Construction column
発注者支援業務の設計部門|高度な知識がないと大変?建築士の現実と仕事の魅力を紹介
2023.4.28
「建築設計は高度な知識がないと大変」と言われることがよくありますが、実際のところはどうなのか気になっているという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、なぜ「建築設計は大変」と言われるのか、建築設計の仕事の現実や仕事のやりがいなどについて詳しく紹介します。
目次
建築設計の仕事内容
建築設計は、建物を設計するためのプランを考え、作図を行うのが主な仕事です。
建築設計の仕事は、「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つの要素で構成されており、分業していることも多いです。
「意匠設計」とは、建物のデザインを決めること。クライアントの要望や建物のコンセプトを踏まえたデザインを考えます。
「構造設計」は、建物の強度や安全性を検証する役割を担っています。細かい構造計算をする必要があり、設計の中でも幅広い知識が必要な役割と言えるでしょう。
「設備設計」は、建物を利用する人が快適に過ごすことができるように、必要な設備を検討する役割です。設備に必要な配線や配管などを検討するのも大切な仕事。デザインやコンセプトにも関わる部分なので、意匠設計者と一緒に仕事をすることが多いです。
建築設計の仕事は、多岐にわたり、さまざまな活躍の場が用意されています。
なぜ「建築設計は大変」と言われるのか
なぜ「建築設計は大変」と言われるのでしょうか。
主な理由は以下のとおりです。
- 勉強しなければならないことが多い
- 労働時間が長い
- 転勤や出張が多いことも
- 資格取得などの負担が大きい
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
勉強しなければならないことが多い
建築設計の仕事は、クリエイティブな仕事と思われがちですが、実際は設計する建物の用途やクライアントからの要望によって求められる内容はさまざま。
建築の基礎知識はもちろんのこと、建物の性能やその土地特有の気候の特徴まで把握して設計をしなければならないケースもあります。
さらに、建築関連の法律の勉強も必須。法律に沿った建物を設計しなければなりません。
ときにはプライベートの時間を削ってでも勉強をしなければならないこともあるかもしれません。
建築設計の仕事は、常に新しいことを勉強し続けていく必要があるのです。
労働時間が長い
「建築設計は大変」と言われる理由に、労働時間が長いことが挙げられます。
建築業界は基本的にどこも人手不足と言われており、建築設計の仕事も例外ではありません。
一人ひとりの業務量が多く、定時では仕事を終わらせられないという現実があります。
会社によってさまざまですが、仕事の納期がギリギリで設定されることや、土日祝日でも打合せが入ることなどで、休日出勤や残業時間が増える傾向にあると考えられます。
出張や転勤が多いことも
建築設計の仕事は、現場に足を運ぶことも多いため、出張や転勤が多いというケースも。
遠方の現場であっても、頻繁に出向く必要があります。
最近では、オンラインでの打合せも少しずつ増えてはいますが、図面を書きながらの細かい打合せは、実際に会って調整を進めていく方が、はるかに効率的なのです。
そのため、遠方に度々出張をする必要があったり、工期が年単位の場合、長期的に赴任したりという可能性も。プライベートの時間を大切にしたい人にとっては大きなデメリットとなります。
資格取得などの負担が大きい
建築設計の世界では、「資格を取得して一人前」と言われます。
建築設計で仕事をするのであれば、一級建築士の資格は取得しておきたいものです。
しかし一級建築士の資格は、最難関国家資格と言われ、毎年合格率が10%程度と難易度が高く、勉強に多くの時間を割く必要があります。
学生のうちから試験は受けられますが、実際は社会人になってからの受験という人がほとんど。
仕事をしながら日々の勉強時間を確保しなければならないので、辛いと感じる人も多いかもしれません。
建築設計のやりがい
「大変、つらい」と言われることも多い建築設計の仕事ですが、多くの魅力ややりがいがあるのも事実。
建築設計の主なやりがいは以下の通りです。
- 自分が設計したものが形になる
- 街づくりに貢献できる
- 自分が携わったものが何十年も残る
- 人手不足で活躍の場がたくさんある
- 将来的に独立することも可能
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
自分が設計したものが形になる
建築設計のいちばんのやりがいは、なんと言っても自分が設計したものが実際に形になることでしょう。
建物を設計し、実際に完成したあとに多くの人に喜んでもらえた時の感動は言葉にならないものがあります。
自分が数年かけて設計や施工に携わったものが実際に形になり、世の中の人の役に立っていることを実感できるのは、建築設計ならではのやりがいです。
街づくりに貢献できる
公共の建物やインフラに関わることもある建築設計の仕事。
自分が設計したものが人々が暮らす街に作られることで、街づくりに貢献できます。
一級建築士の資格があれば、街にある全ての建築物を設計することができます。建築士の仕事は、ただ建物を設計するだけでなく、街づくりも担った、人々の生活に密接に関わる仕事なのです。
自分が携わったものが何十年も残る
建物は、完成後何十年もその場に立ち続けています。
自分が心を込めて一生懸命設計した建物が、さまざまな人々に利用され愛され続ける喜びは、建築設計の仕事だからこそ味わえるものです。
人手不足で活躍の場がたくさんある
建築業界は慢性的な人手不足です。そのため、活躍の場はたくさん。
さらに、近年は老朽化した建物が多くなってきており、解体工事や新規の建築件数が増加しています。
それに伴って、建築設計の仕事の需要も高まっているのです。
一級建築士であれば、設計事務所やハウスメーカー、工務店だけでなく、ゼネコンや公共工事に携わる会社など、活躍の場がたくさん用意されています。
大手企業から地域に根ざした工務店や個人事務所まで、さまざまな場所で活躍することができるので、自分に合った働き方を見つけることができます。
将来的に独立することも可能
ある程度の実務経験を積んだら、独立するという選択肢も。
一級建築士事務所や設計事務所を立ち上げることができます。
ひとつの選択肢として頭に入れておくと良いでしょう。
建築設計の将来性
建築設計の仕事は、首都圏の建物密度やAIの出現などによって、仕事がなくなるのではと言われることがあります。
実際のところどうなのでしょうか。
首都圏に多くの建物が密集していることは事実ですが、建物の老朽化や現在の建築基準を満たしていないなどの理由から、建て替えによる新築工事は多く行われています。
中古物件を購入しての大規模なリノベーションやリフォームなども増えているので、建築設計の活躍の場はまだまだ多いと言えるでしょう。
AIは、機械的な単純作業は得意ですが、実際にものを作り出すという点では人間には及びません。
むしろAIは、煩雑な建築設計の仕事のうち、単純作業の負担を減らしてくれる便利なツールとして活躍します。
これまでよりも、クリエイティブな作業に多くの時間を割けるようになるのは、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
まとめ
「建築設計は大変」と言われることが多い理由や建築設計の仕事のやりがいや将来性などについて紹介しました。
労働時間が長かったり資格の取得の負担が大きかったり、長期出張や転勤が多かったり……
このような理由から、仕事とプライベートの両立が難しく、「建築設計はやめとけ」と言われることが多いです。
しかし、建築設計の仕事は、人々が生活するための空間をデザインすることができる素晴らしい仕事です。
ものづくりが好きで、さまざまな技術や知識を身につけたい人にとっては、やりがいと充実感を得ることができます。
また、発注者支援業務の設計部門は「欠かすことのできない部門」です。工事をするにも発注をかけるにも設計図がないと何も始まりません。
全工程の川上にある発注者支援業務の設計部門。
ぜひ、建築士の資格を活かして、国の発展に関わる設計部門で力を発揮してみませんか?