Construction column
NEXCOの管理員制度ってなに?どんな資格が求められるのか
2023.2.18
2005年の創立以来、東・西・中日本と3か所に分かれて日本各地の高速道路事業を行うNEXCO。今や私たちの生活には欠かせない高速道路は、高い技術力と豊富な知識をもった技術者達によって安心・安全が保たれています。それゆえに、NEXCOは独自の制度を利用して人材を集め、教育をしていることはご存じでしょうか?
NEXCOで働いている人はどんな資格を持っているのか?「管理員制度」について説明しながら一緒に見ていきましょう。
目次
NEXCOの管理員制度とは?
NEXCOで工事発注準備や工事施工段階における監督業務補助を担う施工管理業務を希望する場合には、管理員という位置に属する必要があります。
NEXCOでは独自の「管理員制度」というものを設けており、保有資格や実務経験によって管理員ⅠⅡⅢⅣのどれかに当てはめられます。
NEXCOで施工管理員になるための資格要件とは
ここでは管理員制度について詳しく見ていきましょう。NEXCOが公開しているそれぞれのレベルの必要な資格要件はこちらです。
管理員Ⅳ
2級土木施工管理技術検定における指定学科(土木科)の卒業者等
管理員Ⅳに関しては、専門学校や大学の土木科の卒業生や指定の学科卒業生でなくても「技士補」の資格を保有している人、さらに建設業もしくは建設コンサルタントでの12ケ月以上の経験がある人も当てはまります。
管理員Ⅲ
技術士
技術士補
RCCM
土木学会(2 級技術者以上)
1・2 級土木施 工管理技士
技術員
施工管理初級
経験規定なし
管理員Ⅱ
技術士
RCCM
土木学会(1 級技術者以上)
1級土木施工管理技士
技師 C
施工管理中級
管理員Ⅲなどとして 3 年以上の実務経験
管理員Ⅰ
技術士
RCCM
土木学会(上級技術者以上)
技師 B
施工管理上級
管理員Ⅱなどとして 5 年以上かつ管理技術者として3年以上の実務経験
上記に記載している資格の保有のほか、期日以内に(財)高速道路調査会が実施する【現場監理講習会】の受講も必要です。
業務量増加による管理員不足から資格要件が緩和
上記では管理員に必要な資格と経験について説明しましたが、NEXCO中日本は2018年にこの資格要件が緩和されることを発表しました。この緩和についてはNEXCO3社において適用されます。
その背景には、高速道路リニューアルプロジェクトの本格化や耐震補強事業の拡大などにより管理員不足が発生してしまい、施工管理業務の委託契約手続きに遅れが生じているといった理由がありました。
緩和された内容は以下の表の通りです。
参照:NEXCO中日本 参考資料(1)
https://www.c-nexco.co.jp/images/news/4413/6fd5eef2398f9317620866fa8624cb60.pdf
この緩和により、資格は保有しているが業務経験が足りない若手技術者がより活躍できる場が広がることを狙っています。加えて、資格要件に係る証明手続きが不要になるといった事務作業の減少が期待できます。
土木施工管理技士や土木学会の土木技術者ってどんな資格?
それでは、上記に記載されている土木施工管理技士などの資格がどういったものなのか見ていきましょう。NEXCOの資格要件はあくまで一例にすぎず、会社によって求めている、優先される資格保有者は異なります。今一度、自分の会社がどんな資格保有者を求めているのか、またはどんな資格取得のためのサポートを行っているのか見直してみると良いですね。
土木施工管理技士
土木工事現場の施工管理を行うための国家資格で、「工程」「安全」「品質」「原価」の4大管理と言われる項目全てを管理する人のことを指します。
この土木施工管理技士には1級と2級があり、1級保有者は「監理技術者」2級保有者は「主任技術者」として各現場に配置されます。請負金額が4000万以上の工事現場には「監理技術者」を配置させる義務があるので、1級を保有することでより大きなプロジェクトに参加できる可能性が広がります。
技術士・技術士補
一般的に技術士は技術コンサルタントとして建築に関する計画や設計、分析などの指導がメインの業務となります。例えば、公共事業の事件調査や設計監理、企業からの依頼による調査・研究・技術評価、発展途上国への技術指導などを行います。
この資格は1次試験に合格すれば「技術士補」、2次試験にも合格すれば「技術士」として働くことができます。1次試験には受験資格に縛りがないため、誰でも受けやすいところが魅力的です。
土木学会技術者
2001年より公共社団法人土木学会によって開始されたこの資格は土木分野に関する知識・能力を証明する資格で下記の4種類に分けられます。
2級土木技術者
土木技術者としての基礎知識があり、与えられた任務が遂行できる
1級土木技術者
少なくとも1つの専門分野で高い知識があり、自己判断で任務が遂行できる
上級土木技術者
複数の専門分野の知識と経験があり、課題解決においてリーダーとして任務が遂行できる
特別上級土木技術者
豊富な知識・経験・幅広い見識を持っており、国を代表する技術者として土木業界や社会に貢献できる
2級土木技術者に関しては択一式の筆記試験のみなので比較的誰でも挑戦しやすくなっています。それ以外の資格は口頭試問や記述式の筆記試験で審査され、受験の際には実務経験年数が定められています。自分が希望する資格があれば、一度受験条件は確認しておきましょう。
RCCM
RCCMとは「Registered Civil Engineering Consulting Manager」の略で、土木工事関連の技術者の資格です。建設コンサルティング業務の中にある「管理技術者」「照査技術者」として企画・調査・施工・積算などの幅広い知識が求められます。
RCCMの試験を受けるには最終学歴によって既定の実務経験が必要になるので、これから取得を考えている人は一度そちらも確認しておきましょう。
NEXCOで発注者支援業務をするには?
大規模なプロジェクトに係ることができ、平均よりも高い年収が見込める「発注者支援業務」は土木建設業界において誰でも一度は見聞きしたり、その職を目指そうとする人も多いのではないでしょうか。
NEXCOは高速道路の事業がメインなだけに、他の企業よりも圧倒的に扱っている大規模案件の数が違います。ですので、一企業としてある程度の質を保つため、少しでも能力の高い人材を確保するために「管理員制度」のような資格要件が設けられています。
NEXCOで発注者支援業務をするには最低でも管理員Ⅲの位置に属する必要があります。NEXCOでの発注者支援業務は、国土交通省よりも1人あたりが扱う業務量が多いことから大変な面もありますが、その分早い段階でのスキルアップ・幅広い知識が得られるといったメリットもあります。
これからNEXCOへの転職や新卒採用などを考えている人は自分がどの管理員に当てはまるかぜひ一度確認してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?一見難しそうに見えるNEXCOの管理員制度ですが、要件緩和によって経験問わず既定の資格を持っていることで高い位置の管理員に属することが可能となりました。
土木建設業界においては、高齢化・人手不足の状況が続いているので今は若い世代が活躍できるチャンスが豊富にあります。ぜひ挑戦しやすい資格から取得して、自分の活躍の場を広げてくださいね。