「土木の仕事を辞めようと思う」
「実は転職して会社を辞めることになった」
大学時代に一緒に土木を学んだ友人、会社で知り合った同期の中には、土木の仕事を手放した人もいます。
「土木の仕事を辞める」という言葉を聞くたびに、友人や同期が悩んで決断したことを尊重したいと思いつつも、心の中では辞めないでほしいと感じました。
一方で、筆者は日本全国の土木工事に9年間関わってきましたが「土木の仕事を続けてきてよかった」と心から思います。
今回は、友人や同期が土木の仕事を辞める中、なぜ筆者は続けてこられたのかを実体験を交えて紹介します。
土木の仕事や仕事観について、ぜひ考えるきっかけにしてみてください。
- 友人や同期が土木の仕事を辞めた理由と筆者の気持ち
- 筆者が土木の仕事を手放さなかった理由
- 就職活動を進める上で大切にしてほしいこと
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なぜ友人や同期が次々辞めていったのか?リアルな理由を公開

大学を卒業後、土木を学んだ友人は発注者・建設会社・建設コンサルタントなど、幅広い分野で活躍していましたが、中には新卒で入社して数年で別の会社へ転職した方もいます。
同じ年に会社に入社した同期の中にも、土木の仕事を手放した方がいます。
今の仕事を続けるのも辞めるのも個人の自由ですが、どのような理由から他の会社へ転職したのか、気になる方もいるでしょう。
ここでは、なぜ友人や同期が会社を辞めていったのか、リアルな理由をご紹介します。
早出・残業が多い
早出・残業が多いことで、転職を決めた友人や同期がいます。
現場の仕事は8時に朝礼が始まるのが一般的なので、朝が早いのが特徴です。
さらに、朝礼前に現場事務所で打ち合わせをしたり、朝礼で周知する内容をまとめたりするなど、事前準備のために朝早く出勤していた方もいました。
また、現場作業が終わる17時に事務所に戻り、施工関係の書類を作成したり、現場写真をまとめたりするなど、残業が多いと聞いたこともあります。
自分の努力だけで残業を減らすことが難しいため、働き方を変えるために転職を選んだようです。
休日が少ない
休日が少ないことを理由に、土木の仕事を手放した方もいます。
筆者が就職したばかりの頃は、土曜日や祝日も仕事をすることが多かったので、毎週土曜日に仕事をしている方もいました。
「土曜日はしっかり休みたい」と悩みを漏らす友人も。
土日と祝日に休める会社へ転職している方もいるので、休日の少なさが退職の原因になっていたようです。
現在は、国土交通省をはじめ、建設業界全体で週休2日の取り組みを進めています。
国土交通省は、週休2日に取り組む営繕工事の状況を把握するために、モニタリング調査を実施し、結果が公表されています。
令和6年度に完了した工事の85.7%が、週休2日を達成。
週休2日が実現した主な要因として「発注者と受注者との協議」「適切な工期設定」などが挙げられています。
筆者が新入社員の頃に感じた「建設業界=土曜日の仕事は当たり前」が変わりつつあります。
【参考】国土交通省|令和6年度は 85%以上で月単位の週休2日を達成!~営繕工事における「週休2日促進工事」の取組状況について~
体力的にしんどい
「現場の仕事は体力的にしんどい」と悩み、オフィスでの業務をしたいという方もいました。
たしかに、現場の仕事は夏の暑さや冬の寒さを感じやすく、体力的に厳しいと思うこともあるでしょう。
筆者は、幼い頃から屋外スポーツを続けてきたので体力には自信がありますが、それでも夏の現場は疲れを感じるものです。
安全面を第一に考えて行動することが大切なので、無理をしないことが大切です。
ただ、体力については個人差があるので、事前に上司や先輩に相談しておくと良いでしょう。
自宅から通える範囲で仕事がしたい
自宅から通える範囲で仕事がしたいという理由で、出張や転勤がない会社へ転職した方もいます。
自宅から離れた場所で数ヶ月〜数年間仕事をすることもあり、筆者も東北地方や九州地方で現場の仕事をしたことがあります。
出張や転勤に抵抗がなかったため、新鮮な気持ちで仕事ができていましたが、自宅から通える範囲で仕事をしたい方もいるでしょう。
「転勤はしたくないけど、現場の仕事をしたい」という方は、エリア限定で募集している会社へ就職するのも一つの方法です。
家族との時間をつくりたい
家族との時間をつくるために、現場の仕事を辞めた方もいます。
自宅から離れた現場で仕事をしていると、家族となかなか会えないこともあります。
金曜日の仕事終わりに自宅へ帰り、日曜日に戻らなければならず、家族とのプライベートの時間を確保できないと、働き方を見つめ直していた方もいました。
家族との時間をつくるために、時間外労働がない会社を選ぶ方もいるので、結婚や出産のタイミングで働き方を変えることもあるでしょう。
子育てを優先すると施工管理を続けるのが難しい
女性技術者の中には、子育てと仕事をこなすのが難しく、現場の仕事を手放した方もいます。
また、オフィスで仕事ができる積算業務や設計業務など、職種を変えて建設業界で仕事をしている方もいます。
子育てが落ち着いたタイミングで、現場の仕事に復帰することができる会社もあるので、将来的な働きやすさも見た上で、会社選びをするのがポイントです。
実際、子育て期間中は施工計画書などの書類作成に専念している方、現場事務所やオフィスではなく自宅で仕事をしている方もいます。
BIM/CIMの活用なども拡大しているため、建設業界でも多様な働き方ができるようになっています。
人間関係でストレスを感じる
現場での人間関係にストレスを感じて、転職を決意した方もいます。
現場の仕事は、発注者や職人さんなど多くの人とコミュニケーションを取って、仕事を進めなければなりません。
「なんとなく合わない人がいる」「コミュニケーションを取りにくい」など、人間関係の悩みを抱えることもあるでしょう。
パワハラやセクハラなどのハラスメントはもってのほかですが、人間関係の悩みのタネはさまざまです。
業務の支障になるほど職場の人間関係に悩んだら、早めに上司や先輩に相談しましょう。
土木以外の仕事をやってみたい
「土木以外の仕事をやってみたい」という思いから、土木の仕事を辞めて他の仕事に挑戦している方もいます。
一度きりの人生だからこそ、やりたい仕事に挑戦すべきでしょう。
土木が嫌いになったわけでなく、土木よりもやってみたい仕事を見つけた方もいたので、転職するのも素晴らしい決断です。
ただ、自分にはどのような仕事が向いているのだろうと、不安に思うこともあるかもしれません。
これから就職活動を迎えるからこそ、まずは今やりたいことをやってみることも大切です。
辛いと感じるときは、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

友人や同期が辞めていった…筆者の胸のうち

友人が土木の仕事を手放したり、同期が会社を辞めたりするとき、いつも筆者が感じたことがあります。
去っていく仲間へはもちろん、周りの人に話したことがありませんが、これから建設業界に加わろうとしている皆さんに、当時のリアルな気持ちをシェアします。
仲間がいなくなることへの寂しさ
ドボジョと呼び合って土木を学んだ友人、一緒に仕事をしてきた同期。
そんな方々が土木の道から別の道に進むことは、正直にいうと寂しい気持ちでいっぱいでした。
「なんで辞めちゃうの?」と問いかけ、自分が力になれることはないかと一緒に考えたこともあります。
今思うと、おせっかい以外の何者でもなかったと反省する部分もありますが、辞めてほしくないという気持ちが大きかったのでしょう。
辞める仲間の気持ちに立ったときの不安
社会人になって数年経過すると、さまざまな事情から友人や同期が転職をするようになるものです。
土木が好きという気持ちと、尊敬する上司と一緒に仕事をしたいという気持ちで、現場の仕事をしてきた筆者。
ただ、友人や同僚が会社を辞める理由を聞くたびに、突如不安を感じたこともあります。
「もし体力に自信がなかったら、現場の仕事を続けられる?」「人間関係のストレスを抱えたら、どんな決断をするのだろう?」「家族ができたとき、今のように全国飛び回って仕事ができる?」と、相手の立場で物事を考えたときに不安な気持ちになりました。
また、同じ気持ちで悩んでいる仲間がいるかもしれないと気づきを得たこともあり、労働環境に課題がないかなどを、客観的に見られるようになったのも事実です。
自分の働き方を改めて見直すきっかけに
友人や同期が会社を辞める理由から、自分の働き方を見直すきっかけになりました。
「今の仕事を続ける理由は何か」「他の会社も見てみるべきか」「仕事で大切にしたいことは何か」など、自分の働き方や仕事を通して得たいことなど、友人や同期が会社を辞めるたびに考えることができました。
一年前と現在、一年後の仕事の価値観が変わるように、仕事の経験を積むたびに理想の働き方は変わるものでしょう。
友人や同期が会社を辞めるのは悲しいことですが、自分の働き方を見つめ直すことができて良かったと感じています。
土木の仕事を続ける意味って?手放さなかった理由

土木ではない別の道に進む選択をする友人や同期がいる中で、筆者が土木の仕事を続けてきた理由は3つあります。
なぜ、筆者が土木の仕事を手放さなかったのかをシェアします。
0から試行錯誤して構造物をつくる喜びを味わいたい
何もないところから、試行錯誤して構造物をつくる喜びを味わえるのが、土木の醍醐味です。
はじめて経験した現場で構造物が完成したとき、思わず涙を流したことを今でも覚えています。
数ヶ月〜数年間で進める現場では、タイムラプスカメラを設置していました。
タイムラプスカメラの写真を一本の動画にまとめたとき、壮大なストーリーが完成したようで感動した経験が何度もあります。
ものづくりの楽しさに夢中になっていたので、子どものように仕事を楽しんでいた気がします。
被災地で出会った人の言葉が奮い立たせてくれる
東北地方の現場で仕事をしたことがありますが、地元の方に「ありがとう」と声をかけてもらったことがあります。
現場の仕事は、交通規制や大型車両の通行などについて、まれに地元住民の方から小言を言われてしまうことも。
筆者が現場でカラーコーンを並べていると、地元住民の方が近づいてきたのです。
「また何か注意されてしまうかな…」と内心焦っていたのですが、まさかの感謝の言葉をいただけました。
今でも、当時かけてもらった感謝の言葉を忘れていません。
建設業界が果たす役割は大きいのだと、現場の仕事に誇りを持つことができました。
社会貢献度が高いのも、現場の仕事の魅力の一つです。
尊敬する上司のもとで一緒に仕事をしたい
筆者が土木の仕事を続けてきたのは、尊敬する上司と一緒に仕事をしたいと思ったからです。
施工実績がない初めての工事にも臆することなく挑戦する上司で、もっと大きなことを一緒にしたいと思えるほどでした。
そんな上司の姿を間近で見て、素直に「かっこいい!上司のように仕事をしたい」と思えるようになりました。
仕事をする上で、業務内容そのものに興味関心があることも重要ですが、誰と一緒に仕事をするかも同じくらい大切です。
どのような人と一緒に仕事をしたいかも、会社選びをする上で考えておくと良いでしょう。
建設業界を目指すあなたへ、筆者からのメッセージ

就職する際は、自分の仕事における価値観を大切にしましょう。
建設業界で仕事をするなら、職種を変えたり転職したりするなど、環境を変えることもできます。
ちなみに、筆者も「うちの会社に来ませんか?」と、建設会社や建設コンサルタントの方から声をかけてもらったことがあります。
正直、かけてもらった言葉に心が揺らぎました。
他の会社を知るために、ひっそりと転職活動をしたこともあり、内定をいただけたこともあります。
ただ、最終的には「やっぱり今の環境で土木の仕事を続けたい」と気づきました。
この記事を読んでいる方の中には「本当に建設業界に就職しても大丈夫なのかな?」と不安を抱えている方もいるかもしれません。
会社説明会や現場見学会に参加したり、卒業生にリアルな話を聞きに行ったりするなど、不安を払拭するためにできることはあります。
仕事の価値観がわからないという方も、就職活動を進めるうちに定まることもあるので、ぜひ視野を広げて就職活動を進めてみてくださいね。
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今回は、友人や同期が土木の仕事を辞めたリアルな理由をご紹介しました。
筆者が9年間、土木の仕事を続けてきた理由もご紹介したので、就職活動を行う上で参考になれば幸いです。
仕事をする上で大切にしたいことは、人によって違います。
ぜひ、本記事を参考に、ご自身の仕事の価値観を見つけてみてくださいね。
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