建設コンサルタントとゼネコンの違いは何?業務内容や必要な資格について解説します
建設コンサルタントとゼネコン。これらはしばしば混同されがちですが、実は彼らの役割と責任は大きく異なります。
ゼネコン、すなわち「ゼネラル・コントラクター」は、総合建築業者として建築や土木工事を一手に請け負います。設計から施工までを統括し、工程、品質、費用、安全の各面を管理しながら、工期内にプロジェクトを完成させる役割を果たします。
一方で、建設コンサルタントは、顧客のニーズに基づき、社会資本の整備における真の課題を特定し、第三者の視点から必要な建設内容を提案します。主に官公庁を顧客とし、大規模な社会インフラプロジェクトの立ち上げに貢献することができます。
この記事では、建設コンサルタントとゼネコンの業務内容の違い、彼らがどのようにプロジェクトに関わるのか、また、それぞれの職種に必要な資格やスキルについて詳しく解説します。
目次
建設コンサルタントとは?
建設コンサルタントは、建設プロジェクト全体のプロデュースを担う専門家です。この役割は、重機を使って直接「造る」現場作業とは異なり、むしろプロジェクト全体を指揮し、調整することに重点を置いています。
主に社会インフラサービスに関わり、国や地方自治体などからの発注を受けて工事のプロデュースを行います。これには、発注者が直面する課題への対応策を調査し、提案することや、公共物の設計なども含まれます。これらの提案や設計が基になって、国や地方自治体は後にゼネコンへ具体的な施工を発注するという流れが一般的です。
建設コンサルタントの仕事内容
建設コンサルタントは、社会インフラに関わる幅広い課題の解決を目指す専門家です。彼らの役割は、建設現場全体のプロデュースを担い、施工作業以外のあらゆる業務に関与することです。具体的には、解決策の提案、公共物の設計、施工管理、さらには運営維持・管理支援などが含まれます。
具体的には、プロジェクトにかかるコストや実施期間、さらには地域社会や環境に与える影響までを総合的に考慮します。このように、建設コンサルタントは単にインフラを建設するだけでなく、そのインフラが社会に長期的な利益をもたらすように計画し、実現することが求められるのです。
建設コンサルタントに必要な資格
建設コンサルタントは、特定の資格を必ず持っていなくてはいけないという決まりはありません。
しかし、専門的な知識に基づいたアドバイスや評価を行う役割を担うため、建設業や土木業の技術、都市計画、測量、環境、防災などの分野に関連する国家資格を持っておくと良いでしょう。
例えば、技術士やRCCM(シビルコンサルティングマネージャ)、土木施工管理技士、建築士、測量士などが挙げられます。
これらの資格を取得することで、自身の専門的な知識や技術を証明し、信頼性を担保することができます。
こちらも参考にしてください:RCCMってどんな仕事?仕事内容や資格について解説
ゼネコンとは?
ゼネコン、または一般建設業者(ゼネラル・コンストラクター)は、建築や土木プロジェクトを実際に施工する企業を指します。これらの企業は、建設コンサルタントによって策定されたプランに基づき、具体的な建設作業を行い、建物や道路などの最終的な成果物を提供します。
ゼネコンの役割は、ただ建設するだけでなく、技術的な知識や経験を駆使して、クライアントの要望に応じた品質、予算、スケジュールを遵守することにあります。これには、現場で働く労働者や下請け企業との密な協力が不可欠です。彼らはプロジェクトの各段階で、さまざまな業務を遂行し、多くの関係者と連携して目標を達成します。
そのため、ゼネコンには単に建設技術だけでなく、プロジェクト管理の能力も求められます。プロジェクトを円滑に進行させるためには、高度なコミュニケーション能力と組織的な管理能力が必要です。
ゼネコンの仕事内容
ゼネコンは、建設コンサルタントが策定した計画に基づいて、施工と施工管理の業務を担当します。
すなわち、建物やインフラの建設を実施し、プロジェクトの進行具合を管理し、品質や予算、スケジュールの遵守の責任を負うのです。
さらに、現場で働く労働者や下請け企業と協力し、安全で効率的な職場環境を整えることも重要な業務と言えるでしょう。
ゼネコンに必要な資格
ゼネコンの場合も、資格を持っていないと勤務できないということはありませんが、建設現場での実際の施工や管理を行う業務に携わるため、国家資格を取得しておくことがおすすめです。
例えば、建築士や建築施工管理技士、土木施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士、衛生管理者などがあります。
これらの資格を取得することで、現場での施工や管理の技術、知識を証明することができ、安全で品質の高いプロジェクトの達成を実現することが可能です。
建設コンサルタントとゼネコンの違い
建設コンサルタントとゼネコンは、社会インフラを造り上げるという共通の目的を持ちながら、その関わり方には大きな違いがあることがわかりました。彼らの業務には一部重複する面があるものの、それぞれの役割は明確に異なります。
一般的な工事の工程は、「企画・計画・調査・設計・施工・完成」という流れに沿って進みます。この中で、建設コンサルタントは主に企画から設計、さらに施工監理までを担います。彼らの役割は、社会インフラサービスのトータルプロデュースにあります。これは、建設プロジェクトの全体的な構想や設計を行い、施工プロセスを管理し監督することを意味します。
一方、ゼネコンは主に施工と施工管理を担当します。ここでの「施工管理」と「施工監理」の違いは重要です。「施工管理」とは、現場での作業を直接管理し進行させることを指し、「施工監理」とは、その施工管理をより高いレベルで監視し、指導する役割を意味します。
つまり、建設コンサルタントは、ゼネコンが効率的で安全に作業を行えるように全体的なプロジェクトを組み立て、ゼネコンはその計画に基づいて具体的な施工を行います。お互いの協力と連携により、効率的かつ安全な社会インフラの構築が可能になるのです。
まとめ
建設コンサルタントとゼネコンは、似ているところもありますが、明確な違いがあることを理解していただけと思います。
簡潔に言うのであれば、建設コンサルタントがプロジェクト全体のプロデュースを行い、ゼネコンがその計画の通り施工を行うということです。
この両者が協力してプロジェクトを進行することで、完成度の高い社会インフラが作られていると言えるでしょう。
社会インフラの整備に関心がある方には、「発注者支援業務」もおすすめです。
発注者支援業務は、国や都道府県などの自治体や、官公庁が発注する公共事業の発注業務をサポートする仕事です。
公務員と同じような年間休日や勤務時間など職場環境も整っており、安定的な仕事であることも魅力のひとつでしょう。
ぜひ、この機会に「発注者支援業務」の仕事を視野に入れてみてはいかがでしょうか?