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Construction column

建設コラム

施工管理は人手不足が当たり前?人手不足の理由と改善のための取り組みとは

2024.8.20

施工管理は人手不足が当たり前となっています。

その背景には資格所有者の高齢化や、建設業の需要拡大などがあります。

施工管理は責任も重く、体力が必要なきつい仕事であるため、人手不足になるのも当たり前だと思われるかもしれません。

しかし、施工管理の待遇は改善の兆しが見られます。

施工管理への転職を狙うのなら、今がチャンスだといえるでしょう。

今回の記事では、施工管理の人手不足が当たり前となっている現状とその理由、施工管理の人手不足問題を解消するために国や企業が行っている取り組みについて解説します。

施工管理に興味がある方は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。

この記事のポイント

  • 施工管理の人手不足が当たり前となっている現状と理由
  • 施工管理の人手不足解消のために行われている施策
  • 施工管理のやりがいや魅力

なお、当社MACでは発注者支援業務を行っており、施工管理の転職をサポートしています。

これから施工管理の仕事を探したいと感じているのであれば、以下のリンクからLINEにて無料でご相談ください。

施工管理の人手不足問題は慢性化している

施工管理をはじめ、建設業就業者は減少の一途をたどっています。

建設業の人手不足を裏付けるデータとして、国土交通省の発表した建設業の就業者数の推移を見てみましょう。

 1997年2021年減少率
建設業就業者685万人498万人27.3%
技術者※141万人31万人24.4%
技能者※2455万人331万人27.3%

※1 技術者:施工管理を行う者。直接的な作業は基本的には行わない
※2 技能者:建設工事の直接的な作業を行う、技能を有する労働者

参照:最近の建設業を巡る状況について

建設業全体及び技能者の就業者数はピーク時の1997年と比較して、27%もの減少を見せています。

技術者(施工管理)の減少率は24%と、建設業全体及び技能者よりは緩やかであるものの、減少しているという事実には変わりありません。

建設業全体の人手不足問題については、以下の記事で詳しくご紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

建設業はなぜ人手不足なのか?理由と現状、対策を解説

施工管理の人手不足問題を取り巻く現状

施工管理の人手不足問題を引き起こす要因としては、「資格所有者の高齢化」、「建設業の需要拡大」が挙げられます。

国土交通省のデータから現状を読み解いていきましょう。

資格所有者の高齢化

まずは国土交通省が発表した監理技術者資格所有者の年齢構成を見てみましょう。

監理技術者とは、下請け金額が4,500万円以上の大規模工事に配置が義務づけられている技術者です。

※全職種合計(業種間の重複無し、各年度末時点での数値)

出典:国土交通省 建設業(技術者制度)をとりまく現状

グラフから、60代以上(シニア層)と30代以下(若年層)の割合の変化を見ていきましょう。

まずシニア層の割合ですが、平成14年には14%程度であったのが、平成4年には35%と倍以上に増えています。

一方、若年層の割合は約22%から約11%と半減しています。

資格所有者数は近年63〜68万人程度で推移しており、激しい減少は見られていません。

しかし、5〜10年後に全体の1/3を占めるシニア層が退職すると、監理技術者は大きく減少し、大規模な工事の施工が困難になる恐れがあります。

建設業の需要拡大

一方、建設業の需要は拡大を見せています。

同じく国土交通省のデータによると、建築投資額は2012年頃から増加し続けています。

出典:国土交通省 建設投資見通し

技能者(職人)不足は工法や工期の調整により補完が可能ですが、技術者(施工管理)がいなければ施工自体が不可能になってしまいかねません。

特に、大規模な公共工事は、技術者の中でも高度な技能・経験を持つ監理技術者の配置が必要不可欠です。

このまま施工管理の人手不足が加速すると、生活に直結する公共工事の施工が滞ってしまう恐れがあります。

施工管理の人手不足が当たり前となっている理由

施工管理の人手不足が常態化している背景には、施工管理の抱える労働環境上の問題があると考えられます。

施工管理は責任が重く、心身ともに負担の多い仕事です。

長時間労働や出張、転勤が多く、ワークライフバランスを保つことが困難であるため、特に出産や育児などライフステージの変化の多い女性には就業しづらいといった問題があります。

施工管理の人手不足を引き起こしている要因について、以下に詳しくご紹介します。

長時間労働を余儀なくされる

施工管理は長時間労働の多い仕事です。

国土交通省の調査によると、令和3年度における建設業の年間実労働時間は1978時間です。

製造業の年間労働時間1,874時間、全産業1,632時間と比較すると、かなり多いことが分かります。

特に施工管理は、建設業の中でも長時間労働を余儀なくされる職種です。

工期中は現場の巡回に加え、事務仕事や関係者とのやり取りといった内勤の仕事も増えます。

一日の作業が終わり、職人が帰った後も業務をこなさなければならず、必然的に労働時間は長くなります。

さらに、天候やアクシデントにより工期の遅れが生じると、スケジュールがタイトになり、休日出勤や残業で遅れを取り戻さなければならない事態にもなりかねません。

ワークライフバランスの重要性が高まっている現在、長時間労働になりがちな施工管理は敬遠されてしまうでしょう。

出典:国土交通省 最近の建設業を巡る状況について

転勤・出張が多い

転勤や出張が多い点も施工管理のネックとなるところです。

施工管理は管理者として現場に出向き、工期の進捗状況や安全確認をしなくてはなりません。

そのためどうしても出張や転勤が多くなってしまうのです。

日本建設産業職員労働組合協議会が2021年に行った調査によると、建設業(外勤)の既婚者のうち、4割が単身赴任をしているという結果になっています。

単身赴任による生活費の増加、家族とのコミュニケーション減少が離職につながっている可能性は十分に考えられます。

参照:日本建設産業職員労働組合協議会 時短アンケート2021

責任が重い

施工管理は、現場を管理する責任の重い仕事です。

毎日現場に赴き、スケジュールや仕様通りに作業が進んでいるか、現場の環境や作業内容に危険な箇所はないか、細やかに確認する必要があります。

トラブル発生時や、発注者から追加や変更の依頼があった際にも、臨機応変に対応しなければなりません。

時には、発注者と職人との板挟みになることもあります。

プレッシャーや人間関係のストレスに耐えかねて、離職を選んでしまう場合もあるでしょう。

施工管理の責任の重さや人間関係の問題については、以下の記事でも触れているので参考にしてみてください。

施工管理はきつい?仕事が大変な理由と解決方法を紹介!

男性主体で女性が就業しにくい

建築業界は全体的に男性主体で、女性が就業しづらい業種です。

令和4年の建設業活動実態調査によると、建設技術職者の男女比は約15:1と、圧倒的に男性が多いことが分かります。

施工管理は体力的に負担の多い仕事であること、現場に女性向けのトイレや更衣室など、女性に配慮した設備が少ないことが、女性の進出を妨げていると考えられています。

人手不足を解消するためには、女性の就業機会を増やすことが重要です。

しかし、施工管理における女性の進出には、数々のハードルがあるといわざるをえません。

女性が施工管理に就業する上での課題やメリットは、以下の記事で詳しくご紹介しているのでチェックしてみてください。

施工管理は未経験の女性でもできる?女性ならではのメリット・デメリットを解説

参照:国土交通省 令和4年 建設業活動実態調査の結果

施工管理の人手不足問題を解消する施策

当たり前ともいわれている施工管理の人手不足問題ですが、現状を打破するための施策が公民一体で行われています。

人手不足を解消するためには、以下の3つの課題を解決する必要があります。

1.就業希望者を増やす
2.離職者を減らす
3.生産性を上げる

上記の課題に対する具体的な施策をご紹介しましょう。

長時間労働の是正

人手不足解消の最重要施策ともいえるのが、長時間労働の是正です。

先述の通り、施工管理は長時間労働が常態化しているケースが多く、若者離れの要因になっています。

長時間労働は、国を挙げて改善が目指されている課題の一つです。

2018年には「働き方改革関連法」に伴い、時間外労働の上限が設けられ、上限を超えた場合、罰則が科されることになりました。

建設業においては人手不足が常態化していることから、法令の適用が猶予されていましたが、2024年4月より、建設業においても同様のルールを守らなくてはならなくなりました。

しかし、長時間労働が常態化している建設業において、時間外労働の上限ルールを遵守することは非常に困難です。

建設業における働き方改革をより促進するための施策として、国土交通省では「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しました。

同プログラムでは、「長期労働の是正」の具体策として以下の2点が掲げられています。

1.週休2日制の導入を後押しする

公共工事における週休2日制工事の実施団体・件数の大幅な拡大、公共工事の週休2日工事における労務費の補正導入、働き方改革に取り組む企業の評価などにより、週休2日制を促進する

2.各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進する

適切な工期設定を示したガイドラインの策定や工期設定支援システムの周知を通じ、長時間労働を余儀なくされる無理な工期設定を排除する

求人要件や資格試受検条件の緩和

施工管理の人手不足により、求人要件を緩和してでも人材を集めたいと考える事業者も増えてきました。

施工管理の求人サイトにも「未経験者歓迎」の募集が多く見られるようになり、施工管理に意欲や興味があれば、未経験者でも就業できる可能性が高まっています。

施工管理に携わる上で欠かせない「施工管理技士」の資格についても、令和6年に改正され、受検資格に必要な実務経験年数が変更されました。

旧受検資格新受検資格
施工管理技士2級(一次試験)実務経験不問実務経験不問(旧受検資格より変更なし)
施工管理技士2級(二次試験)卒業後1~8年(学歴・学科により異なる)2級第一次試験合格後3年以上

1級第一次試験合格後1年以上
施工管理技士1級(一次試験)卒業後0~15年(所有資格・学歴・学科により異なる)実務経験不問
施工管理技士1級(二次試験)卒業後3~15年(学歴・学科により異なる)1級第一次試験合格後
①実務経験5年以上
②特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
③監理技術者補佐としての実務経験1年以上

2級第一次試験合格後
①実務経験5年以上
②特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
※いずれも1級第一次試験合格者に限る

参照:国土交通省 令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります

上記の改正により、学歴や専攻した学科に関わらず、最短1年程度で施工管理技士1級の資格取得が可能になりました。

未経験者や他業種からの転職者であっても資格取得に挑戦しやすくなったことから、施工管理の人手不足解消につながると期待されています。

施工管理技士の受検資格改正については、以下の記事で詳しくご紹介しているので、併せて参考にしてみてください。

【令和6年4月更新】施工管理士の受検資格改正の変更点を解説

DX化による生産性向上

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、生産プロセスに革新的な変化をもたらすことを指します。

建設業においても、AIやIoT、クラウドコンピューティング、ロボティクスといったデジタル技術が導入され、自動化・省力化が進められています。

具体的なデジタル技術は以下の通りです。

・ドローンによる高所の撮影
・ICT建設機械による重機の自動操作
・BIM/CIM導入による関係者間の情報共有の円滑化

デジタル技術を適切に取り入れることで、人手不足による生産性の低下を補えます。

さらに、出張頻度の低減や事故防止にも役立ち、労働環境の改善につながります。

建設DXについては以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

建設DXで着目すべきポイントや国の取り組みについて解説します

女性の定着促進

施工管理の人手不足問題を解消するためには、女性の力が必要不可欠です。

国土交通省においても、令和2年に「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画~働きつづけられる建設産業を目指して~Plan for Diverse Construction Industry where no one is left behind」を策定、女性の起用と定着を目指しています。

上記計画の目標と具体的な取り組み内容は、以下の通りです。

目標取組内容
働きつづけられるための環境整備を進める・働き方改革の促進・働き方に多様性を持たせる(短時間勤務、テレワーク、フレックス制など)・工事現場に快適トイレや更衣室を設置
女性に選ばれる建設産業を目指す・教育現場と連携し、学生とその保護者に建設産業の魅力を伝える
・女性定着に関する企業の好事例を紹介
・建設産業における働き方改革の取り組みについての情報発信
建設産業で働く女性を応援する取組を全国に根付かせる・広報活動・建設産業女性定着支援ネットワークのさらなる活動の充実、全国展開
・地域中小建設企業における女性技術者・技能者の確保・育成

参照:国土交通省 建設産業における女性の定着促進に向けた取組について

※取り組み内容は一部抜粋し、要約しています。

施工管理の魅力

施工管理は責任が重く、体力的にもきつい仕事ですが、やりがいや魅力も多くあります。

施工管理の主なメリットをご紹介しましょう。

成果が形として残る

仕事の成果が形として残るのが施工管理の大きな魅力です。

自身が携わった家やインフラ設備が人に利用されたり、地図に載ったりするところを見ると、「自分がこれだけの大きな仕事をしたのだな」と実感できます。

物作りが好きな人や、社会貢献がしたい人に向いた仕事です。

施工完了後に達成感を味わえる

施工管理は責任が重い分、達成感を味わえる仕事です。

建設工事には、トラブルがつきものです。

悪天候や資材不足による工程の遅延、クライアントからのオファー変更、現場の事故など、さまざまな問題に現場監督として対処しなければなりません。

トラブルを解決し、定められた工期・予算で安全に仕事を終えられた時の満足感は、責任者だけが得られるこの上ないやりがいです。

努力次第でキャリアアップできる

施工管理は自分の努力次第で、着実にキャリアアップできます。

まずは雑用や先輩社員の補助から始めて経験を積み、施工管理技士の資格を取得することで、主任技術者や監理技術者といった責任者の地位に就業できます。

学歴に関わらず、実務経験や資格試験の勉強を積み重ねることで上を目指せるため、向上心旺盛な人にとっては非常に魅力的な仕事です。

安定して仕事がある

安定性が高い点も、施工管理の魅力です。

人が生活するうえで、家やインフラ設備は欠かせません。

さらに、建設物は一度施工すれば終わりではなく、メンテナンスや建て直しも必要です。

建設業は今後も景気や流行の影響に左右されにくく、安定したニーズが望めるでしょう。

出産や育児、介護により現場を離れても、復帰や再就職がしやすい職種だといえます。

まとめ|施工管理への転職は今がチャンス

施工管理の人手不足問題は深刻化しており、今や「当たり前」とも言われる状態です。

労働環境の過酷さや責任の重さ、女性の進出が困難であることが原因であると考えられています。

しかし、現在では官民一体となって人手不足問題に取り組んでおり、無理のない工期設定やDX化により労働環境は改善の兆しを見せています。

売り手市場である今が転職のチャンスです。

施工管理への転職に興味がある方は、ぜひMACにご相談ください。

専門家の視点からアドバイスをいたしますので、以下のLINEからお気軽にお問い合わせください。

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