Construction column
土木業界の未来|女性の力が光る発注者支援業務の可能性と魅力
2023.9.30
「土木女子(ドボジョ)」という言葉を耳にしたことがありますか?最近、土木建設業界で活躍する女性たちが注目されています。この記事では、女性が土木業界でどのようにやりがいを見出し、どのスキルが重要かについて詳しく解説します。力仕事だけでなく、女性が輝ける発注者支援業務などについても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
年々増えつつある土木女子(ドボジョ)とは?
土木や建設業界は男性の労働者が多いイメージでしたが、近年は女性も活躍できる仕事として注目を浴びるようになっています。土木業界で活躍する女性のことを「ドボジョ」と言われることも多いのですが、その背景には、釣りが好きな女性を「ツリジョ」、競馬好きな女性を「ウマジョ」、理系が得意な女性を「リケジョ」と言ったりするような風潮からこの言葉も生まれたと思われます。
このような本来男性の割合が多い業界などで活躍する女性や、性別に囚われず「好きなこと」を追求する女性は男女の雇用問題・職場問題に大きく影響する存在として慕われつつあります。
今回の「ドボジョ」も、男性でもきついとされる業界に入ることで、実際に会社や現場での労働環境を見直し整備をするといった大手建設会社も出始めました。
厳しい労働環境や現在の従業員の高齢化によって人手不足な状態が続いている建設業界に変化を巻き起こしたのが「ドボジョ」と言っても過言ではありません。
土木女子ならではの悩み・問題とは
上記で説明したように土木女子は土木建設業界において大きな変化をもたらしていますが、まだまだ課題があるのが現状。実際に土木女子として働いている人は下記のような悩みや問題を抱えていることがあります。
体力面での違い
もともとは男性向けの仕事であるがゆえに、女性作業員の人は度々体力的なハンデを感じてしまうことも。重い機械や資材を運んだりするのが多いですが、日々業務をこなすことで自然と体力や筋肉はついてくるので、最初はできることから始めてみましょう。
更衣室やお手洗いの確保
男性であれば事務所や車の中でサッと着替えられるかもしれませんが、女性の場合そうはいきません。女性向けの更衣室やお手洗いが少ない現場はまだたくさんあるので、業界としても早くに導入する必要があります。
セクハラ
男性の割合が高いのでどうしても性的な目で見てしまう人、コミュニケーションのつもりで身体を触ってくる人などがいるのが現状です。いざという時に相談できる人や担当窓口などはあらかじめ知っておくと良いでしょう。
家事や子育てとの両立
土木の現場は長時間労働になりやすいので、家事と子育ての両立に悩む女性は多く存在します。プロジェクトによっては地方への転勤が必要になることもあるので、そういった面で結婚や出産のタイミングを考える人も。土木業界への就職や違う会社への転職を考えている場合には、産休・育休制度や時短勤務の可否なども確認するのが良いでしょう。
土木女子はどんなやりがいを感じている?
ここからは土木女子が実際に土木現場で働いてみて実感しているやりがいについていくつかご紹介します。
達成感や充実感を感じられる
道路や橋などを1からつくる仕事だからこそ、完成した時や実際に人が使っているのをみると達成感や充実感、感動を覚える人は多いです。自分の努力や成果が目に見えるので、次はこういったものづくりに関わりたい!というモチベーションにもつながります。
社会や地域へ貢献できる
私たちのインフラを支えるものづくりをしているので、地域の方から感謝されたり、社会へ貢献できていると実感できたりすることも多い土木の仕事。震災などの自然災害の際にも、復興作業をすることでこの仕事のやりがいを感じる人が多くいます。
頑張った分給与にも反映されやすい
厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査の結果によると、建設業の20代女性の平均給与は約210万〜230万ほどで、年齢やどこの建設会社に勤めるかによって変動します。
しかし、この先も長く土木建設業関係で働くのであれば、「土木施工管理技士」や「土木CADインストラクター」などの資格を取得することで、資格手当が貰えることがあります。資格取得のためのサポートを行っている会社もあるので、そういったサービスはどんどん活用していきましょう。
土木女子になるとこんな能力が活かせる
土木女子になることで活かせる、必要とされる能力をご紹介します。
コミュニケーション能力
土木の業界だけではなく、男性が多い業界ではどうしても人間関係がギスギスしてしまったり、他の人との交流や接待が上手くいかない、という悩みを抱えている人は少なくありません。そのような環境にコミュニケーション能力が高いと言われている女性が加わることで、現場の雰囲気が良くなりクライアントとのやりとりが円滑になることも。
1つ1つの業務を丁寧に行う
例えば大きな橋を建てる、となった時にまずはその土台から造りますよね。その土台作りは一見地味な作業に見えますが後々橋を支える大きな役割を担うことになります。土木にはこのような1つ1つの小さな業務の積み重ねが大きなものを完成させるという特徴があります。ですので、どんな業務でも丁寧に取り組める姿勢が必要とされます。
視野が広い、注意力がある
土木作業では急に重機や資材が転落してきたり、工事周辺現場での交通事故の発生だったりと危険と隣り合わせの仕事です。ですので作業をしながらも広い視野をもって、周囲にも注意を払える能力は重要視されます。小さなことでも女性の方が早く気付くことが多いので、土木女子だからこそ発揮できる能力の1つです。
現場だけじゃない!土木女子ができる仕事
土木女子だからといって全員が工事現場で働いてるとは限りません。例えば以下のような仕事で活躍できる土木女子もいます。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は国家資格であり、この資格を取ることで土木工事現場での主任技術者あるいは管理技術者として現場全体を管理する立場に就くことができるので、この仕事を目指している人は多くいます。
土木CADインストラクター
この土木CADインストラクターはコンクリートの構造や鋼構造などを十分理解したうえでAutoCAD、JWCADなどのCADシステムを使ってパソコン上で製図作業を行う技術職です。土木業界の基本的な知識を持ちながらも、施工図や図面などの製図ができる人はまだ少ないためどこの企業も常にこの人材を求めています。
コンクリート診断士
コンクリート診断士は、既存のコンクリート構造物の調査、診断、維持管理を行う仕事です。主に既存物の補修設計やリニューアル工事をする際などに必要とされる存在です。
まとめ
女性が働く職業としてはまだ課題や改善点が多い土木業界ですが、同時に伸びしろがある業界でもあります。現従業員の高齢化や人手不足が進むに反して、新しい道路の開発などは年々増えています。需要の高い今だからこそ、先陣を切って活躍できるチャンスでもあります。
また、国や行政の大きな仕事に携われる「発注者支援業務」は、公務員と同じような年間休日、勤務時間、待遇面などもが充実しており、女性が活躍する環境として整っているのが魅力です。以下に、発注者支援業務についてもう少し詳しく説明します。
発注者支援業務とは、土木プロジェクトを主催し、設計や施工などを受託する発注者(通常は行政機関や建設会社)をサポートする役割を果たす職種です。この仕事は、土木プロジェクトの計画段階から完成までの一連のプロセスで、発注者のニーズを理解し、プロジェクトがスムーズに進行するように調整し、品質と予算を管理する役割を担います。
発注者支援業務の魅力は以下の点です。
年間休日が多い
公的な機関や大手建設会社での仕事は、一般的に年間休日が多く、休みが取りやすい環境が整っています。家庭との両立がしやすい職種と言えます。
安定した収入
公的なプロジェクトや建設プロジェクトに関わる仕事は、安定した給与を提供しやすい傾向があります。安心感のある収入を得ることができます。
時短勤務が可能
多くの発注者支援業務の職場では、時短勤務や柔軟な労働条件を提供するケースが増えています。これにより、家庭との両立がしやすくなります。
土木女子として、土木業界でのキャリアを築くことは、自己成長と社会貢献を両立させる素晴らしい機会です。土木業界の未来を切り開き、発注者支援業務のようなポジションで活躍することで、女性の力が光り輝くことでしょう。
最後に、土木女子としてのキャリアを検討されている方々に対して、資格取得や専門知識の獲得、キャリアプランの策定など、成功へのサポートが提供されている多くの機関や団体が存在します。是非、そのようなリソースを活用し、土木業界の未来を切り開いてください。エムエーシーではそんなあなたの理想のサポートをお手伝いします。