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建設コラム

造園施工管理技士は実務経験なしでもなれる?資格取得方法や仕事内容を紹介

2024.4.29

造園施工管理技士という資格をご存知でしょうか。工事現場を監理する施工管理技士7種類のうちの1つで、緑化工事や公園設備工事等、植物や公園といった自然に関わる「造園工事」を監理するために必要な資格です。

造園施工管理技士の検定は実務経験がなくても受験できるのでしょうか。また、資格を取得するとどのような就職先があるのでしょううか。

今回の記事では、造園施工管理技士の受験資格や試験内容、取得した際に携われる仕事や将来性について解説します。

この記事のポイント

  • 造園施工管理技士検定の受験資格と試験内容が分かります
  • 造園施工管理技士の業務内容や就職先が分かります
  • 造園施工管理技士の魅力や将来性が分かります

造園施工管理技士とは

造園施工管理技士は、いうなれば造園工事の現場監督になるための国家資格です。

施工管理技士は業種によって建築施工管理技士や土木施工管理技士などさまざまな種類があります。造園施工管理技士は公園、庭園、屋上緑化、道路緑化工事といった造園工事に携わるために必要な資格です。

造園施工管理技士は1級、2級があり、取得のためには一般財団法人建設研修センターが実施している検定を受ける必要があります。

検定には級ごとに第一次、第二次があり、両方に合格することで資格を取得できます。

造園施工管理技士になるには実務経験が必要

造園施工管理技士の資格は実務経験なしでは取得できません。

正確にいいますと、2級の第一次検定のみ未経験でも受験できますが、2級の第二次検定、1級の第一次・第二次検定は一定の実務経験が必要になります。

造園施工管理技士の受験資格と試験内容を見ていきましょう。

造園施工管理技士の受験資格

令和6年度より、造園施工管理技士の受験資格が変わります。令和10年までは旧受験資格との選択が可能です。

新旧両方の受験資格をまとめると以下のようになります。

【1級】

学歴・保有資格旧受験資格新受験資格
第一次検定第二次検定第一次検定第二次検定
大学専門学校の「高度専門士」指定学科:実務経験3年以上指定学科以外:実務経験4.5年以上19歳以上(受験年度末時点)・令和3年度以降の1級第一次検定合格後①②③のいずれかを満たす
①実務経験5年以上②特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上③監理技術者補佐としての実務経験1年以上
・2級第二次検定(旧実地試験含む)合格後、1級第一次検定に合格し、①②③のいずれかを満たす
(いずれも2級合格後)①実務経験5年以上②特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
短大・高専専門学校の「専門士」指定学科:実務経験5年以上指定学科以外:実務経験7.5年以上
高校中等教育学校専修学校の専門課程指定学科:実務経験10年以上指定学科以外:実務経験11.5年以上
2級合格者条件なし2級合格後、実務経験5年以上(1級一次検定合格者に限る)
上記以外実務経験15年以上

※旧受験資格の実務経験はいずれも指導監督的実務経験1年を含む必要あり

※旧受験資格は取得資格により実務経験の短縮あり

【2級】

学歴・保有資格旧受験資格新受験資格
第一次検定第二次検定第一次検定第二次検定
大学専門学校の「高度専門士」17歳以上(受験年度末時点)指定学科:実務経験1年以上指定学科以外:実務経験1.5年以上17歳以上(受験年度末時点)・令和3年度以降の2級第一次検定合格後、実務経験3年以上
・1級第一次検定合格後、実務経験1年以上
短大・高専専門学校の「専門士」指定学科:実務経験2年以上指定学科以外:実務経験3年以上
高校中等教育学校専修学校の専門課程指定学科:実務経験3年以上指定学科以外:実務経験4.5年以上
上記以外実務経験8年以上

※旧受験資格の実務経験はいずれも指導監督的実務経験1年を含む必要あり

※旧受験資格は取得資格により実務経験の短縮あり

造園施工管理士の「指定学科」

土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む)、園芸学、林学、都市工学、交通工学又は建築学

造園施工管理技士の試験内容

第一次検定はマークシート形式、第二次検定は記述式で、合格基準は60%以上です。

出題内容と形式は下記表の通りです。

科目出題数回答形式
2級第一次検定・造園原論・造園材料・植栽・造園施設・土木工学・関連工事・測量設計図書・施工管理・法規36問四肢択一式
施工管理法(基礎能力)4問多肢選択式
2級第二次検定経験記述1問記述式
記述問題2問
1級第一次検定・造園原論・造園材料・植栽・造園施設・土木工学・関連工事・測量設計図書・施工管理法・法規65問四肢択一式
施工管理法(応用能力)6問四肢双択式※6問中3問が合格基準
1級第二次検定・経験記述・植栽施工2問(各1問)記述式
・工程管理・品質管理・安全管理より1問選択1問

造園施工管理技士の仕事内容

造園施工管理技士は、造園工事において施工が安全かつ計画通りに進むよう、工事現場の管理や施工計画の作成、作業員への指示などを行います。

造園施工管理技士が携わる工事の種類と施工管理技士としての仕事内容をご紹介します。

造園工事の種類

主な造園工事は以下の10種類です。

植栽工事樹木や草木の植え付けや移植、植栽場所の整備など
地被工事地面を覆う植物(芝やコケ類など)を植える
景石工事観賞用の庭石の選定や設置など
地ごしらえ工事伐採工事後の枝や草木を整理し、地面の状態を整える
公園設備工事花壇、噴水、遊具、売店など公園の建物や工作物の設置など
広場工事芝生広場や運動広場といった公共の空き地を造る
園路工事公園や庭園内の通路の造成や舗装など
水景工事池や滝、遣り水の設置、池の整備、ビオトープの設置など
屋上等緑化工事建物の屋上や壁面などを植物で緑化する
緑地育成工事樹木、芝生、草花などの植物を育成する

造園施工管理技士の仕事

施工管理技士の業務は「品質管理・安全管理・原価管理・工程管理」の4種類です。

品質管理設計図や仕様書に沿う施工ができるよう、に適切に資材を発注したり、正しく作業が進められているかを確認する
安全管理安全に工事が進行するよう、工事現場の設備や環境を整備し、作業員の安全教区や健康管理を行う
原価管理人件費や材料費の原価を計算し、工事が予算内に収まるよう調整する
工程管理工事スケジュールを作成し、それに沿って工事が進むよう作業員や重機の手配、進捗状況のチェックを行う

造園施工管理技士のおすすめポイント

造園施工管理技士は、建設業に就職・転職を考えている方にとっては特に狙い目の資格です。その主な理由を以下にご紹介します。

受験者が少なく希少性が高い

造園施工管理技士は、他の施工管理技士より受験者が少なめです。

令和5年度の1級施工管理技士における第二次検定の受験者・合格者を見ると、造園施工管理技士は他の資格と比較して受験者が少なく、合格率もやや低めです。

受験者合格者合格率
1級造園施工管理技士1,453人629人43.3%
1級建築施工管理技士14,391人6,544人45.5%
1級土木施工管理技士27,304人9,060人33.2%
1級電気工事施工管理技士8,535人4,527人53.0%
1級管工事施工管理技士7,194人4,471人62.1%
1級電気通信工事施工管理技士5,783人2,138人37.0%
1級建設機械施工管理技士569人369人64.9%

参考:日本建設情報センター 

参考:日本資格取得支援 – Japan Qualifications Obtaining Support

参考:日建学院 

合格者数が少ないということは、それだけ希少価値が高いということでもあります。取得は難しいものの競争相手は少なく、一度取得すれば非常に重宝される人材になれることでしょう。

就職の幅が広がる

造園施工管理技士の就職先としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ・造園会社
  • ・土木会社
  • ・建設会社
  • ・不動産会社
  • ・工務店
  • ・公務員
  • ・発注者支援業務

道路工事や建築、リフォームなど、建設や不動産に関わる分野においても、植栽や緑化工事の知識は必要不可欠です。造園施工技士の資格を取得すれば、これらの職種にも門戸が開かれます。

また、造園施工管理技士の資格を生かしながら、「エクステリアデザイナー」や「ガーデンデザイナー」として働く人も増えています。

植物は人の心を癒し、生活を豊かにするために欠かせないものです。造園施工管理技士の資格を取得すれば、「暮らし」に関わる幅広い業種に就職可能です。

緑化工事増加によるニーズの高まり

地球温暖化を始めとした環境問題が深刻化する中、環境に配慮した「サステナブル建築」の重要性が高まっています。

公共施設や大型ビルにおける屋上庭園や壁面緑化の導入が推進されており、造園分野は今後ますます活発化すると予想されます。

まとめ

造園施工管理技士の検定資格や内容、業務内容について解説しました。造園施工管理技士は資格所有者が少なく、希少価値の高い資格です。

さらにサステナブル建築が注目されている近年、造園施工管理技士は建築・土木など他の建設分野においても活躍が期待されています。そのため、幅広い職業を選ぶことができます。

その一つが発注者支援業務です。公務員(発注者)に代わり、公共事業の発注や監督、検査に関わる発注者支援業務は、大規模な事業に関われるやりがいのある仕事です。休日数や労働時間といった待遇面も公務員に順ずることが多く、オフの時間も充実させることができます。

造園施工管理技士を目指している方は、就職先・転職先として、発注者支援業務を考えてみてはいかがでしょうか。

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