Construction column
建設業の主な職種にはどのようなものがある?仕事の内容と特徴も解説
2022.12.31
建設業と聞くと、どのような職種をイメージするでしょうか。建設業の職種と一口にいっても、施工管理や設計のほかにも数々の職種があります。
「それぞれの職種の仕事内容や職種が知りたい」という方もいることでしょう。
そこで今回の記事では、建設業の主な職種をご紹介します。仕事内容と特徴についても、ぜひあわせてご覧ください。
建設業の職種①(施工管理)
「施工管理」は、建設工事の管理・監督をします。発注者や職人など多くの人と関わりながら仕事を進めます。
決められた工程内で工事を円滑に進めるために日々の作業進捗を確認したり、作業員全員が安全に作業ができるような現場環境を整えたりすることも施工管理の仕事です。
また、構造物の品質を保つことや予算内で工事を完了させることも重要です。
施工管理は、施工計画書・架設計画図の作成や資材発注など事務所内での仕事もあります。しかし、職人と打ち合わせをしたり構造物を確認したりするなど現場で仕事を行う場合が多いです。
施工管理は実務経験を積むことで、知識やスキルを習得できるようになります。また、施工管理技士の資格を保有することで、監理技術者や主任技術者といったポジションにつくことも可能です。
施工管理は屋外の仕事が多く、体力が必要な仕事もありますが、構造物が完成したときの喜びや感動は計り知れないものです。
「チームで何かを成し遂げるのが好き」「ものづくりが好き」という方に施工管理は向いています。
建設業の職種②(設計)
「設計」は、土木構造物の設計図面を作成したり構造計算を行ったりします。内勤が多い職種ですが、発注者との打ち合わせや現場確認なども行う場合もあります。
図面を作成する際はCADソフトを使用することが多いです。ただ、国土交通省発注の詳細設計や大規模構造物の工事では、原則BIM/CIMの対象として工事が発注されています。
BIM/CIMを積極的に導入して設計業務を進めるようになったように、臨機応変に新しいツールを取り入れていくことも重要です。
また、関連法令や仕様書に基づいて設計する必要があります。発注機関によって設計指針が異なるため、常に設計指針を確認しながら設計業務を進めなければなりません。
さらに、設計者自身が発注者に対して数種類の設計案を提案する場合も多いです。
デザインだけではなく「構造的に問題ないか」「コスト面に無駄はないか」など、総合的に判断して設計を進めることが重要です。
設計の仕事をするためには、ゼネコンなど建設会社の設計部門に所属するか、建設コンサルタントに勤務する必要があります。
設計者は、技術士(技術士補)や土木学会認定の土木技術者資格者といった高い技術力を持っていたり目指していたりする方が多いです。
建設業の職種③(技術開発)
「技術開発」は、新しい工法や資材などを開発する仕事です。自社だけではなく、他の企業や大学などの教育機関と共同開発を行う場合もあります。
社内独自のITシステムの構築やAI技術の導入など、建設業のノウハウ以外に他業界のノウハウを取り入れた開発も注目されています。
建設業だけではなく多業界の知識を習得しながら業務を進められるのも、技術開発の魅力といえるのではないでしょうか。
技術開発は、社内の意見や判断だけでは進められません。どのような工法や資材が求められているのかを把握するためには市場調査を行う必要があります。
開発から実用化までの期限を設定して技術開発業務を行うこともあります。
なかなか成果に結びつかないことや開発した工法や資材がすべて採用されることがないことから、仕事に悩んでしまうこともあるでしょう。
だからこそ、技術開発業務を進める上で「探究心」「粘り強さ」が重要です。
建設業の職種④(営業)
「営業」は、その名のとおり官公庁や地方自治体、企業に対して営業をします。
建設コンサルタントの場合、官公庁や地方自治体に対して提案営業を行う場合が多いです。技術提案書や見積書を作成し発注者に提案します。
ゼネコンなどの建設会社の場合、公共工事では官公庁や地方自体へ営業を行います。
入札に対して積算を行うこと、官公庁に対して指名を獲得するために営業を行うことが営業の仕事です。一方、民間工事では企業に対して営業を行います。
新規営業とルート営業どちらもあるため、顧客にあわせた営業が重要です。
営業といっても、顧客に対する営業や見積書の作成以外にも、自ら現場へ向かい現場状況を確認することもあります。
建設業の営業は、他者との比較検討がつきものです。
さらに、建設工事は受注金額が高額であるため、営業をしてもなかなか受注できないこともあります。
技術部門の社員と同行営業をするなど、いかに顧客の信頼を得られるかがポイントです。
建設業の職種⑤(事務・情報システム)
「事務・情報システム」は、経理や人事など事務を行ったり、情報システムの構築などを行ったりします。
事務・情報システムは直接建設工事に関わることは少ないです。しかし、社員が快適に働ける職場環境を実現するためには欠かせません。
企業によって仕事の範囲は異なります。中には設計業務や営業のサポートを行う場合もあります。
建設業の事務の中にはさまざまな業務がありますが、特に経理の仕事は独特です。建設業経理士と呼ばれる資格もあるほど、建設業に特化した経理に関する知識を把握する必要があります。
もちろん、建設業経理士の資格がなければ経理の仕事ができないわけではありません。
ただ、1級建設業経理士や2級建設業経理士が社内にいる場合は、5年を過ぎる日の年度末まで経営事項審査において評価対象になるのです。
また、情報システムの構築も重要です。国土交通省では、発注者と受注者の作業効率化を目的に遠隔臨場も進められています。
遠隔臨場は、現場に向かうことなく遠隔地から「段階確認」「材料確認」「立会」を行えるものです。
そのため、Web会議システムを導入したりIT技術を取り入れたりするなど、情報システム部門の需要も高まっています。
国土交通省 大臣官房技術調査課|建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)令和4年3月
建設業で注目されている職種
建設業の主な職種以外にも、近年注目されている職種があります。
そんな建設業で注目されている職種といえば「発注者支援業務」です。発注者支援業務は、発注者と受注者の間に入り発注者の補助業務を行います。
発注者支援業務では、国の行政機関や都道府県などの地方自治体の発注工事を担当します。他にも、NEXCO各社やJRTTなどの発注工事においても発注者の立場で業務が可能です。
発注機関の職員の不足やインフラの老朽化のほか「官から民へ」の考えによって、発注者支援業務は東日本大震災以降から増えてきています。
高度経済成長期に建設されたインフラは寿命を迎えています。
発注者支援業務が関わる工事は、道路・トンネル・橋梁・ダム・河川・港湾などの公共工事であるため、老朽化したインフラ整備に関わることも増えるでしょう。
そのため、今後も発注者支援業務の需要は高まっていくと予想できます。
まとめ
今回の記事では建設業の主な職種、それぞれの仕事内容と特徴について詳しく解説しました。
建設業は、私たちの暮らしを便利にするだけではなく、地震や豪雨などの自然災害から人々を守る役割も担っています。
さまざまな職種が支え合って、人々が安心安全に暮らせる社会インフラを整備しています。
そんな建設業の職種として近年注目されている職種といえば「発注者支援業務」です。
国土交通省によって民間活力の導入も進められている今、発注者支援業務が活躍するフィールドは幅広いです。
今後、さらに活躍の幅を広げたい方は、ぜひ発注者支援業務に挑戦してみてはいかがでしょうか。