参加する必要があります。
入札に参加するためには、参加資格の要件を満たしたうえで、所定の書類を提出し、審査のうえ契約に至れば、業務に従事することが可能です。
そんな用地補償総合技術業務の入札の流れや参加資格について詳しく解説していきます。
h3 入札の流れ
用地補償総合技術業務の入札の流れですが、一般的には以下の通りです。
・入札資格の確認
・入札書類の取得
・入札書類の提出
・契約締結
まずは入札書類にて、自身が入札参加資格の要件を満たしているのかを確認し、求められる入札書類の提出を期限内に行います。
その後、落札者が評価、決定を行い入札成功となれば、契約という形です。
詳細な手続きについては、案件などによって変わってくるので、事前の確認が必要です。
参加資格の要件
入札への参加資格の要件についてですが、案件や入札を実施する自治体などによって変わってきますので、入札前に確認が必要です。
例になりますが、用地交渉業務や関連する業務に関しての実務経験が5年以上や、補償業務に関しての実務経験10年以上、総合補償部門に登録された補償業務管理士であること。
といったように用地補償に関する実務経験や関連する資格保持者でなければ入札に参加出来ない場合が多いといえます。
環境省と関係団体との連携
用地補償の金額算出の際に、その土地の地価や構造物の価値と合わせて、除染に係る補償についても検討しなければいけません。
その補償基準を策定しているのが環境省です。
さらに関係団体として、地方整備局や民間事業者とも連携しながら用地補償業務は進められます。
ここからは用地補償業務での協力関係にある環境省や関係機関について紹介します。
環境省の役割
環境省では具体的に、「除染等の措置としての庭木等の伐採及び除去に係る損失補償基準」と「除染等の措置等に必要な土地等の使用等に伴う損失補償基準」を設けています。
これにより、
用地補償金額の適正化や、除染作業の適切な処理が明確化されるため、用地補償の交渉がスムーズに進めることが可能です。
関係機関との情報共有
用地補償総合技術業務での用地取得を関係機関と連携が行うことによって、早期進捗を行うことが可能です。
用地調査や書類作成、補償金額の決定などさまざまな業務の連携や支援が行われます。
その地域ならではの情報などについても、共有しておくことで用地補償の交渉を有利に進めることも期待できます。
まとめ
今回の記事では、用地補償総合技術業務について詳しく解説していきました。
土地取得や損失補償などの用地交渉を総合的に行う、用地補償技術業務は施設だけでなく、道路や河川、ダムといった公共物設置のための土地の取得や交渉も行う重要な業務です。
大型商業施設や道路、河川などの建設に関わる、社会貢献や地域の利便性向上につながる重要な業務です。
実務経験が必要で、経験だけでなく知識も必要となる用地補償総合技術業務。
社会貢献にもつながるやりがいのある業務であるため、興味のある入札参加要件を満たしている方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。