Construction column
建設コラム
GX(グリーントランスフォーメーション)とは?建設業との関係や取り組みについて解説します
2023.6.06
2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロに目指す「カーボンニュートラル(CN)」が注目されています。 その中で、2022年には岸田総理を議長とする「GX実行会議」が設置されました。 GXとは、グリーントランスフォーメーションの略で、カーボンニュートラルとも関係します。 今回は、GXとは何か?また、建設業とどのように関わり、取り組みをする動きなのかを解説します。
目次
GX(グリーントランスフォーメーション)について
経済産業省によりますと、GXとはグリーントランスフォーメーションの略で、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと、とされています。 引用:METI Journal Online カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにすることを意味します。この実現をするために、社会の仕組みを変える必要があります。 その社会の仕組みを変えるための取り組みが、GXであるグリーントランスフォーメーションなのです。
GXは経済成長の機会
社会の仕組みを変えて、その活動を経済成長の機会と捉え、産業競争力を高めることが必要といいます。 SDGsにみられる環境問題に対する持続可能な開発目標や、 サステナビリティ経営といった、環境や社会へ配慮し事業を行う企業が価値とされるESG投資などの流れは、経済成長の機会へとつながり始めています。
日本はモノづくり立国というように、品質のよい商品を開発するだけではなく、環境に配慮した商品や技術そのものをカーボンニュートラルの実現に向けて貢献しなければいけないということでしょう。
建設施工におけるGX
国土交通省を中心に建設業全体の生産性を向上させ、働き方改革を行うことで、担い手の確保をふくめてデジタル化への取り組みを加速化させています。 なお、GXの実現に向けた取り組みは、「公共交通・物流」「自動車」「船舶」「航空」「鉄道」「住宅・建築物」「港湾」「道路」「河川・ダム・下水道」「まちづくり」「グリーンインフラ」「建設施工」と多岐にわたって計画されています。 その中で、建設施工を紹介します。 出典:国土交通省/GXの実現に向けた各分野の取組
建設材料の脱炭素化
国土交通省が発注する公共工事の中で、低炭素材料の導入促進を図っていくというものです。 直轄工事では、高炉スラグ微粉末を用いた低炭素型コンクリートブロックを活用するモデル工事を実施し、脱炭素化に向けた取り組みとともに調達上の課題などを検証する予定です。
ICT施工による施工の脱炭素化
ICT施工とは、測量や設計・施工、検査における工程でICT(情報通信技術)を活用し、技術職担当者が持つ高度な業務能力と併せることで、効率的で安全性の向上を工事や作業で実現することができる新しいシステムです。 例えば、重機まわりの作業が減少し、補助作業が不要になることで施工の効率化や生産性が向上されます。 小規模現場においても、スマホなどの汎用機械を活用することで、計測を低コスト化する試みなどを想定しています。
革新的建設機械の導入拡大
建設の抜本的な機構・システムの見直しを目的とし、革新的な建設機械の導入や普及に向けた支援を行います。 革新的な建設機械とは、動力源を電動や水素、バイオマスといったグリーンエネルギーによるものが挙げられています。 また、国土交通省では具体的に、令和5(2023)年2月革新的建設機械の導入や普及に向けて、認定制度の創設を検討し始めました。 この認定制度は、令和5(2023)年度中に創設され、公共調達でのインセンティブも検討されることになります。 出典:国土交通省/革新的建設機械(仮称)の認定制度について検討分科会~電動建機の普及により建設現場もGXを推進~
各先進国の動き
土木・建築分野の低炭素公共調達については、欧米を中心に取り組みが進んでいます。 ・土木・建築分野の低炭素公共調達についてはオランダ・英国が先導 ・米国はトランプ政権で取組が停滞したがバイデン政権で急速に再始動 ・英国による標準化の動き、韓国による国際機関への関与 ・2024オリンピック・パラリンピックパリ大会の施設建設は「クライメット・ポジティブ」と宣言 ・韓国・ドイツによるグリーン購入制度や環境ラベル等の土木・建築分野への活用・連携の強化 出典:国土交通省/発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会/土木・建築分野の低炭素公共調達:先導国の動き
まとめ
今回は、GXについて、また建設業とどのように関わり、取り組みをする動きなのかを解説しました。 世界中で、カーボンニュートラルの実現に向けて工夫がなされている中、特に建設や土木・建築分野の役割は大きいことはわかります。 この先の技術職に対する業務内容は、変化していき改善もされることでしょう。 そして、現場でも環境に配慮をした仕事をしていると実感するはずです。 今後、建設業への就職を検討されている人は、国の機関とともに新しい取り組みを試みている業界であることを意識し、自分に合った仕事を探してみてはいかがでしょうか? 株式会社エムエーシーでは、発注者支援業務として、国土交通省やNEXCO、都道府県の公共事業の建設業務を全国で展開しています。 少しでも、ご興味がある方は、ぜひご検討してみてください。