国土交通省の発注者支援業務とは?仕事内容と勤務場所について詳しく解説します
発注者支援業務は、さまざまな発注機関で職員に代わって補助業務を行います。
国土交通省をはじめ、農林水産省や防衛省などの国の行政機関などでも発注者支援業務は活躍できるのです。
そこで今回の記事では、国土交通省の発注者支援業務をテーマに解説していきます。
国土交通省の発注者支援業務の仕事内容や勤務場所についてチェックしてみてください。
目次
国土交通省の発注者支援業務の仕事内容
国土交通省の発注者支援業務は、どのような仕事をするのかについて解説していきます。
まず、国土交通省の「発注者支援業務等」に含まれている業務には「発注者支援業務」「
公物管理補助業務」「用地補償総合技術業務」の3つの業務があります。
それでは、それぞれの業務について詳しくみていきましょう。
発注者支援業務
「発注者支援業務」には「積算技術業務」「工事監督支援業務」「技術審査業務」の3つがあります。
積算技術業務は、積算のための現地調査を実施し工事発注図面と数量計算書などを作成します。
積算に必要な資料を作成し、積算システムデータを入力するところまで積算技術業務で行う仕事です。
積算技術業務の仕事が完了した後は、発注者の担当職員が発注図書を確定し、予定価格の作成を行い入札・契約に進みます。
工事監督支援業務は、工事契約の履行に必要な資料を作成します。
また、工事施工状況の照合を行ったり地元・関係機関との協議・調整に必要な資料を作成したりするのも工事監督支援業務が担当する仕事です。
遠隔臨場を含む工事検査などでの臨場も行います。
もし、設計変更がある場合は設計変更要協議資料も作成する必要があります。
工事監督支援業務を行う上で注意すべきことは、工事監督支援業務の担当技術者は管理技術者の指揮・監督のもと業務を行い、工事受注者に対して指示・承諾は行えないということです。
技術審査業務は、入札公告(案)や入札説明書(案)などの工事発注資料の作成を行います。
工事入札参加の際に提出された施工計画・技術提案・工事実績・配置予定技術者などの競争参加資格確認申請書類の分析と整理を実施し、審査資料を作成します。
公物管理補助業務
「公物管理補助業務」は「河川巡視支援業務」「河川許認可審査支援業務」「ダム管理支援業務」「堰・排水機場等管理支援業務」「道路許認可審査・適正化指導業務」の5つです。
河川巡視支援業務は、流水・土地の占用状況を確認し違法行為がないかを巡視します。
堤防や堰・水門等構造物などの状況を把握したり、不定住者などの生活状況やイベントなどの利用状況など空間利用状況を把握したりもします。
また、河川の水質など自然環境の状況を把握するのも重要な業務です。
河川許認可審査支援業務は、河川関係法令等に基づく各種申請書類の受領と審査・実施状況の確認を行います。
河川現況台帳や不法占用台帳、構造物台帳などを記載したり修正したりするのも仕事の1つです。
不法占用や放置車両などがないかを把握するために、現地立会を行う場合もあります。
ダム管理支援業務は、ダムや貯水池、関連設備などの巡視を行い記録の作成や整理を行います。
ゲート操作時の補助やダムの観測データの整理・記録の作成、ダム管理資料や関係機関協議資料を作成するのも重要な業務です。
水位や雨量情報などのダム操作などに関する情報を確認したり、受理したりすることもあります。
堰・排水機場等管理支援業務は、堰や排水機場などの状態を監視したり、ゲートや管内電源設備などの点検や記録の作成をしたりします。
道路許認可審査・適正化指導業務は、道路法に基づく申請書類の受付と審査のほか、道路管理に関しての苦情に対して内容を確認するために申立者と現地立会を行う業務です。
道路台帳、必要な図面などの点検と修正を行うこともあります。
また、災害が発生する恐れがある場合は、緊急時の業務に対応することも重要です。
道路の不正利用や不法占用がないかの状況把握、適正化に係る道路台帳の整備も行います。
用地補償総合技術業務
用地補償総合技術業務は、補償金額算定書の損失補償基準等との適合性を照合し、公共用地交渉方針の策定から公共用地交渉用資料の作成までを担当します。
また、権利者に対する公共用地交渉の実施のために、調書の内容説明や補償内容の説明、補償契約書案の説明と契約の承諾を行うのも重要です。
国土交通省 関東地方整備局|発注者支援業務・公物管理補助業務等の業務概要について
国土交通省 関東地方整備局|令和5年度発注者支援業務等説明会
国土交通省の発注者支援業務の勤務場所
国土交通省の発注者支援業務を担当する場合に気になるのは勤務場所ではないでしょうか。
ここからは、国土交通省の発注者支援業務の勤務場所について解説していきます。
事務所の種類
まず、国土交通省には本省と地方整備局があります。
地方整備局は「東北地方整備局」「関東地方整備局」「北陸地方整備局」「中部地方整備局」「近畿地方整備局」「中国地方整備局」「四国地方整備局」「九州地方整備局」の8つです。
関東地方整備局の場合は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・長野県・山梨県の1都8県が含まれています。
また、各地方整備局には複数の事務所があります。
主な事務所としてあげられるのは「河川事務所」「道路事務所」「河川国道事務所」「技術事務所」「公園事務所」「営繕事務所」「港湾・空港事務所」です。
関東地方整備局の場合は、51の事務所・管理所があります。
事務所・管理所の中でも、河川事務所と道路事務所の数が多いのが特徴です。
勤務地
各地方整備局の事務所・管理所の中には出張所があります。
発注者支援業務が勤務をするのは、出張所である場合が多いです。
たとえば、関東地方整備局管轄の勤務地の場合は、約150以上の勤務地があげられます。
国土交通省の発注者支援業務のウィークリースタンス
国土交通省では、業務環境の改善のためにウィークリースタンスを実施しています。
実は、令和3年度以降に契約したすべての業務に適用されることになり、発注者支援業務
も対象となっています。
ウィークリースタンスとは、具体的にどのような制度のことをいうのでしょうか。
ここからは、ウィークリースタンスについて詳しく解説していきます。
ウィークリースタンスの内容
業務環境の改善を目的に策定されたのがウィークリースタンスです。
従来は、土木関係建設コンサルタント業務と測量業務のみが対象でしたが、令和3年度からは地質・土質調査業務、そして発注者支援業務等も追加されました。
ウィークリースタンスの内容については、次のとおりです。
- 月曜日を依頼の期限日にしないこと(マンデー・ピリオド)
- 水曜日は定時で帰宅できるようにすること(ウェンズデー・ホーム)
- 土日は休暇を取れるようにするために、金曜日に依頼しないこと(フライデー・ノーリクエスト)
- 昼休みと17時以降は打ち合わせをしないこと(ランチタイム・オーバーファイブ・ノーミーティング)
- 定時間際と定時後の依頼・打ち合わせをしないこと(イブニング・ノーリクエスト)
- 金曜日は定時で帰宅するようにすること
- その他、任意で設定する取り組み(受発注者で合意した事項)
進め方と実施結果のフォローアップ
ここからは、ウィークリースタンスの実施フローについて解説していきます。
まず、初回の打ち合わせの際は、取り組み内容について受注者と発注者で確認します。
調整を行った場合は、業務環境改善様式に記入し打ち合わせ記録簿に添付しますが、受注者と発注者で合意の上で見直しを行うことが重要です。
受注者は、業務完了後2週間以内に取り組み項目の実施結果を業務環境改善様式に記録する必要があります。
記録が完了した業務環境改善様式は、電子メールにて企画部技術管理課にExcelデータを提出します。
国土交通省|設計業務等の業務環境改善(ウィークリースタンス)の実施要領の策定
まとめ
今回の記事では、国土交通省の発注者支援業務について、仕事内容や勤務場所などを詳しく解説しました。
国土交通省は全国に地方整備局があるため、日本を代表する建設工事を担当できる可能性が高いです。
また、業務環境改善の取り組みを実施しているため、発注者支援業務の中でも働きやすさが大きな魅力といえます。
発注者支援業務の中でも国土交通省の仕事を担当したいという方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。