Construction column
測量士とはどんな仕事?仕事内容や年収、資格について解説
2024.6.21
「測量士の平均年収って高いの?」
「測量士の資格がないと従事できないの?」
測量士について気になる方は、そのように思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
測量士は、土木・建築工事の際に土地の位置や形状を計測する仕事です。
需要が高く、やりがいもある仕事として現在も人気のある職種と言えます。
そこで、今回の記事では測量士の仕事内容や平均年収、資格の難易度や取得するメリットを解説します。
測量士がどのような仕事なのか気になっている人は、最後まで読んでぜひ参考にしてみてください。
この記事のポイント
- 測量士の仕事内容
- 測量士の平均年収
- 資格の難易度や勉強方法
目次
そもそも測量士とは?資格は必要?
測量士は、土地や建物の測量を行う専門家です。
まずは仕事内容と資格の必要性について、解説します。
①測量士の仕事内容
測量士の仕事は、外業と内業に分けられます。
屋外で行う作業を「外業」といいます。
計測場所としては市街地のほか、山林、湖畔や海峡など、時には移動に時間がかかる現場も。
外業の仕事内容は専門的な分析機器を用いて地形や距離、角度などを測量することです。
屋内で行う作業を「内業」といいます。
測量士の仕事は外業が多いイメージがありますが、内業も多くあります。
内業の主な仕事内容は、外業前の計画書の作成やCADを用いた作図、外業後のデータ分析などです。
②資格の必要性
測量の仕事に従事するためには、測量士か測量士補の国家資格が必須です。
転職や就職の際に必ずしも取得している必要はなく、入社後に勉強させてくれる会社も多くあります。
測量士の平均年収は?
測量士の平均年収は、約450万円です。
平均年収は、企業規模や勤務先の地域によって大きく差があります。
参考までに、政府統計の総合窓口「e-stat」で測量士の平均年収を調査してみました。
企業規模別では従業員10~99人の企業では431万円に対し、1,000人以上の大企業では約476万円です。
地域別では関東・関西地方が約450~460万円に対し、北海道・九州地方では約400~410万円となっています。
このことから、大企業や大都市圏で勤務することで、より高い年収が期待できるでしょう。
測量士の平均年収については以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
測量士の平均年収は約450万円!仕事内容やおすすめの資格も解説
測量士として収入を上げるには?
また、収入を上げるには、国家資格の取得、独立、大手企業への転職といった方法があります。
いずれにおいても業務経験を重ね、日々のスキルアップが必要不可欠です。
それぞれ詳しく解説していきます。
①国家資格を取得する
収入を上げるには、測量士や測量士補といった国家資格を取得するという方法があります。
ほとんどの測量会社で資格手当を設けており、年収や給料のアップにつながるのが理由です。
この2つの資格はできる仕事や、取得の難易度に差があるため、あらかじめ把握しておきましょう。
②実務経験を積んで、独立開業する
会社員として実務経験を積んだ方は、独立開業するという方法があります。
測量士は士業として、独立開業できる資格であることが特徴です。
測量士として独立するためには「測量業者」として登録する必要があります。
「独立して仕事があるのか?」と不安に思う人もいるかもしれませんが、どのような工事を行う場合でも測量業務は必要不可欠です。
そのため、世の中から「工事」がなくならない以上は、仕事は無数に存在します。
しかし、独立する場合は自ら顧客を獲得する必要があるため、人脈や営業力も必要です。
会社員として勤めるよりも、やらなければならないことが増えるので注意しましょう。
③大手企業に転職する
収入を上げるためには、大手企業に転職するという方法もあります。
当然ながら、大手企業と中小企業では年収や福利厚生に大きく差があります。
国土交通省の「建設関連業登録業者数調査 (令和3年度)」によると、登録業者数11,576社に対し、資本金1,000万円未満の会社と個人で50%を超えている状況。
資本金1億円以上のいわゆる大手企業は3%以下であり、中小規模の会社が多いことが業界の特徴です。
大手企業に転職する難易度は高いですが、現在は売り手市場であり業界的に人材も不足しています。
そのため業界経験が長く、AIなどの最新技術にも精通している技術者は大手企業へ転職できる可能性が高いといえるでしょう。
当社MACでは、発注者支援業務の紹介を行っています。
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測量士のやりがい
測量士は工事を行う上で必要な不可欠な存在であり、やりがいも多い仕事です。
この項目では、測量士がどのような点でやりがいを感じているのか解説します。
社会貢献を実感できる
測量士は社会への貢献を実感できる仕事です。
道路や橋、ダムといったインフラ、災害時の復旧といった生活に密着した現場が多く存在します。
完成時に得られる達成感も大きく、自分の仕事が誰かの役に立っていると身をもって実感できます。
このような社会への貢献度の高さは、仕事のやりがいにつながるでしょう。
スキルが身につく
測量士は、専門的なスキルが多く身につく仕事です。
外業ではGPSやトランシットといった測量機器、内業ではCADや分析ソフトなどを扱います。
特にCADやデータ分析のスキルは需要が高く、他の職種でも活かせるのがメリットです。
近年はAIやドローンでの測量も主流であり、それらのスキルを身につければより長く活躍できるでしょう。
「将来、ずっと使えるスキルを身につけたい…」と考える場合は、測量士として働くのがおすすめです。
自分の仕事が形として地図に残る
自分の仕事が形として地図に残ることに、やりがいを感じる測量士も多くいます。
測量した現場ではやがて建物が建ったり、道路や橋、ダムなどが完成します。
建物やインフラの完成までにはさまざまな工程がありますが、測量はその中でも基礎的な工程です。
どんな建設工事でも測量士が土地の形状や広さなどを把握し、その結果をもとに建設計画を立てます。
自身の測量作業が礎となり、完成した建造物を見た際にやりがいを感じる測量士は多くいます。
資格の難易度や勉強方法
測量に関わる仕事には、測量士と測量士補の2つの資格があります。
ともに測量法に基づき国土地理院が管理する国家資格ですが、この2つの資格にはできる仕事に差があることをご存じでしょうか。
測量士は測量業務の主任者として、測量計画を作成することが可能です。
一方で、測量士補は測量計画を作成することはできません。
測量士補は測量士の指示に従って業務にあたるため、測量士は測量士補の上位資格といえます。
この項目では、資格の難易度や合格率を解説します。
難易度
測量士の国家試験は、難易度が高いことで知られています。
合格するための勉強時間は、測量士が300時間、測量士補が100~200時間が目安といわれます。
暗記問題だけではなく計算問題も多く出題されるため、文系出身者にとって難易度が高いでしょう。
そのため、初学者は測量士補から受験することで、問題の傾向を掴みやすくなります。
合格率
年度により幅はあるものの、測量士が8~12%程度、測量士補が30~40%となっています。
測量士の合格率は行政書士と同程度で、難関資格の1つといえるでしょう。
なお、測量士補の合格率は測量士に比べると高いものの、無勉強で合格できるほど甘くありません。
計算問題も多く出題されるため、合格率だけを見て油断しないようにしましょう。
参考:令和5年測量士・測量士補試験の合格者を発表 | 国土地理院
勉強方法
過去10年分程度の過去問を繰り返し解き、出題の傾向を把握することが合格の近道です。
計算問題も多い試験ですが、数字を変えただけで、同じ公式で解ける問題も多く出題されます。
計算問題に抵抗がある方は、問題を見た瞬間に公式が浮かぶまで過去問を繰り返し解きましょう。
測量士補の試験は択一問題のみであり、独学で合格する方も多くいます。
しかし、測量士の試験は合格率の低さから見ても、独学では難易度が高い試験です。
試験は午前と午後で分かれており、午前中の択一試験での得点が50%を切ると不合格となります。
午後の記述式試験も難易度が高いため、難しいと感じたら予備校や通信講座の受講を検討しましょう。
資格を取得するメリット
前項では資格の難易度や合格率を紹介しました。
この項目では、資格を取得する代表的なメリットを3つ解説します。
転職・就職時に有利
測量の仕事に従事するためには、測量士か測量士補の国家資格が必須です。
転職や就職の際に必ずしも取得している必要はなく、入社後に勉強させてくれる会社も多くあります。
しかし、資格を取得しているに越したことはありません。
測量士、測量士補は、年齢・学歴・実務経験などに関係なく誰でも受験できます。
入社前に取得しておけば大きなアピールポイントになり、入社後も業務に慣れやすいでしょう。
当社MACでは測量士の転職、希望年収についての相談を承っています。
相談は無料で実施しておりますので、ぜひ以下のリンクからご相談ください。
独占業務で市場価値が高い
測量業務は独占業務となります。
独占業務であるため、測量士または測量士補の資格を持つ人のみ測量業務ができます。
そのため、独占資格である測量士や測量士補は市場価値が高い資格と言えるでしょう。
他の国家資格とのダブルライセンスを狙いやすい
測量士は、他の国家資格とのダブルライセンスを狙いやすいといえます。
測量士と相性の良い国家資格には行政書士や土地家屋調査士などがあり、合格率も同程度です。
行政書士は役所に提出する書類の作成や、その手続きを代理で行います。
測量士の業務上、役所への許認可申請などを行うこともありますが、その際に行政書士の資格を活かせます。
土地家屋調査士は登記申請、測量や境界立会いなどを業務として行うため、測量の知識や経験が直接的に活かせる資格です。
また、測量士や測量士補の資格を取得していれば、土地家屋調査士の午前試験の免除を受けられます。
以上の理由から、行政書士や土地家屋調査士はダブルライセンスにおすすめの資格です。
測量士に関するFAQ3選
測量士と検索すると「きつい」「将来性がない」といったワードも見受けられます。
また、自分に向いているかどうか不安に思う人もいるのではないでしょうか。
それらの疑問や悩みは以下の記事で解説しているため、あわせてご覧ください。
測量士がきついって本当?
測量士が「大変」と評される主な要因の一つに、「長い拘束時間」が挙げられます。
都市部や住宅地から離れた場所に現場が位置することも珍しくないため、場合によっては長時間の作業や移動を強いられることも。
作業の進行具合次第では、夜遅くまで現場に残って測量を続け、会社に戻ってからもデータ整理などの後処理に追われ、帰宅時間が深夜に及ぶこともあるようです。
就職前には現場付近での宿泊の可否や、繁忙期における残業の実態などを事前に確認しておくことをおすすめします。
測量士がきついと言われている理由などについては、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
測量士がきついといわれる理由は?働きやすい職場の探し方も解説
測量士に向いている・向いていない人ってどんな人?
取得したデータのミスが分析や作図などのプロセスに波及する可能性があるため、細部に注意を払える人材が適していると言えるでしょう。
さらに、長時間にわたる作業や移動を厭わず、体力と精神的なタフさを備えた個人も、この職種に適性があると考えられます。
一方で、精密な作業や、長時間の移動、あるいは継続的なデスクワークに苦手意識を持つ人には、測量士に適していない可能性があります。
測量士になろうか悩んでいる場合は、以下の記事も参考になるのでぜひチェックしてみてください。
測量士はやめとけは本当?やめとけといわれる理由や将来性を解説
測量士って将来性あるの?
測量士は建設業や土木事業において不可欠な職種であり、その需要の安定性から将来性が期待される職業と言えます。
しかしながら、近年のAI技術の急速な進歩により、多くの職種が将来的に消滅する可能性が指摘されているのも事実です。
測量士もこの流れから逃れることは難しいかもしれませんが、AIに関するスキルを習得することで、自身の市場価値を向上させる機会となり得るでしょう。
関連する資格の取得に励むとともに、AIをはじめとする最新技術に関する継続的な学習姿勢を持つように心がけましょう。
まとめ|測量士の転職はMACにご相談ください!
測量士は難易度が高い分、独占業務であるため将来性も高い仕事です。
社会貢献性の高さからやりがいも大きな仕事ですが、ミスが許されず体力や忍耐力も必要であるため、転職の際は適性などにより慎重に判断しましょう。
今回の記事では、測量士の向き不向きなどについても解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
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