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Construction column

建設コラム

建設業はなぜ人手不足なのか?理由と現状、対策を解説

2024.7.15

「建設業は人手不足だから就職がしやすい」という話を聞いたことはあるでしょうか。

実際、建設業は慢性的な人手不足の状態です。

その背景には、建設工事の需要増に加え、従事者の高齢化や後継者不足といった問題が潜んでいます。

しかし、建設業は現在、労働環境の改善やイメージアップに努め、建設業従事者、特に若年層の雇用増加を目指しています。

今回の記事では、建設業が抱える人材不足問題の現状と理由、対策について解説します。

「建設業の人材不足問題について実情を正しく知りたい」「建設業に転職したいが、人手不足ということは、やはり労働環境が悪いのではないか」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事のポイント

  • 建設業における人手不足問題の現状
  • 建設業が人手不足になる理由
  • 建設業における人手不足解消のための対策

データで読み解く建設業の人手不足問題

「建設業は人手不足」と言われていますが、事実なのでしょうか。また、人手不足であるとすれば、どの程度人手不足なのでしょうか。

まずは、建設業における人手不足問題をデータで読み解いてみましょう。

建設業者数はピーク時から2割以上減

出典:総務省 国勢調査

上記のグラフは1995年から2020年まで、5年ごとの建設業就業者数を表したものです。

1995年時点では671万人であった建設業就業者は、2020年には486万人と、四半世紀で他3割もの減少を見せています。

建設の8職種全てが人材不足

続いて、職種ごとの不足率を見ていきましょう。

型わく工(土木)1.40%
型わく工(建築)0.50%
左官1.90%
とび工0.30%
鉄筋工(土木)1.50%
鉄筋工(建築)1.50%
6職種計0.80%
電工0.90%
配管工1%
8種職計0.80%

出典:国土交通省 不動産・建設経済局 建設市場整備課 建設労働需給調査結果(令和6年5月調査)

8業種全てにおいて人手不足の状態となっています。

特に左官や鉄筋工(土木・建築)の不足が著しいようです。

1%程度の不足と聞くとわずかに感じられますが、建設業就業者が約500万人と考えると、5万人もの不足が生じているということです。

高齢化が進んでおり、若年層の確保が急務

出典:総務省 労働力調査 年齢階級,産業別就業者数(2022年度)

建設業における人的資源の課題は単純な人手不足に留まらず、高齢化も深刻な問題になっています。

上記は、建設業就業者の年齢構成(2022年度)を円グラフにしたものです。

およそ4分の1が60歳以上の高齢者であり、10年後にはその大半が引退することが見込まれます。

一方、次世代を担う15~29歳の若年層は1割程度に留まります。

たとえ若年層が離職することなく中堅層になったとしても、次世代を育成するには人数が足りません。

高齢化問題を放置していると次世代が育たず、建設業界は先細りになってしまうでしょう。

気になる建設業の将来性については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

建設業への転職の将来性は?オススメの職種も紹介!

建設業が人手不足になる理由

建設業は深刻な人手不足に陥っています。

現在必要とされる建設工事を遂行できないだけではなく、若年層が少ないことから、次世代への知識や技術の継承ができないことも大きな問題になっています。

なぜ、建設業は人手不足の状態が続いているのでしょうか。その主な理由として、以下の4点が挙げられます。

労働環境が悪い

第一に挙げられるのが、長時間労働や休日出勤の多さです。

建設工事は天候や納品トラブルなどにより、作業に遅れが出ることも少なくありません。

工期内で作業を完遂するとなると、スケジュールがタイトになり、一人当たりの作業量が増えて長時間労働や休日出勤を強いられる結果となります。

加えて、建設業は肉体労働が多く、体力的にもきつい仕事です。

さらに高所作業や雨天時の作業も多く、労働災害が多いこともあり、労働環境は決して良いとはいえません。

若者離れが進んでいる

最初にグラフを交えてご紹介したとおり、建設業は若年層が少なく、高齢化が著しくなっています。

建設業において若者離れが進んでいる理由としては、先ほどご紹介した労働環境の悪さが挙げられます。

加えて、建設業は「3K」(きつい、汚い、危険)という悪いイメージが定着しており、若年層から敬遠されてしまうことも理由として上げられるでしょう。

現在は何とか数パーセントの人手不足で留まっている状態ですが、このまま若者離れが続くと、次世代が育たず建設業全体の生産性が落ちてしまいかねません。

建設業の若手不足問題については、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

建設業に若手がいない・増えない理由とは?高齢化と慢性的な人手不足を解決する方法

円安による外国人労働者の不足を招いている

近年続いている円安も人手不足を加速する要因です。

高齢化が進む日本では、外国人労働者が貴重な労働力になっています。

外国人労働者にとっても、高賃金の日本で働けるのは非常に魅力的で、日本企業と海外労働者相互に利のある関係でした。

しかし、円安が進み日本円の価値が下がったことから、外国人労働者が日本で働くメリットは少なくなりました。

このまま円安が続いてしまうと、外国人労働者の流出が著しくなり、より人手不足に陥ってしまう危険性があります。

建設業の需要拡大が続いている

建設業の従事者が減少している反面、建築工事の需要は増しています。

出典:国土交通省 建設投資見通し

建設投資額は2012年頃より常に上昇傾向にあり、特に伸びが著しいのは民間建築です。

低金利によって住宅ローンが組みやすくなったことにより、マイホームの建築が増えていることが一因でしょう。

公共工事への投資も微増の状態です。

東京オリンピックや万博といった非常に大規模な工事が行われているほか、橋梁やトンネルといったインフラの更新工事が盛んに行われているためだと考えられます。

現在は、建設工事の需要に対して労働力の供給が足りていない状態です。

今後より建設工事が増えると、さらに人手不足が進んでしまうでしょう。

建設業の人材不足を解消するための対策

建設業の人材不足は今や顕著なものとなり、増大し続ける建設工事に対応できなくなる恐れがあります。

さらに高齢化が進むと次世代の育成が難しくなり、技術や知識の伝承が途絶えてしまいかねません。

建設市場の未来を守るためには、早急に人手不足を解消する対策を行う必要があります。

特に有効と考えられる対策について、ご紹介します。

労働環境の改善

最も重要かつ有効な対策は労働環境の改善です。

考えられる手段としては、以下のようなものが挙げられます。

・給与アップ
・完全週休二日制の導入
・休暇制度の導入
・社会保険完備
・労働災害防止のための安全研修
・福利厚生

2024年4月には建設業においても「働き方改革関連法」が適用され、時間外労働の上限規制や割増賃金アップなどの労働環境改善策の実行が求められています。

建設業界全体の処遇改善は、今後ますます加速すると考えられるでしょう。

建設業の働き方改革については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

建設業の働き方改革|2024年問題とは何かを解説します。

適切な工期設定

建設業の労働環境が悪いといわれる理由の一つに、無理な工期設定による長時間労働の誘発が上げられます。

先述の通り、建設市場は人手不足にも関わらず、需要が拡大しています。

多くの工事をこなすために工期が短く設定され、1日の作業時間が増えてしまっているのが現状です。

労働環境改善のためには、工期の見直しが必要です。

国土交通省に設置された諮問機関である「中央建設業審議会」では、工期に関する基準を作成しています。

工期を定める際には、設定された基準に合わせて見積もりをすることが求められています。

基準より著しく短い工期が設定されると、請負契約締結の禁止や勧告といったペナルティを受けなくてはなりません。

適切な工期設定は長時間労働を解消できるだけではなく、建設工事の品質や安全性向上にもつながります。

受注者だけではなく、発注者にもメリットの大きい施策だと言えるでしょう。

出典:国土交通省 建設・不動産業:工期に関する基準

生産性の向上

「人を増やす」だけではなく、「一人当たりの生産性を増やす」ことも人手不足解消の重要な手段です。

科学技術の発達が著しい昨今、建築業界においてもDX化が進み、人的コストの削減と生産性向上を実現しています。

ロボットやドローンを導入し、危険箇所での撮影や単純作業を機械に任せることで、人は打ち合わせや設計、積算といった知的作業に集中できます。

また、ICT端末を利用することで現場と営業所間のやり取りがスムーズになり、施工管理が現場に赴かなくても作業が進むようになりました。

DX化は単に生産性が上がるだけではなく、危険作業や現場訪問の機会を減らすことで、従業員の心身の負担を軽減できるというメリットもあります。

※DX:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
出典:総務省 デジタル・トランスフォーメーションの定義

建設DXについては、以下の記事で詳しく解説しているので併せてチェックしてみてください。

建設DXで着目すべきポイントや国の取り組みについて解説します

建設業のイメージアップ

建設業において若者離れが著しい原因のひとつに、建設業に対するイメージの悪さがあります。

若年層の雇用拡大を通じて人手不足解消、次世代への技術伝達を実現するためには、建設業のイメージアップに努める必要があるでしょう。

国土交通省では「建設業イメージアップ戦略実践プロジェクトチーム(CIU)」が発足されました。

CIUでは、建設現場の仮囲いをデザイン性の高いものに変える、重機のイベントを実施するといった試みを行っています。

地方の取り組みとしては、北九州市の「ケンチク男子・ケンチク女子」プロジェクトが挙げられます。

建設業や製造業の現場で生き生きと働く若者の姿を特設サイトで取り上げ、業界のイメージアップとともに人材確保を目指すプロジェクトです。

「建設業はかっこいい、楽しい」というイメージを一般の人、特に次世代を担う子供たちに持ってもらうことで、人材不足を解消し、建設業の持続的発展につなげられるでしょう。

出典:国土交通省 「建設業イメージアップ戦略実践プロジェクトチーム(CIU)」の設置

出典:北九州市 「ものづくりの街」北九州市「ケンセツ男子・ケンセツ女子」プロジェクト

まとめ|建設業の転職にお困りの場合はMACにご相談ください!

建設業における人手不足問題の現状とその理由、対策について解説しました。

建設業が人手不足になる原因としては、労働環境やイメージの悪さによる若者離れが挙げられます。

人手不足を解消し、人材を確保するために、国や地方、企業それぞれが処遇の改善や生産性の向上、イメージアップに努めています。

建設業の労働環境は改善の兆しが見られながらも、人手不足が続いており売手市場の状態です。

建設業への転職を考えるなら、今がチャンスだといえるでしょう。

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