Construction column
施工管理の給料が高い理由とは?より収入を上げるにはどうすればいい?
2024.3.10
施工管理の給料は平均より高めです。それは施工管理には知識や技術、資格が必要になるためです。また、同じ施工管理でも、さまざまな要因により給料は大きく変わります。
今回の記事では、施工管理の給料が高い理由や給料に影響する要因、より収入を上げる方法について解説します。
目次
施工管理の給料はどれくらい?
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によると、施工管理の給料は以下のようになっています。
建築施工管理技術者 620.4万円
土木施工管理技術者 573.2万円
国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」(令和4年分)の報告によると、給与所得者のうち正社員の1年間の平均給与は523.3万円です。
施工管理は、平均的な給料と比較すると高いことが分かります。
施工管理の給料が高い理由とは
施工管理の給料が高い理由には、施工管理の重要性に加え、労働時間や必要とされる能力、資格などさまざまな理由があります。以下に詳しくご紹介しましょう。
安定したニーズがあるため
施工管理の給料が高いのは、安定したニーズが望めるためです。
IT化やAIの普及により、今後なくなる仕事が増えると予想されていますが、住宅やビルの建設、インフラの整備に関しては、やはり人間の手による管理や調整が必要不可欠です。
需要が高ければ、それだけ対価(給料)が上がるのは当然のこと。それゆえに施工管理は高給をキープできるのです。
残業や休日出勤が多いため
施工管理は残業や休日出勤が多く、その分時間外手当や休日出勤手当てが支給されるため給料が高くなります。施工管理の1日の労働時間は会社の体制や工事の有無によって異なるものの、10時間を超えることも少なくありません。
施工管理の労働時間が長くなるのは、工事の時間に合わせて業務を行うからです。工事の開始時間より前に出勤して朝礼や引継ぎを行い、工事中は現場を巡回、工事終了後に事務処理や社内ミーティングなどを行うというように、工事時間+αが労働時間となるため、平均的な8時間勤務より長くなるのです。
また、休日出勤も多い傾向にあります。施工管理が担当する工事は天候に左右されることが多く、遅れを取り戻すために休日出勤をして工事を進めなければならないケースも多く見られます。
また、工事の規模が多くなればなるほど調整やトラブル対応などの作業時間も増えるため、残業に加え、休日を返上して対応しなければならないケースも少なくありません。
体力と技術が必要になるため
施工管理の仕事は体力と技術が求められる仕事です。
一日中現場を巡回して状況確認や記録、作業員への指示を行ったあと、事務所に戻り打ち合わせや事務処理を行います。一回のミスが大きな事故や損失にもなりかねない、責任の重い仕事です。
施工管理に携わるためには、外回りを含む長時間の労働に耐えられる体力と、工事全体を把握して適切な指示や調整を行う技術や知識が必要不可欠なのです。
資格手当が出るため
施工管理、特に現場監督のような責任ある業務に携わる場合は資格が必要です。資格を持っていれば手当てが出るため、給料が高くなります。
特に重要なのは施工管理技士の資格です。1級を取得すれば現場責任者になることができ、給料がぐんと上がります。
キャリアアップによる昇給があるため
施工管理は実務経験を積むことで大幅な給料アップが望める職種です。実績があればより大きなプロジェクトにおいて、所長や現場代理人といった重要な役職につくチャンスが得られます。
また、施工管理を行ううえで重要になる施工管理技士1級の資格を取得するために、実務経験が必要になることもあります。
施工管理技士の資格を得られればより責任の重い仕事を任されることも多くなり、さらなる給料アップにつながるでしょう。
施工管理の給料を左右する要因
上記でご紹介した施工管理の給料はあくまで平均です。さまざまな要因により、給料の額は大きく変わります。
施工管理の給料を左右する要因をご紹介します。
経験年数や資格の有無
経験年数が多いほど給料は高くなります。
参照:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag 建築施工管理技術者
年齢別の給料を見ると、20代から30代にかけてぐっと給料がアップしていることが分かります。高校もしくは大学新卒で就業したと考えると、8~12年程度で一人前と見なされていると推測できます。
また、実務経験を積み、資格を取得すると資格手当が付与されます。資格手当の額は企業によって差がありますが、一例を挙げておきましょう。
1級建築施工管理技士:30,000円
1級建築施工管理技士補:15,000円
2級建築施工管理技士:10,000円
会社の規模
会社の規模が大きければ大きいほど、給料は高くなる傾向にあります。大企業は規模の大きい工事を請け負うことも多く、それだけ収益や生産性が高くなるためです。
就業エリア
企業の規模に加え、就業エリアも給料を左右する要因になります。
例えば、東京都での建築施工管理技術者の平均的な給料は704.3万円で、全国平均の620.4万円を大きく上回ります。一方、北海道は523.8万円と平均を下回っています。
東京都 | 704.3万円 |
北海道 | 523.8万円 |
神奈川県 | 659.7万円 |
愛知県 | 658.0万円 |
広島県 | 551.0万円 |
福岡県 | 634.1万円 |
全国 | 620.4万円 |
統計母数が各都道府県で大きく異なるため一概には言えませんが、大都市の方が高給になる傾向にあります。
プロジェクトの規模
携わるプロジェクトの規模も給料の額に影響を与えます。
公共事業やビル建設などの一大プロジェクトはそれだけ利益が高く、責任が重いため給料が高くなります。
施工管理の給料アップのためにはどうすればいい?
施工管理の給料は経験や資格の有無、労働条件などによって大きく変動します。
たとえ平均より給料が高いとはいっても、ただ漫然と施工管理の業務に携わるだけでは給料は上がりません。
それでは、施工管理の給料をアップさせるためにはどうすれば良いのでしょうか。
資格を取得する
施工管理は資格の有無で給料が大きく変わります。特に重要な資格は施工管理技士です。
施工管理士は国家資格のひとつで、分野ごとに分けられており、以下の7種類があります。
・建築施工管理技士
・土木施工管理技士
・管工事施工管理技士
・電気工事施工管理技士
・電気通信工事施工管理技士
・造園施工管理技士
・建設機械施工管理技士
それぞれ一級と二級があり、取得すると担当業務の幅が広がります。大規模の工事にも携われるようになるため、大手ゼネコンのような高待遇の企業に転職できる可能性も高まります。
実務経験を積む
施工管理は実務経験が命です。実務経験を積み、できることが増えればその分大きな仕事を担当できる機会が増えるためです。
最初はベテランについて雑務をこなすところから初め、少しずつ専門的な経験を積んでいきましょう。それに加え、職人や取引先としっかりコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことも重要です。
経験や信頼は一朝一夕で手に入れられるものではありません。誠実に日々の業務をこなしていく中で、初めて得られるものです。そのような地道な積み重ねがキャリアアップ、ひいては給料アップにつながります。
規模の大きい会社に就職する
たとえ自身の能力が高くても、小さな企業や業績の思わしくない企業では、思うように給料が上がらないことも多々あります。受注できる工事の規模も小さく、実務経験を積むという点でも物足りなく感じるかもしれません。
より高い給料を望むのであれば、規模の大きな会社に就職したほうが有利であるといえます。
発注者支援業務に携わる
発注者支援業務を目指すのもひとつの選択肢です。
発注者支援業務とは、地方整備局などが公共工事を行う際、発注者に代わって施工管理業務を行う仕事です。
発注者支援業務の年収は400~600万円が一般的ですが、大手企業では1,000万円を超えることもあります。
官公庁に準じて土日祝は休み、残業時間も少ない傾向にあるため、ワークライフバランスを保ちつつ施工管理に携わることができます。
まとめ
施工管理は平均より給料こそ高いものの、その分知識や体力が求められる仕事です。昇進、昇給を望むのであれば実務経験を積み、資格を取得することも求められます。
施工管理業務に携わる中で、給料が能力や努力に見合っていないと感じるのであれば、発注者支援業務も選択肢に入れてみましょう。
発注者支援業務はワークライフバランスを取りつつ、高給を目指すことができる仕事です。公共事業に携われるやりがいも魅力です。
「せっかく施工管理をするのだからより高い給料がほしい、でもオフの時間もちゃんと取りたい」という方は、施工管理業務を目指してみてはいかがでしょうか。