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Construction column

建設コラム

建設キャリアアップシステム(CUSS)って何?その目的やメリットについて徹底解説します!

2023.7.18

建設キャリアアップシステム(CUSS)という言葉は、建設業に関わっている人であれば、聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし、どのようなものなのかと聞かれると、答えに詰まってしまう人も多いと思われます。

そこで、本記事では建設キャリアアップシステム(CUSS)とは何かについて、その目的やメリットとともに解説します。

建設キャリアアップシステムとは?

名前だけなら聞いたことがあるという方が多いであろう、建設キャリアアップシステムとは一体、どのようなものなのでしょうか。

建設業界の課題として、技術者が定着しないことが指摘されています。その原因の一つが、技術者の適正な評価が難しく、ふさわしい賃金が支払われていないことでした。

そこで、国土交通省と一般財団法人建設振興基金が主体となって運用が始まったのが建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System、略称CUSS)です。

建設キャリアアップシステムは、建設業界で働く技術者の資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴などを統一したルールで登録・蓄積する仕組みとなっています。

建設キャリアアップシステムは、2019年4月に本格的な運用が開始され、加入するか否かは現時点では任意です。

しかし、外国人実習生を受け入れる場合には、2020年1月から必須となっていますので注意してください。

建設キャリアアップシステムの目的

建設キャリアアップシステムの仕組みが構築された背景にあるのが、日本における就業人口の減少による建設業界の人材不足です。

これは先ほども述べた通り、後進を指導し育てていく立場にあるはずの技術者が、適切に評価されていないことが一因にあげられています。

そこで、若年層の建設業界への入職を促すことで人材不足に対応し、建設業が魅力的な仕事であることを「見える化」するために建設キャリアアップシステムが考え出されたのです。

以下に、建設キャリアアップシステムの目的を3つ紹介しましょう。

技能者のスキルやキャリアを見える化する

一人ひとりの技術者の個人情報(氏名・住所など)はもちろん、保有資格、社会保険加入状況、研修の受講履歴などをシステムに登録します。

登録すると、ICカード(キャリアアップカード)が交付され、現場に入る際にカードを読み取ることで、いつ、誰が、どの現場で、どんな作業をしたかが記録されます。

就業日数や保有資格、職長経験などが記録・蓄積されることで、知識や経験、スキル、マネジメント能力が客観的に評価されるため、各技術者のスキルやキャリアの「見える化」が可能です。

これにより、技術者は適正な待遇が受けられることになります。

未来の技能者を確保・育成する

若年層の建設業界離れは、放っておけない課題となっています。そこで、建設キャリアアップシステムは、その課題を解決する手段として期待されているのです。

技術者一人ひとりが、スキル及びキャリアアップを果たすことで待遇の向上につながる環境を確実に整備し、建設業が魅力的であることをアピールすることができます。

建設業キャリアアップシステムを推進することで、建設業が他の産業と比べても魅力的であることを示し、未来の技術者となる若者を確保・育成を目指しています。

現在では、登録された就業実績や資格、講習の受講実績をもとに技術者の能力を4つの段階にレベル分けし、客観的な評価をすることが可能になりました。

建設事業者の業務負担を効率化する

これまで、建設現場に入る際には、作業者の個人情報をそれぞれが専用の用紙に記入する必要がありました。

建設キャリアアップシステムに登録するとICカードが交付されるため、各現場で専用カードリーダー等に読み取らせるだけで良くなり効率化が進みます。

また、現場で保有資格状況や社会保険への加入状況が簡単に分かるようになるため、業務管理の効率化につながるでしょう。

さらに、建設業退職金共済事業本部(通称・建退共, けんたいきょう)が管理する退職金についても統合が予定されており、事業者側の事務作業の効率化を図ることが期待されています。

建設キャリアアップシステムのメリット

建設キャリアアップシステムは、申請や導入が難しいように感じているかもしれません。

建設キャリアアップシステムを導入することで、技能者と事業者の双方にメリットがある制度です。

ここでは、建設キャリアアップシステムを導入することによって得られる、技術者側と事業者側のメリットについて解説します。

技能者のメリット

建設キャリアアップシステムに登録することで得られるメリットとして、第一にあげられるのは、適切な評価を受けられ、正当な賃金を得られることです。

建設キャリアアップシステムでは、ICカードに個人情報や保有資格、就業履歴、マネジメント能力など、さまざまなデータが蓄積されます。

それにより、技術者の経験や能力が明確になり、正当な評価を受けられるようになるのです。

また、ICカードを読み取るだけで、自身のキャリアはもちろん、就業履歴も共通のルールに基づいて記録・蓄積されるので、書類による手続きなど面倒な作業が簡略化できます。

さらに、建退共関連の事務作業が簡略できるので、負担やミスを軽減することが可能です。

特に、これまでは転職や事務処理において、共済証紙の発行と貼付作業のミスなどが原因となり、退職金の正しい金額が分からなくなってしまう問題が発生していました。

建設キャリアアップシステムに登録することで、共済証紙の枚数が明確になり、スムーズかつ適切な退職金の受け取りが可能です。

元請け・上位下請け企業のメリット

今までは受注した仕事を下請け企業に任せる際、初めて取引する企業の情報や施工能力、コンプライアンスに関する情報が、施工が始まるまで分からない状態でした。

しかし、建設キャリアアップシステムを導入することで、下請け企業の情報を事前に確認することができるようになります。

信頼できる企業かどうかを見極められるため、工事品質が向上するというメリットを受けられるでしょう。

また、施工管理台帳や作業員名簿の作成、建退共の証紙受払、貼付などの煩雑な事務作業を簡単にできるようになるため、業務の効率化とペーパーレス化などコスト削減も可能です。

公共機関などが発注する工事において、建設キャリアアップシステムを導入している場合、元請業者に対してインセンティブが設けられることが増えています。

経営事項審査においても加点措置が取られるなど、建設キャリアアップシステムを導入することで、発注元や取引先からの信頼を得られるだけでなく、自社のイメージアップにもつながるでしょう。

下請け企業のメリット

建設キャリアアップシステム内にある技能者の能力評価制度と連動し、専門工事企業の「施工能力等の見える化評価」制度ができました。

このことにより、自社が持つ高い施工能力や取り組みせ姿勢が示せるようになるため、初めて取引を行う相手からの信頼を得やすくなるため、新規受注の可能性が高まります。

また、今までの工事現場では、技能者の稼働人数や入退場時間、工程管理、支払賃金を出面表などで管理していたため、管理や集計に手間がかかったり、ミスが発生するなどの問題がありました。

建設キャリアアップシステムの導入で、「建レコ」を使用し、これらの作業をIT化できるので、管理や集計の手間が省ける上、記入漏れなどのミスを防ぐことが可能です。

建設キャリアアップシステムを導入すると、技術者の能力を適切に評価することができるので、優秀な人材の流出を防ぐことが可能になります。

さらに、採用の際には保有している資格や就業経験を確認することができるので、求めている人材を確保することができることもメリットです。

まとめ

建設キャリアアップシステムは、申請など手続きが難しく感じることが多いため、導入を躊躇している企業もあるのではないでしょうか。

しかし、建設キャリアアップシステムを導入することで得られるメリットは大きいと言えます。

技術者の能力や経験が明確になるため、適切な評価ができ、正当な賃金の支払いが可能になることで人材の確保ができますし、発注元や取引先から信頼を得られるので、受注機会が増加することも考えられます。

現在、建設キャリアアップシステム導入を悩んでいるのであれば、ぜひ本記事を参考にして、導入の手間とメリットを比較していただけると幸いです。

公共工事などで活躍することができる仕事に発注者支援業務があります。

国や都道府県などの自治体や、官公庁などが発注する公共事業の発注業務をサポートする仕事です。

公務員と同じような年間休日や勤務時間など職場環境も整っており、安定的な仕事であることも魅力のひとつでしょう。

興味がある方は、国民の生活を支えるインフラ整備に関われる「発注者支援業務」の仕事に携わってみませんか。

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