Construction column
スムーズかつ安全・正確に工事を進めるために重要な業務とは?施工計画資料作成業務について解説します!
2023.5.27
工事を安全かつ正確に進めていくためには、さまざまな書類を用意しておくことが必要になります。
その中でも重要となる書類の一つとなるのが、「施工計画書」です。
施工計画書には、工事全体の流れや作業の詳細、安全衛生対策など、工事に関するあらゆる情報がまとめられています。
本コラムでは、その施工計画書などを作成する業務である、施工計画資料作成業務について解説します。
目次
施工計画資料作成業務とは
施工計画資料作成業務とは、設計図書に記載された内容を十分に検討し、無理のない施工ができるように、さまざまな資料を作成する業務です。
その中でも、「施工計画書」は工事の手順や工程など、施工の内容をまとめた重要な書類です。
施工計画書には工事全体の流れはもちろん、工法、使用資材や機械、進捗管理、安全対策など、工事を遂行するに当たって、把握しておくべき内容がすべて記載されています。
工事を安全かつ確実に、そして効率的に実施し、各工程の施工内容を管理する目的で作成される施工計画書は建築工事や土木工事、電気設備工事など、ほとんどの工事において必要です。
施工計画書に具体的かつ適切な施工内容や施工方法が記載せれていることで、作業者はもちろん、関係者も内容を確認することで工事の内容が理解できるというメリットがあります。
また、正確な施工計画書があることで、事故やトラブルなどを事前に防止することができ、工事に関係するすべての人々の安全を守ることが可能です。
このように、施工計画資料作成業務は、施工計画に関する重要な資料や書類を作成することだけでなく、工事に関する安全・安心を確保する重要な業務です。
施工計画資料作成業務の主な内容
施工計画資料の作成がいかに重要であるかを理解していただけたと思います。ここからは、施工計画資料作成業務の内容、その中でも特に重要な、施工計画書の作成における業務をメインに解説します。
その主な内容とは、「計画工程表の作成」、「安全管理のための計画作成」、「主要資材の確認」、「施工方法のなどの資料作成」の4つです。
計画工程表の作成
計画工程表とは、着工日から竣工日までに行われる工事の施工の順序や工種、その工種ごとの施工期間が記載されている表のことを言います。
計画工程表を作成する手順として、初めに行うのは対象となる工事現場に最適の施工手順や施工方法を決定することです。
施工手順については、作業ごとに細かく設定することが重要です。作業方法があいまいな場合、工程表が分かりにくいものになってしまう可能性があります。その際に、必要となる資材や機械設備などがあれば、記載しておくと良いでしょう。
次に適切な施工期間を決定します。短すぎる工期は作業員のミスを誘発する可能性が高くなります。また、工期が長すぎる場合には、作業中のトラブルなどで工事が遅れた際に納期が間に合わなくなる可能性があるため、適切な期間を設定しなくてはいけません。
最後に、すべての工事が納期に間に合うように工程の各工事を配分、調整します。配分、調整を行う場合には、不測の事態が発生しても対応ができるように余裕を持った計画を立てておきましょう。
実際に工事が始まった際には、計画工程表に対して、実施工程表を入れて、両者を比較しながら工程管理が行われます。
安全管理のための計画作成
労働災害が発生すると、工事を請け負った企業は、刑事責任や民事責任、行政上の責任、社会的責任など4つの責任を負うばかりでなく、施工の一時中断により工期の遅れが発生した際の責任も負うことになります。
そればかりでなく、労働災害が発生したことにより、作業員は当然ながら、職員の士気の低下を招くことにもなるでしょう。
このように工事現場において、労働災害が発生することは人道上の問題ばかりでなく、さまざまな問題を呼び起こします。そのため、安全衛生管理は徹底しなくてはいけません。
安全管理のための計画では、安全管理体制組織図や点検整備の方法などを作成します。そのためには、工事全体を把握するだけでなく、工事の現状を理解しておく必要があります。
さらに、安全管理の目標や安全指導の実施方法などを組み立て、労働災害防止のための安全施工サイクルの回し方を考えなくてはいけません。
労働災害を防ぐには、労働災害防止のための行動だけでなく、その心構えについても安全管理の計画に組み込んでいくことが重要です。
工事を行う作業員だけでなく、工事を行う関係者全員が安全管理のための計画を共有することで、労働災害を防ぐ一番の方法と言えるでしょう。
主要資材の確認
施工計画書にいう「主要資材」とは、各工事において使用する主な材料を記載した書類のことを言います。
主要資材には、品名や規格・寸法、予定数量、製造業社名、品質証明等を記載します。設計図書に各資材の総量集計表がついている場合は、それを参考に作成が可能です。
主要資材の確認については、実際に資材を確認するわけではないので注意しましょう。施工計画資料作成業務でいう「確認」とは、現場に実際に材料を搬入する前に、材料を証明するために提出される「打合せ簿」のことです。打合せ簿の提出をもって「確認」となります。
施工方法のなどの資料作成
計画工程表で作成した施工方法をより詳細に記載した資料を作成します。例えば、工種ごとの作業において、施工期間における天候との関連や、それを基に判断した留意点などです。
また、土木工事の場合には、設計図書で指定している主要機械、設計図書に指定がない船舶や機械について、機械の名称、規格、使用する台数などの詳細も記載します。
さらに、仮設備計画についても記載する場合もあり、その際には位置図や概略図を用いて、具体的に作成しなくてはいけません。
その内容は、仮設備の構造や配置図、安全確認のための応力計算が記載された資料や、仮設建物、材料、機械等の仮置場が記載された資料です。
施工方法などの資料作成では、説明図や写真を用いて、具体的に表現することが重要となるので注意してください。
なぜ施工計画資料の作成が必要なのか
施工計画資料を作成することの目的は、施工手順や施工方法、適正費用、品質管理、安全管理についての統一された考えのもとで工事の完成を目指すことです。しかし、それだけが目的とは言えません。
施工計画資料を作成することで、工事目的物を工期内に完成させるために必要となる手順や工法について示します。
さらに、施工計画資料を作成によって、工事の品質や工期などについて、契約図書で要求されている事項を維持することで、経済性や施工の安全はもちろん、環境の保全を配慮することになります。
それによって、工事の品質が保持され、工事への信頼性が高まることになるのです。工事を安全かつ確実に遂行することで、工事への信頼性を高めるためにも、施工計画資料を作成する必要性があると言えるでしょう。
まとめ
再三述べてきたように、施工管理資料を作成することは、工事の品質や工期を守ることで、安全で確実に工事を進めるために必要です。
また、統一した考え方を持ち、工事の目的物を完成させるプロセスを共有することで、安全管理や環境保全への意識も働き、工事自体の信頼性を高かめることにもつながる需要な業務であると言えます。
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