Construction column
土木公務員は勝ち組なのか?土木公務員のメリットと公務員以外のおすすめ業種をご紹介
2024.9.24
「土木公務員は勝ち組」という話を聞いたことはあるでしょうか。
土木公務員は技術職の公務員としては採用人数が多く、合格しやすい分野です。
公務員として良好な労働環境の中で、安定した収入が得られる点も大きなメリットです。
しかし、土木公務員には大変なことも多く、「勝ち組」とはいえない点もあります。
土木公務員以外にも「勝ち組」と呼べる仕事はあるのでしょうか。
今回の記事では、土木公務員が勝ち組と言われる理由や、土木公務員の他にも良好な労働環境で働ける仕事について解説します。
この記事のポイント
- 土木公務員の業務内容
- 土木公務員のメリットとデメリット
- 土木公務員以外で労働環境のよい仕事
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目次
土木公務員とは
土木公務員は、土木の技術者として道路や上下水道、トンネルの建設などの公共工事に関わります。
配属先によって仕事内容はさまざまですが、人が生活するうえで必要なインフラ整備を支える重要な仕事であることには変わりありません。
土木公務員の仕事内容や配属先を、国家公務員・地方公務員それぞれについて解説します。
国家公務員の仕事内容
国家公務員の土木職には、「総合職」と「一般職」があります。
総合職は国家公務員の幹部職員候補として、政策の企画立案などの高度な知識・技術・経験が必要な業務に従事します。
土木系の総合職は、インフラ整備の計画立案や、課題解決のための政策立案が主な仕事です。
一方、一般職は総合職が作った政策を実行する役割を担います。
土木系の一般職においても、総合職の立案にしたがって計画を遂行するのが主な役割です。
国家公務員の配属先
土木系の国家公務員の配属先には、以下のようなものがあります。
いずれも国のインフラを支える重要な仕事に携わります。
総合職の配属先 | ・国土交通省 ・環境省 ・経済産業省 ・防衛省 |
一般職の配属先 | ・国土交通省の各地方整備局 ・気象庁 |
地方公務員の仕事内容
地方公務員は、地域住民を対象としたインフラ整備事業に携わります。
配属された地方自治体によって仕事内容は異なります。
市町村の地方公務員は、上下水道や公園、市営施設の運営が主な仕事です。
一方、都道府県の地方公務員は、国や市町村と連携しながら、比較的大規模なインフラ工事を担当します。
地方公務員の配属先
土木系の地方公務員の配属先には、以下のようなものがあります。
国家公務員より住民との距離が近く、地元に根差した事業に取り組める点が特徴です。
・本庁
・地域振興局
・建設事務所
・土木事務所
・港湾事務所
・市街地整備事務所
※地方自治体によって配属先や部署名は異なる場合があります。
土木公務員が勝ち組といわれる理由
土木公務員は、土木系の就職先としては「勝ち組」と言われています。
その理由としては、公務員としては比較的なりやすく出世しやすいこと、労働環境が良好であることが挙げられます。
土木公務員が勝ち組といわれる理由を、以下に詳しくご紹介しましょう。
倍率が比較的低くなりやすい
公務員の土木職は倍率が比較的低く、なりやすい仕事です。
2024年における国家公務員試験において、行政職の倍率※が3.4倍であるのに対し、土木職は2.6倍とやや低めです。
また、地方公務員においても土木は倍率が低い傾向にあります。
同じく2024年の大阪府職員採用試験の倍率は、行政職9.0倍、土木職1.5倍と6倍もの差があります。
自治体や年度によってばらつきはあるものの、土木公務員の倍率は比較的低めです。
採用の可能性が高い傾向にある点は、土木公務員の大きなメリットといえるでしょう。
※倍率:最終合格者数÷申込者数
出典:国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況 2024年度
出世しやすい
土木公務員は出世しやすいといわれています。
その理由としては、職員数の多さが挙げられます。
2024年における土木系国家公務員の採用人数は312人、大阪府における土木系職員の採用人数は64名と、全技術職の中でトップです。
職員数が多いということはそれだけポストも多く、出世の道が数多くあるということです。
また、土木職は扱う金額が大きいことから、重要なポストに就きやすいともいわれています。
出典:国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況 2024年度
肉体労働が少ない
土木公務員の主な仕事は発注や書類作成、進捗状況の確認といった事務職です。
実際の土木工事は請負業者に発注するため、現場に出向いて力仕事をすることはほぼありません。
自治体によっては災害時の土のう運びやマンホールの開け閉めといった力仕事がありますが、肉体労働の多い土木技能者(職人)に比べると、体力的な負担は小さいといえます。
休日数が多い
休日数が多いのも、公務員が勝ち組といわれる理由の一つです。
国土交通省が2022年に発表した「建設業における平均的な休日の取得状況」によると、建設業で4週8休以上の休日数が確保できている事業所は、全体の8.6%しかありません。
このように、建設業は休日数が少ない傾向にあり、肉体労働が多いことも相まって体力的にきつい仕事です。
2024年から働き方改革の一環として週休2日制が進められているものの、民間企業が十分な休日数を確保するまでにはまだ時間がかかるでしょう。
しかし、公務員であればほぼカレンダー通りに休めます。
連休が確保できるため、余暇を楽しんだり、家族との時間を過ごしたりでき、ワークライフバランスを充実させられる点が大きな魅力です。
安定した収入が得られる
公務員が勝ち組といわれるのは、安定性の高さも関係しています。
土木分野は、新型コロナウイルスの影響や建築資材・建機の高騰のため、民間企業の倒産が増えています。
東京商工リサーチの調査によると、2023年の建設業の倒産件数は1,693件です。
前年より約40%増、2年連続で前年を上回るという深刻な状態になっています。
民間企業に就職できても、倒産のため失業してしまうリスクがあり、安心はできません。
一方、公務員は基本的に、定年まで勤め続けられます。
安定性を重視する風潮のある日本において、公務員は「勝ち組」といわれている理由です。
大規模な公共工事に関われる
大規模な公共工事に携われる点も、土木公務員の大きな魅力です。
道路やダム、トンネルなど、人の安全と生活に欠かせない設備の施工や維持に関われます。
国家公務員の総合職であれば、都市計画のプランニングなど国の根幹ともいえる仕事にも取り組めます。
大きな金額を動かし、人のためになる設備を作り上げる、「花形」の仕事であることも、土木公務員が勝ち組とされる理由といえるでしょう。
公共工事の重要性については以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
土木公務員の大変なところ
土木公務員は勝ち組と言われていますが、良い点だけではありません。
公務員ならではの大変な点も数多くあります。
土木公務員のデメリットを以下にご紹介します。
災害時は多忙を極める
災害時、土木公務員は多忙を極めます。
台風や地震の影響で道路や護岸といったインフラ設備が壊れてしまった場合、早期の修復が求められるためです。
災害工事の設計書策定から業者への発注、工事現場の巡回など、通常の数倍以上の業務が短期間に凝縮されます。
残業や休日出勤が続き、プライベートが犠牲になることも少なくありません。
災害対応は住民の暮らしを守るすばらしい仕事ですが、心身ともに負担が大きい点は覚悟しておきましょう。
クレームが多い
クレームが多い点も土木公務員の大変な点です。
公務員自体が住民からのクレームを受けやすい仕事ですが、土木は住民の安全・快適な生活に直結するため、特にクレームが多くなります。
道路や橋の補修について理不尽な要望があったり、大工事を行う際、近隣住民の理解を得られず苦情に発展してしまう場合もあります。
住民のために働いているにもかかわらず、住民からクレームを受けるつらさに耐えられず離職してしまう人も少なくありません。
努力が給与に反映しづらい
公務員は安定性の高さが魅力ですが、その反面努力によるキャリアアップは難しい傾向にあります。
年功序列のため昇給や昇進のペースが決まっているためです。
時には自分より仕事ができない人が先に昇進することもあり、くやしい思いをすることもあるでしょう。
民間の土木施工管理技士であれば、実務経験を積み資格を取得することで大幅にキャリアアップできるチャンスがあります。
向上心が高く、学び続ける意欲のある人にとっては、公務員は物足りないと感じるかもしれません。
土木公務員以外で労働環境の良い職種
土木公務員は肉体労働が少なく、休日数がある程度確保されている点が魅力ですが、デメリットも数多くあります。
それでは、土木公務員以外で労働環境の良い仕事としては、どのようなものがあるでしょうか。
以下に詳しくご紹介します。
民間のインフラ系
NEXCO、JR、電力会社など、民間のインフラ系企業は大企業であることから、待遇や福利厚生が充実している傾向にあります。
インフラ系企業の代表例は以下の通りです。
高速道路 | ・NEXCO東日本 ・NEXCO中日本 ・NEXCO西日本 ・首都高速道路 ・阪神高速道路 |
鉄道 | ・JR東日本 ・JR西日本 ・JR東海 ・東京メトロ ・私鉄各社 |
電気 | ・東京電力 ・関西電力 ・中部電力 |
ガス | ・東京ガス ・大阪ガス ・東邦ガス ・西部ガス |
NEXCOの待遇については以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
建設コンサルタント
建設コンサルタントは、社会インフラに関わる設計、施工管理、引き渡しといった各工程において専門的な立場からアドバイスをします。
公共事業に携わることが多いことから週休2日制が確保されており、また土木分野の中では残業時間が少ない傾向にあります。
大規模な公共事業に携わりながら、ワークライフバランスが取れる点が大きなメリットです。
建設コンサルタントの魅力については以下の記事でも詳しくご紹介しています。
「建設コンサルタントは大変」ってホント?建設コンサルタントの現実と仕事の魅力を紹介
発注者支援業務
発注者支援業務は、公共事業や大規模な建設プロジェクトにおいて、発注者である公務員をサポートして工事の調整や管理をする仕事です。
建設コンサルタントと同じく、公務員と一緒に仕事をすることが多く、労働時間や休日数は公務員に準拠しています。
労働環境が整っており、働きやすい仕事であるといえるでしょう。
発注者支援業務のメリットについては以下の記事で詳しくご紹介しています。
発注者支援業務のメリットは?働く上での重要ポイントもまとめました!
まとめ|土木分野の転職はMACにご相談ください
土木の公務員は公共工事に携わる中で人の役に立てる実感を持てる仕事です。
公務員は安定性が魅力ですが、特に土木系公務員は倍率が低く、出世しやすいという特徴があります。
しかし、一方で災害対応やクレーム対応など心身ともに負担の多い業務もあり、きつい仕事でもあります。
労働環境を重視するのであれば、公務員の仕事をサポートする建設コンサルタントや発注者支援業務も選択肢の一つです。
公務員とは違う視点で公共事業に携われる点も魅力です。
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