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建設コラム

土木施工管理技士とは?主な仕事内容と必要な資格について詳しく解説

2023.11.11

土木施工管理技士

土木施工管理技士は、私たちの社会基盤を支える重要な役割を果たします。河川の堤防、橋、道路などの公共施設の建設・保守を担い、災害対応や老朽化対策にも携わります。この記事では、そんな土木施工管理技士の仕事の内容と彼らが持つ資格について詳しく紹介していきます。

土木施工管理技士とは?

土木施工管理技士とは、土木工事の施工管理を専門とする国家資格者です。施工計画の作成から工程、品質、予算、安全管理まで、建設現場における幅広い監督業務を担います。公共工事が主な仕事の場であり、災害復旧工事などの緊急案件にも対応しています。土木施工管理技士は私たちの日々の生活を支えるインフラを作り、維持することで、社会に欠かせない役割を果たしています。

工事の成功は、事前の綿密な計画にかかっており、計画通りに進行させるための工程管理、設計図に基づいた品質管理、そして事故のない職場を保つための安全管理が土木施工管理技士の重要な責務です。また、行政への申請手続きや住民への周知など、コミュニケーションを含めた多様な業務もこなします。

土木施工管理技士の仕事内容

土木施工管理技士 仕事内容

土木施工管理技士は、社会基盤を形成する重要な工事プロジェクトの中心人物です。日々の業務は多岐にわたり、様々な技術と責任感が求められます。以下は、土木施工管理技士の主な仕事内容を詳しく説明するセクションです。

施工計画の立案

土木施工管理技士はプロジェクト初期において、工事計画を策定します。これには工期の設定、必要な機材や材料の選定、作業の順序など、プロジェクトを円滑に進めるための詳細なスケジュールが含まれます。

工程管理

工程管理とは、建設プロジェクトの心臓部とも言える業務で、工期という重要な納期を遵守するために行われるスケジュール管理です。建設工事における「工期」は、工事の完了予定日を示し、発注者と土木施工管理技士の間で成立した契約の核心部分を成します。この工期内に、約束された品質で建造物を完成させることが、技士に課せられた使命です。

具体的な工程管理の役割は、複数の専門工事が関わるプロジェクトにおいて、それぞれの作業が滞りなく進むよう各工事の工期を調整することです。多くの作業員と機材が関与する建設現場を効率よく進めるため、緻密な日程調整と強固なリーダーシップが求められます。

工程の遅れがプロジェクト全体に波及することを避けるため、土木施工管理技士は各作業の時間配分を精確に計画します。

品質管理

品質管理は土木施工管理技士にとって欠かせない責務で、設計通りの品質を実現するための監督作業を指します。施工管理技士は設計図と仕様書を精査し、建築物の寸法、形状、強度、機能、材質がこれらの文書に準じているかを確認します。

このプロセスでは、定められた試験や検査方法による点検が行われ、不備があれば直ちに是正措置を取ります。また、施工の各段階で撮影された施工写真をはじめとする施工記録の作成と保管も重要な役割を担います。

品質管理は、最終製品が設計の意図と規格を満たしていることを保証し、可能な限りミスの再発を防ぐために、原因の特定と周知徹底も含めた包括的なプロセスです。

安全管理

安全管理は土木施工管理技士にとって最も優先されるべき責務の一つであり、事故のない作業環境を確保することが求められます。この目的のために、現場では「KY活動」(危険予知活動)、整理・整頓・清掃・清潔・躾を重んじる「5S運動」、そして「ヒヤリハット運動」をはじめとした様々な安全対策を実施します。

これらの運動を日常的に徹底するため、施工管理技士は工事作業開始前に全ての関係者を集め、安全に関する知識と意識の向上を図るための準備・点検・確認を実行します。

このようにして、安全管理をシステム化し、建設現場における全員の安全と健康を守り、事故や災害を未然に防ぐことが不可欠です。

予算と原価の管理

予算と原価の管理は、土木施工管理技士がプロジェクトの経済性を保つために行う中核的な業務です。施工計画に基づき算出される「実行予算」と、実際の建設工事現場で発生する「原価」との間で、経済的なバランスをとることが重要です。

実行予算を超える原価が発生すると、プロジェクトの利益は損なわれます。このため、現場責任者は、予算を超えないよう施工計画の見直し、工程表の適時調整、コスト効率的な下請け業者の選定と変更を行います。

効果的な原価管理により、計画された利益を確実に計上し、プロジェクトの財務的成功を確保する責任が施工管理技士には求められています。

コミュニケーションと調整

関係する行政機関への申請手続きや、工事によって生じる地域住民への影響を最小限にするための説明会など、コミュニケーションも土木施工管理技士の大切な仕事です。

これらは土木施工管理技士の日常業務の一部に過ぎませんが、それぞれの業務はプロジェクトの成功に直結しています。専門的な知識と経験、そして強い責任感が求められるため、高度な専門教育と現場経験が不可欠です。

土木施工管理技士になるには?

土木施工管理技士 なるには

土木施工管理技士というキャリアパスを目指すには、専門的な国家資格の取得が欠かせません。これは、国土交通大臣が指定した機関が実施する「土木施工管理技士」試験に合格することで得られます。

具体的には、「1級土木施工管理技士」と「2級土木施工管理技士」の二つのレベルがあります。1級土木施工管理技士の資格を持つ者は、「監理技術者」として高度な技術と管理能力が認められ、大規模なプロジェクトの責任者や指導者としての役割を果たします。

一方で、2級土木施工管理技士の資格を有する者は、具体的な作業工程を指揮する「主任技術者」として現場での指導や管理を行います。

これらの資格を取得することで、建設現場での重要な決定を下す責任者として、プロジェクトを安全かつ効率的に進めるための幅広い知識と技能が身に付けられるのです。

受検資格について

土木施工管理技士の国家資格を取得するためには、受検資格を得ることが第一歩です。具体的には、土木施工管理技士として働くためには、所定の実務経験年数を経ていなければ試験を受験する資格が得られません。

教育や資格が基礎を形成するものであるならば、実務経験はその知識を現実の職務に適用する能力を示すものです。この経験を積むことは、試験に挑むだけでなく、資格を生かして実際に業務を遂行するうえでも不可欠です。

土木施工管理の実務経験として認められる工事内容や受験資格については一般財団法人 全国建設研修センターのHPを確認してください。

試験の難易度・合格率

試験内容は学科試験と実地試験の二部構成で、実技試験は行われず、どちらも筆記試験のみです。学科試験は土木工学全般に関する知識や法規問題、施工管理の知識が問われる選択問題が出題されます。一方、実地試験では実務に即した知識が求められ、選択問題に加えて記述式の問題も含まれます。

1級土木施工管理技士の試験合格率は近年、第一次検定で50%から60%台を維持しています。これは、この段階のテストがマークシート方式であり、適切な準備と問題集での反復練習を通じてカバーできる内容が多いためです。しかし、第二次検定に進むと合格率は30%から40%台へと下がります。この段階での合格率の落ち込みは、受験者が第一次検定をクリアしても、第二次検定の要求水準がぐっと高くなることを意味しています。

第二次検定では、単に知識を暗記するだけではなく、それを応用して実際の現場で直面するであろう複雑な問題を解決する能力が求められます。特に、経験記述試験では、受験者の文章表現力が試され、現場経験を具体的かつ技術的に表現することが不可欠です。実務経験を豊富に持ち、その経験を的確に伝えることができる人にとっても、この試験は難関であり、多くの受験者がここで苦戦しています。

したがって、第一次検定と第二次検定の両方において、単なる暗記ではなく、実際の土木施工現場での応用力と、その経験を明確に伝える能力が重要となるのです。試験準備には、幅広い知識の習得はもちろん、実務経験を振り返り、それをうまく表現する訓練も含めるべきでしょう。

合格率は年度によって変動しますが、最近の傾向として、簡単ではないものの、計画的に勉強をすれば合格は十分に目指せるレベルです。

土木施工管理技士の就職先

土木施工管理技士 就職先

土木施工管理技士は、土木工事プロジェクトの効率的かつ効果的な運営において中核となる専門職であり、その需要は建設業界において非常に高いです。人手不足や業界の高齢化が進む中、土木施工管理技士の職はさらに価値を増しており、これらの専門家への需要は不足傾向にあります。

土木施工管理技士の主な就職先には、以下が挙げられます。

・大手総合建設会社(ゼネコン):大規模な建設プロジェクトを国内外で手掛ける企業。

・準大手ゼネコン:大手に次ぐ規模で、多様な建設プロジェクトを展開する会社。

・中堅ゼネコン:特定のニッチ市場または地域にフォーカスした建設プロジェクトを行う企業。

・地場建設会社(地場コン):地方都市を基盤とし、地元密着型の建設業務を行う会社。

・専門工事会社:特定の分野に特化した工事を請け負う企業(例:道路、橋梁、トンネル等)

中でも、以下のような企業が積極的に土木施工管理技士を求めています。

・マリコン:海洋関連土木工事、港湾施設の建設・保守を専門とする会社。(代表的な企業としては五洋建設、東亜建設工業、東洋建設)

・道路会社:新規道路建設、維持管理、災害時の復旧工事を専門とする会社。(NIPPO、前田道路、日本道路など)

これらの職場では、土木施工管理技士はその専門知識と技能を活かし、工事プロジェクトの計画から実行、監督まで幅広く関わることになります。建設業界の重要な支柱として、プロジェクトの成功に不可欠な役割を果たしています。

まとめ

土木施工管理技士は専門的な資格を持つ重要な職業で、資格取得は現場での信頼向上とキャリア展開につながります。合格率の難易度は高いものの、資格があれば工事現場での需要は高く、安定した収入が見込めます。一級土木施工管理技士の資格を持つことで、発注者支援業務を含む多くの官公庁の公共事業で責任者として活躍できることもできます。

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