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Construction column

建設コラム

【学歴不問】施工管理技士が、制度見直しへ。文・理系や学歴に影響しない技術系国家資格

2023.3.14

あなたが、就職や転職を考えているときに、「施工管理技士」と聞いて、どんなことを連想しますか?

例えば、自分の経歴が、文系の学部・学科や、高卒普通科出身といった学歴である場合、「なんとなく興味はあるものの、まったく無縁だ」と、考えがちです。

「建設業」「国家資格」となると、敷居が高い!と、最初からあきらめてしまいそうです。

しかし、朗報があります。

国土交通省では、施工管理技士検定の見直しを検討しており、令和6年度より改正される予定なのです。

そこで、この記事では、どんな見直しなのか簡単にポイントを整理し、施工管理に関する資格の種類や概要、その資格を選ぶメリットなどをまとめました。

ぜひ、参考にしてみては、いかがでしょうか。

今後、お子さまが就職する、というご家族にもご一読いただければと思います。

いよいよ令和6年度に施行が予定されている施工管理技術検定の見直し

なぜ、国土交通省が、施工管理技術検定の受検資格の見直しを検討したのでしょうか。

国土交通省が発表した資料によると、技術者制度に関する現況として、以下があげられています。

・担い手確保・育成への懸念(業界志望者の減少、離職者の増加、高齢化)

・IT・通信環境の進展(施工管理業務効率化、リモート環境による業務拡大)

・生産性向上を求める意見(技術者の配置や資格取得要件の緩和要望)

です。

今回の見直しでの大きなポイントは、1級施工管理技士への受験資格にあります。

これまで受験するためには、実務経験年数をこなすことが必須とされていました。

しかも、実務経験年数は、大卒、高卒、学部などの学歴によって異なっていたのです。

例えば、1級施工管理技士第1次検定を受験する場合、大卒(指定学科)は、卒業後3年の実務経験で受験ができますが、高卒の場合は、卒業後11. 5年の実務が必要です。

それが、この見直しにより、19歳以上であれば学歴に関係なく、1級施工管理技術検定の第1次検定の受験ができます。

「第1次検定」とは?施工管理技士のそもそもを知る

前述の“1級施工管理技術検定の第1次検定”と聞くと、1級第2次、第3次・・・と続き、1級の前に2級、3級・・・があるのではないか、と想像する人もいるかもしれません。

実際は、1級と2級のみで、それぞれ第1次検定と第2次検定があります。

それでは、ここで施工管理技士の基本についてふれていきます。

「実務経験」が、重視されている国家資格

建設業法第27条には、“建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者について、政令の定めるところにより、技術検定を行うことができる。”と記されています。

この条文のポイントは二つあります。

一つは、国土交通大臣は、施工管理技術検定を実施すること。

もう一つは、“従事し又はしようとする者”です。

つまり、単なる座学で取得できる資格ではない、といえます。

実際の現場で、“実務経験”を得ることが基本です。

そのため、令和2年度までは、学科試験を受験し合格した後で、実地試験をする。

これらに合格した人が、施工管理技士の称号を与えられるという仕組みでした。

令和3年度の法改正により「第1次検定・第2次検定」へ。合格者への称号が増える

令和3年度には、「第1次検定」と「第2次検定」といった構成へ見直されます。
1級・2級共に、第1次検定に合格すると、“施工管理技士補”という称号が与えられるようになります。

特に2級施工管理技士補は、学歴問わず、17歳以上であれば受験ができるようになり、早期で資格取得する機会が得られます。しかも試験は、年2回開催されています。

年1回しか受験できない国家資格もあるため、それと比較すると、チャンスが広がり、合格する可能性は高くなるでしょう。

施工管理技士は、7つの種目に分けられる

施工管理技士には、建設機械、土木、建築、電気工事、管工事、電気通信、造園、という7つの種目に分けられています。

国土交通省の指定試験機関である3団体が試験を実施しています。

文系出身者でも、女性でも目指せる職種なのか

施工管理技士は、技術系の国家資格なので、文系や女性は何となく無縁のように感じます。それは、「キツイ」「大きく重いものを扱う」といったタフな印象があるからでしょう。

ここでは、資格を取得するにあたってのメリットや求められる知識や能力、また業界が取り巻く環境についてふれていきます。

資格取得するにあたってのメリットとは

国家資格以外にメリットがあるのでしょうか?結論としましては、あります。

工事現場には、「監理技術者」や「主任技術者」を配置し、工事施工の技術上の管理を行う必要があります。

建設業法第26条1項、2項には、“建設業の許可を受けている者は、主任技術者を必ず配置”
“発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合には、監理技術者を配置しなければならない”と、記されています。

それぞれの役割は、施工管理技士の資格取得者のみが認められています。

また、給与面では、資格手当がある企業も少なくないと思います。

実務経験を主とした国家資格であるため、転職する際にも重宝されるという強みも考えられます。

施工管理はマネジメント能力が必要。その原点は5大管理が基本だから

施工管理とは、工事の計画及び管理を行うことと定められ、主な内容として①工程管理②出来形管理③品質管理④原価管理⑤安全管理とされています(農林水産省/土木工事施工管理基準の手引きより抜粋)。

この「計画」と「管理」とは、いわゆるマネジメント能力が必要であることを示しています。チームワークが不可欠で、コミュニケ―ション能力が求められるでしょう。文系だからコミュニケーションが得意とはいい切れませんが、かといって理系に限ったわけではないのです。

業界が取り巻く環境は?国土交通省による新3K(給与・休暇・希望)の実現への取り組み

令和6年度に施工が予定されている施工管理技術検定の見直しの懸念点に、担い手確保・育成への懸念があげられています。いわゆる人手不足です。

国土交通省では、建設業の新3Kと銘打って、「給与」「休暇」「希望」という3つを軸に、国土交通省直轄工事において各種モデル工事(総合評価や成績評定での加減点)などの取組を実施する予定です。下請企業からの労務費見積を尊重する企業を評価することや、週休2日確保するように努めていきます。

また、建設業における残業規制が令和6年4月より本格スタートする予定です。

元々は、平成29年(2019年)3月の働き方改革実現会議決定において、改正労働基準法として施行されていましたが、建設業における残業規制には5年間の猶予が与えられていたのです。

歴史ある業界だけに留まらない?!DX化やSDGsを意識した先進的な取り組み

建設業では、DX化による先進的な取り組みが活発化しています。

遠隔操作で同時に多数の建設機械を投入する無人化施工の生産性向上や、監督検査の省力化、ICT建設機械の海外進出、令和5年4月からは入札案件などで、専門ソフトBIM/CIMを導入し、業務効率化・高度化を図ります(一定の基準や対象があります)。

大手ゼネコンを中心とした、持続可能な社会につながる環境への配慮にも注目です。例えば、リサイクル材を使用し、環境負荷の少ない建材を採用する、ダム機能の向上と再生可能エネルギーの利活用する、といった取り組みがあげられています。

災害への取り組みも欠かせません。阪神淡路大震災や東日本大震災の復旧工事やインフラ整備における建設業は必要不可欠でした。

まとめ

最後に、長くなりましたので、まとめます。

・令和6年度施行予定の施工管理技術検定の見直しは、学歴不問で、受験しやすくなっています。

・受験は、文系出身者や女性にもオススメ。計画や管理業務では、マネジメント能力が求められています。

・建設業全体で、DX化を取り入れ、残業規制含め業務の効率化を図っています。

・平時はもちろん、災害時でのインフラ整備は必要不可欠。持続可能な社会への配慮もしています。

建設業は、間違いなく社会的意義のある仕事です。施工管理技士は、その業務の中心的存在の一つといえるのでしょう。

学歴がハードルで施工管理技士の資格を持てなかった人も、これから資格取得を検討してみては、いかがでしょうか?

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