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Construction column

建設コラム

発注者支援業務に携わるなら監理技術者を目指そう!監理技術者になるためには資格が必要?監理技術者の基礎知識からなり方までを徹底解説!

2023.8.30

発注者支援業務

建設業界である程度キャリアを積んだ際、さらなるキャリアアップのために監理技術者を目指そうと考える方は少なくありません。しかし、管理技術者は誰でも簡単になれる訳ではなく、定められた要件を満たす必要があります。

発注者支援業務には施工管理を行う「工事監督支援業務」が含まれますので、監理技術者になれる資格を有しておくことは大きなメリットとなるでしょう。

本コラムでは、監理技術者はどのような仕事をするのかや、監理技術者になるためにはどうすれば良いのかを解説します。

監理技術者とは

建設業許可を得ている業者が請負った工事を施工する際に、工事現場で技術上の管理・監督を行うのが監理技術者です。また、似たような役割を果たすものに「主任技術者」があります。

本章では、監理技術者とはどのような仕事をするのかや、主任技術者との違いについて解説します。

監理技術者の業務

監理技術者は建設業法において規定された職務や役割を担います。監理技術者は工事全体の監理を行うのが仕事とされており、具体的には以下の5つです。

  1. 施工計画の策定・実行
  2. 工事の工程管理
  3. 工事の品質管理
  4. 工事の安全管理
  5. 下請業者の指導・監督

施工計画の策定・実行とは工事が予算内に収まり、安全に行われるように計画し実行することを言います。施工計画の策定・実行では、さらに以下の5つの項目が検討されます。

  • 工事の目的や内容、契約条件等の把握
  • 現場の条件
  • 基本工程
  • 施工方法
  • 仮設備の選択や配置

工事の作業ごとの日程調整や全体スケジュールを管理し、工期までに構造物を完成させるための工程管理、設計図や仕様書通りの品質を満たすために行う品質管理、工事期間中に作業員や関係者が事故にあわないように安全な環境を整える安全管理も監理技術者の業務です。

さらに、監理技術者は下請けとして入る企業に対し、適切な指導・監督を行うことも業務に含まれています。監理技術者は、工事全体の技術指導を行う責任も負っているのです。

監理技術者と主任技術者は何が違うのか

監理技術者と似たようなものに「主任技術者」があります。監理技術者と主任技術者との間にはどのような違いがあるのでしょうか。

基本的に、監理技術者も主任技術者も施工における技術的な管理・監督を行うことになっています。

このように聞くと、監理技術者と主任技術者には違いが無いようにも思われますが、いくつかの点において違いがあります。

一つは、配置される現場の規模です。監理技術者は「発注者から直接請負った工事で、請負代金の合計額が4,500万円(建築一式7,000万円)の下請契約を締結」した場合に、主任技術者に代わって配置されます。簡単に言えば、「規模の大きな工事」の際に配置されるのが監理技術者です。

もう一つは、必要となる資格や実務経験が異なります。監理技術者になるために必要な要件については後述しますが、主任技術者になるためにも満たすべき要件があります。

主任技術者になるための要件は、「建設業の業種に応じた1級・2級の国家資格を有している」、「一定期間以上の実務経験を満たしている」などです。これらの要件を満たしていれば主任技術者になることができます。

また、主任技術者は監理技術者のように下請け企業の指導・監督を行わないことも相違点です。

監理技術者になるには

ここまでは、監理技術者の業務内容と主任技術者との違いについて解説してきました。

では、実際に監理技術者になるためにはどうすれば良いのでしょうか?本章では、監理技術者になるために必要となる要件(資格など)や、要件を満たした後にすべきことを解説します。

必要な要件

監理技術者になるためには2つの方法があり、どちらかの要件を満たさなくてはいけません。その2つの方法とは以下の通りです。

  1. 1級国家資格等を取得する
  2. 実務経験の条件を満たす

まず国家資格等を取得する方法について解説しましょう。指定建設業7業種の場合、1級国家資格等を取得することで監理技術者になることができます。

指定建設業7業種とは、「土木工事業」「建築工事業」「電気工事業」「管工事業」「鋼構造物工事業」「舗装工事業」「造園工事業」です。これら7業種で必要となる1級国家資格を表にまとめましたので、確認しておいてください。

指定建設業7業種必要な1級国家資格等
土木工事業1級土木施工管理技士、1級建設機械施工技士、技術士
建築工事業1級建築施工管理技士、一級建築士
電気工事業1級電気工事施工管理技士、第1種電気工事士、1級計装士、技術士
管工事業1級管工事施工管理技士、1級計装士、技術士
鋼構造物工事業1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、一級建築士、技術士
舗装工事業1級土木施工管理技士、1級建設機械施工技士、技術士
造園工事業1級造園施工管理技士、技能検定造園技能士、技術士

参照元:1級国家資格等による監理技術者の資格要件 一般財団法人建設業技術者センター

次に、実務経験の条件を満たす方法について解説します。指定建設業7業種以外の22業種については、規定の実務条件を満たすことで監理技術者になることができます。22業種については、以下の一覧表をご覧ください。

大工工事業左官工事業
とび・土木工事業石工事業
屋根工事業タイル・れんが・ブロック工事業
鉄筋工事業しゅんせつ工事業
板金工事業ガラス工事業
塗装工事業防水工事業
内装仕上工事業機械機器設置工事業
熱断縁工事業電気通信工事業
さく井工事業建具工事業
水道施設工事業消防施設工事業
清掃施設工事業解体工事業

これら22業種は実務経験年数または、指導監督的実務経験年数の条件が定められています。以下に必要年数を表にまとめていますので、参考にしてください。

なお、指導的実務経験年数とは、「建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験」のことです。


学歴または資格
必要な実務経験年数
実務経験指導監督的実務経験



学校教育法による大学・短期大学・高等専門学校(5年制)・専修学校の専門課程を卒業し、指定学科を履修した者指定学科卒業後3年以上2年以上(左記年数と重複可)
学校教育法による高等学校・専修学校の専門課程を卒業し、かつ、指定学科を履修した者
指定学科卒業後3年以上
2年以上(左記年数と重複可)





技術検定2級または技能検定1級等を有している者※12年以上
平成16年3月31日以前に技能検定2級等を有している者※2合格後1年以上2年以上(左記年数と重複可)
平成16年4月1日 以降に技能検定2級等を有している者※2合格後3年以上
電気通信主任技術者資格者証を有している者合格後5年以上
上記イ・ロ以外の者10年以上2年以上(左記年数と重複可)

参照元:実務経験による監理技術者の資格要件 一般財団法人建設業技術者センター

以上、2つの内いずれかの方法によって監理技術者になる要件を満たすことになります。

監理技術者講習を受講する

上記の資格要件を満たしている場合、一般社団法人建設業技術者センターに資格者証を申請します。申請内容に問題がなければ「監理技術者資格者証」が交付されます。

しかし、これだけでは監理技術者として建設現場に出て働くことはできません。監理技術者として働くためには、監理技術者資格者証の他に「監理技術者講習修了証」が必要です。監理技術者講習修了証は、監理技術者講習を受講することで取得することができます。

実際の建設現場には「監理技術者資格者証」と「監理技術者講習修了証」の2つを所持して職務にあたることになります。

監理技術者になってキャリアアップを!

監理技術者は、指定建設業7業種において1級国家資格等を取得することになるため、高度なスキルと知識、経験を備えることができ、キャリアアップにつながります。また、監理技術者資格者証を所持している人は少ないので、転職でも有利になるでしょう。

発注者支援業務においては、公共事業の規模が大型化している傾向にあるため、工事監督支援業務に携わる際には所持しておく必要が出てくる可能性が高まっています。

建設業界においてキャリアアップを目指している方や、これから発注者支援業務に携わりたいと考えている方は、監理技術者になるという選択肢もあることを認識しておいてください。

発注者支援業務は、国や地方自治体や官公庁などが発注する公共事業の発注業務をサポートする仕事です。そのため公務員と同じような年間休日、勤務時間など労働環境が整っています。

また、発注者支援業務は、社会インフラを整備するための公共工事に携わることができます。そのため大きな責任が伴う仕事でもありますが、やりがいを感じることができる仕事でもあります。

本記事を読んでいただき、発注者支援業務に携わってみたいと思っていただけたなら幸いです。

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