Construction column
建設コラム
建設業は、もっと働きやすくなる!時間外残業規制や国土交通省の取組を解説
2023.5.09
2017(平成29)年に決定した「働き方改革実行計画」。労働基準法改正により、年間の時間外労働の上限を設定するなど、施行されました。 建設業には、施行後5年間の猶予期間を設けられましたが、いよいよ2024年4月より適用されます。 今回は、建設業における時間外残業規制や国土交通省による「建設業働き方加速化プログラム」への取組について解説します。
目次
建設業「時間外労働規制」と厚生労働省「働き方改革支援」について
一般社団法人日本建設業連合会では、2024年4月より適用される「時間外労働規制」について、取り上げています。 2017年9月に「時間外労働の適正化に向けた自主規制目標」や「週休二日実現行動計画」などを柱とする「働き方改革推進の基本方針」を定め、働き方改革の様々な活動に取り組んできた。 引用:一般社団法人日本建設業連合会 このように、労働時間や休日の確保に力をいれています。 最初に、建設業における時間外労働規制の見直しについて、解説します。
建設業における時間外労働規制の見直し
現行の規制と2024年4月以降とを比較していきます。 【現行規制(2024年3月まで)】 1)労働時間の大原則:1日8時間/1週間40時間 2)36協定を結べば、時間外労働が可能➡原則は、月45時間年360時間 ※建設業は、2)の上限規制の適用は除外 【2024年4月以降(労働基準法改正:罰則付き)】 1)労働時間の大原則:1日8時間/1週間40時間 2)36協定を結べば、時間外労働が可能➡原則は、月45時間年360時間 3)特別条項でも上回ることの出来ない年間労働時間を設定 ① 年720時間(月平均60時間) ② 年720時間の範囲内で、一時的に事務量が増加する場合にも、上回ることの出来ない上限を設定 a.2~6ヶ月の平均でいずれも80時間以内 b.単月100時間未満 c.原則(月45時間)を上回る月は年6回を上限 ※建設業も、2024年4月より、2)以降の適用をする ※ただし、災害からの復旧・復興に限り、3)②a.及びb.は、適用しない(予測できない災害に限定されているので、復旧・復興でも対象にならない場合もある) 現在、建設業では、時間外労働の上限規制が適用除外されているため、残業の時間制限がありませんでした。 しかし、2024年4月からは、建設業も時間外労働の上限規制が適用されるという点が、ポイントです。これらが守られない場合や、変形労働時間についての労使協定の届出をしなかった場合には、懲罰や罰金が科されます。
働き方改革関連法における「年次有給休暇の時季指定」と「同一労働同一賃金」
厚生労働省では、働き方改革を進めるための、法改正が順次始めており、 「時間外労働規制」以外にも二つ挙げています。
年次有給休暇の時季指定
年次有給休暇付与日数10日以上の労働者は、毎年5日間、年次有給休暇を確実に取得しなければいけないというルールです。
同一労働同一賃金
正社員と非正規雇用労働者で、基本給や賞与といった待遇に不合理な差を設けることを禁止するというルールです。 出典:厚生労働省/働き方改革特設サイト 参考コラム:2024年に建設業の働き方改革が強化!取り組みについて詳しく解説します
国土交通省による「建設業働き方改革加速化プログラム」
国土交通省では、「建設業働き方改革加速化プログラム」として、建設業全体での働き方の課題に対して、伴奏支援するプログラムです。 「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」の三つに分けて、取組を推進しています。
長時間労働の是正
2024年4月から施工の時間外労働規制に合わすのではなく、取組を進めるものとしています。
週休2日制の導入と工期設定の推進
建設工事によっては、4週4休になることも少なくありません。週休2日制の導入を後押ししています。 公共工事では、週休2日工事での労務費などの補正を導入します。 さらに、週休2日応援サイトを立ち上げ、工期設定支援システムを公開し、業務の軽減を目指すなどの取組が始まっています。 出典:国土交通省/働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト
給与・社会保険
技能や経験にふさわしい処遇(給与)や社会保険への加入を建設企業へ推進しています。
建設キャリアアップシステム
「建設キャリアアップシステム」は、技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。 就業履歴がこのシステムに蓄積されます。そのため、経験や技能といった能力が見える化されるため、技術への評価が受けやすくなるでしょう。 出典:一般財団法人建設業振興基金/建設キャリアアップシステム
生産性向上
主に、ICTの活用により生産性の向上を図ることとなっています。建設キャリアアップシステムを活用して、書類作成などの現場管理を効率化、建設リカレント教育の推進も行います。
i-Constructionの推進
ICTの全面的な活用(ICT土工)などの施策を建設現場に導入し、建設生産システム全体の生産性向上を図る、という取組のことを、i-Constructionといっています。 レーザースキャンやUAVといった機器を利用しての測量や、地盤を3Dデータ化、MCブルドーザによる土砂掘削など、幅広くICT技術を活用し、効率化を図ります。 出典:i-Construction
国土交通省による「発注者支援業務」
国土交通省では、「発注者支援業務等」として、発注機関の工事発注にともない発生する 工事積算や工事検査などの業務を、発注機関の職員に代わって行うものです。 それ以外に、公物管理補助業務や用地補償総合技術業務といった、施設管理、用地交渉を行う業務をアウトソーシングし、効率化を図っています。 公共の仕事は、仕事は視覚化されやすいため、安心して働けるというメリットがあります。
まとめ
今回は、建設業における時間外残業規制や国土交通省による「建設業働き方加速化プログラム」への取組について解説しました。 働き方改革でも、建設業は特に、ワーク・ライフ・バランスの充実を推進すべく、「時間外労働」や「休日の取得」に、注力しているといえます。 また、国土交通省による取組では、ICTを積極的に取り入れて効率化を図る、さまざまな方法が推進され、働き方も多様であることが、わかりました。 今後、建設業への就職を検討されている人は、そんな業界の状況を知ったうえで、自分に合った仕事を探してみてはいかがでしょうか? 株式会社エムエーシーでは、発注者支援業務として、国土交通省やNEXCO、都道府県の公共事業の建設業務を全国で展開しています。 少しでも、ご興味がある方は、ぜひご検討してみてください。