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Construction column

建設コラム

元請けとは?建設業界での役割や下請けとの関係性を解説

2024.2.27

「元請け」という用語は建設業界で頻繁に使用されますが、具体的な意味や役割について詳しく知っていますか?

また、元請けと密接な関係にある「下請け」とはどのように異なるのでしょうか?

この記事では、元請けの役割や下請けとの関係性について詳しく解説します。

建設業界でのキャリアを考えている方、または業界の理解を深めたい方にとって、有益な情報をお伝えします。

元請けとは

建設業界で行われる工事は、多くの業者が連携して完成に至りますが、その中心に位置するのが元請けと呼ばれる企業です。

はじめに、元請けの役割と下請けとの関係性、さらに元請けになるための条件について詳しく見ていきます。

元請けの役割

元請けは、以下のような主要な役割があります。

工事管理と統括

元請けの最も基本的な役割は、建設工事の全体管理と統括です。

これには、工事の計画立案、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理などが含まれます。

例えば、ある商業施設の建設工事において、元請けは着工から竣工までを一貫して監督し、関連するすべての工程が計画通りに進行するよう管理します。

下請けとの調整

元請けは、下請け業者との調整役も担います。

工事の特定の部分を下請けに委託する際、元請けは下請け業者を選定し、契約を結び、作業の指示を出さなければなりません。

また、下請け業者の作業進捗を監督し、必要に応じて様々な調整を行います。

発注者との連携

元請けは、発注者と直接連携する役割も果たします。

工事の進行状況の報告、変更要求への対応、問題発生時の交渉など、発注者との間で発生する様々なコミュニケーションが必要です。

元請けは発注者の要望を正確に理解し、それを工事の実行に反映させる責任があります。

元請けと下請けとの関係性(重層下請構造)

建設業界における元請けと下請けの関係性を深く理解するためには「重層下請構造」について把握することが不可欠です。

重層下請構造は、一つの工事が複数の業者によって分担され、それぞれが異なるレベルの役割を担うシステムです。

元請け
一次下請け一次下請け一次下請け
二次下請け二次下請け二次下請け二次下請け二次下請け二次下請け

工事が大規模であるほど、重層下請構造はより多層的になり、元請けから一次下請け、さらには二次下請け、三次下請けへと、業務は細分化されていきます。

元請けになるための条件

元請け企業として活動するためには、国土交通大臣または都道府県知事から「建設業許可」を取得しなければなりません。

建設業許可は、工事の品質と安全性を保証するもので「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があり、工事の種類と規模に違いがあります。

また、建設業許可を得るためには、一級建築士や一級土木施工管理技士など専任の技術者を雇用することも必要条件です。

建設業許可によって、元請けは信頼性と専門性を証明することができます。

元請けのメリットとデメリット

ここでは、元請けとして活動することのメリットとデメリットについて解説します。

元請けのメリット

価格設定の自由度

元請けは、工事の見積もりや価格交渉において大きな自由度を持ちます。

発注者との直接的なやり取りを通じて、工事の要件や予算に応じた適切な価格設定が可能となり、利益率を最適化できます。

工事管理の主導権

元請けは工事全体の計画立案から実施、完了に至るまでの全プロセスを主導する権限を持ちます。

工事の工程管理、品質管理、原価管理、安全管理などを効果的に行うことができ、工事の成功率を高めます。

多様な工事への参加

元請けとしての地位は、さまざまな種類の工事への参加機会をもたらします。

大規模工事への参加や、新しい市場や技術領域への進出が可能となり、企業の成長を促進します。

元請けのデメリット

高い責任とプレッシャー

元請けとしての地位は、工事に対する高いレベルの責任を伴います。

工事の成功は、元請けの工程、品質、原価、安全の管理に依存し、いずれかが不十分だと工事全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

財務リスクの増加

元請けは工事の原価管理において重要な役割を果たしますが、これには財務リスクが伴います。

特に大規模工事では、予期せぬコストの増加や資金繰りの問題が発生する可能性があり、企業の財務状況に悪影響を及ぼすことがあります。

下請けとの関係

下請け業者の選定から契約、作業の監督に至るまで、元請けは下請けとの関係を効果的に管理する必要があります。

下請けとのコミュニケーションの不備や誤解は、工事の遅延や品質の低下につながる可能性があります。

下請けのメリットとデメリット

ここからは、下請けとして働くことのメリットとデメリットについて解説します。

下請けのメリット

営業努力の軽減

下請け業者は、元請け企業から直接仕事を受注するため、新規顧客を見つけるための営業努力を大幅に削減できます。

元請け企業と長期的な関係を築くことで、定期的かつ安定した仕事の流れが確保できます

大手企業との連携

下請けとして元請けの大手企業と連携することは、大手企業の信頼性と実績を間接的に利用することを意味します。

市場での競争力を高めることができ、将来的にさらなる事業拡大の可能性が開かれます。

専門性の向上と集中

下請け業者として特定の分野に特化することで、専門分野の知識と技術を高めることができます。

特定の業務に集中することで、品質と効率を向上させることが可能になります。

下請けのデメリット

受注価格の制約

下請け業者は、元請けからの仕事を受注する際に、価格に関して大きな制約を受けます。

元請けが目指すコスト削減の圧力を受け、適切な価格設定が難しい状況に陥ることがあります。

元請け依存のリスク

多くの下請け業者は、元請け企業に大きく依存しています。

元請け企業の経営状況や方針の変更が、下請け業者に直接影響を及ぼすリスクも生じます。

自由度の制限

下請け業者は、元請けからの指示に従って仕事を進める必要があるため、工事に対する自由度が制限されます。

独自のアイデアや技術を活かす機会が限られることがあります。

元請けと下請けが契約する時の注意点

ここでは、元請けと下請けが契約する際に注意すべき重要なポイントを解説します。

透明性のある契約条件の確立

契約を結ぶ際には、透明性のある契約条件を確立することが非常に重要です。

具体的には、工事の範囲、品質基準、工期、支払い条件など、契約の各条項を明確にし、両者の間で合意を形成する必要があります。

例えば、ある下請け企業が特定の電気工事を受け持つ場合、工事の期待される品質レベルや完成期限が契約書に具体的に記載されていなければなりません。

労働条件と安全管理の徹底

元請けは、下請けに対して労働条件や安全管理に関する基準を明確に伝え、遵守を求める責任があります。

安全な作業環境の提供は法的義務であり、事故を未然に防ぐためにも重要です。

例えば、建築現場での安全対策として、適切な保護具の使用や危険箇所の明示など、具体的な安全基準を契約書に盛り込むことが求められます。

信頼できる下請けの選定

元請けは、信頼できる下請け業者を選定することが求められます。

過去の実績、技術力、財務状況など、様々な角度から下請け業者を評価し、工事に最適な業者を選ぶことが重要です。

不適切な下請け業者の選定は、工事の遅延や品質低下を招くリスクがあるため、慎重な選定が必要です。

まとめ

元請けは工事の主導権を持ち、広範な業務をコントロールする一方で、高い責任とリスクを負います。

一方、下請けは営業努力を削減し、特定の専門分野に集中できるメリットがありますが、価格や業務の自由度に制約が伴います。

このような知識は、建設業界を目指す方々にとって、業界でのポジショニングやキャリア戦略を考える上でポイントになるでしょう。

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