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建設コラム

発注者支援業務と民間の違いとは?業務や勤務地、勤務時間など詳しく解説します

2023.12.11

発注者支援業務

民間企業における工事業務と、発注者支援業務の間には、意外と知られていない多くの違いが存在します。特に国土交通省のような発注者に焦点を当てた支援業務は、その性質上、独自の業務内容や勤務スタイルを持っています。本記事では、具体的に「国土交通省における工事監督者支援業務」と「民間ゼネコンにおける施工管理」という2つの職種に絞り、それぞれの業務内容、勤務地、勤務時間の違いについて詳しく紹介します。

発注者支援業務の概要

発注者支援業務

発注者支援業務は、公共事業や大規模建設プロジェクトにおいて、発注者の代理として計画、実行、監督をサポートする役割を担います。主な目的は、プロジェクトが法令、契約条件、予算、期間内に適切に実施されることを確保することです。この業務は品質管理、コスト管理、リスク管理などを含み、ステークホルダー間のコーディネーションも重要です。

国土交通省のような組織は、これらの業務の主要な発注者であり、国の土木工事の計画から維持管理までを担当しています。発注者支援業務では、プロジェクト管理、契約管理、技術的サポート、ステークホルダーとのコミュニケーション、法令遵守など、多岐にわたる職務を実施します。これらの業務は、専門知識、コミュニケーション能力、プロジェクト管理スキルが求められます。

民間企業の工事業務の概要

施工管理者

民間企業の工事業務は、住宅、商業施設、インフラなどの建設プロジェクトの計画、実行、管理を担う業務です。その主な目的は、高品質の建築物をコスト効率良く、安全に、時間通りに完成させることにあります。

日本の代表的なゼネコンには大成建設、清水建設、鹿島建設などがあり、これらは技術、設計、施工、プロジェクト管理などのサービスを提供します。工事業務にはプロジェクト計画と管理、品質管理、安全管理、コスト管理、クライアントとのコミュニケーション、サブコントラクターの管理などが含まれ、専門スキルと高度な管理能力が求められます。

また、クライアントの要望に応じた対応と持続可能な建設手法の採用も重要です。

発注者支援業務と民間の勤務地の違い

発注支援者業務 勤務場所

民間企業における工事業務では、勤務地は主に工事現場の現場事務所となります。ここで重要な点は、工事期間中、勤務地が特定の現場に固定されることです。この期間は、土木工事であれば通常数ヶ月から1年が多く、場合によっては2〜3年に及ぶ長期プロジェクトも存在します。工事が竣工するまでは、同じ現場での勤務が続きます。

一方で、発注者支援業務の勤務地は出張所、つまり国土交通省などの事務所が中心となります。ここから担当する現場へ出向くという形式を取ります。勤務パターンとしては、朝に出張所に出勤し、必要に応じて現場を訪れ、業務が終了すると出張所に戻るという流れです。発注者支援業務の場合、工事監督業務の工期は通常2〜3年が一般的で、たとえば2年間の契約であれば、その期間は同じ出張所に通い続けることになります。

発注者支援業務と民間の勤務時間の違い

発注者支援業務 勤務時間

民間企業では、8時から17時までを一般的な定時としています。多くの場合、朝礼が8時から始まるため、実際の出勤時間は7時半から8時の間になることが多いです。これは土木系と建築系の企業で共通しています。自主的に早く出勤する人もいますが、一般的にはこの時間帯の出勤が多い傾向にあります。終業時間は17時とされているものの、現場の忙しさによって20時まで延長される場合もあります。

発注者支援業務では、定時が8時30分から17時15分までとされています。こちらも、自主的に早く出勤するケースを除けば、8時過ぎに出勤するのが一般的です。終業時間は公式には17時15分となっていますが、実際には19時に終業するのが平均的です。

発注者支援業務と民間の休日・残業の違い

発注者支援業務 休日

休日と残業の面では、民間企業と発注者支援業務にはいくつかの相違点がありますが、労働基準法や36協定の適用はどちらにも共通しています。

休日

民間企業と発注者支援業務の両方で、就業規則上は一般的に「土日祝休み」とされています。ただし、民間企業においては土曜日に休日出勤するケースが珍しくありません。これに対して、発注者支援業務では休日出勤の割合が非常に低いと言えます。ただし、仕事の性質上、完全に休日出勤がないわけではありません。

残業

残業に関しては、民間企業の場合、企業によって大きなバラつきがあります。早く帰れる企業もあれば、遅くまで働く企業も存在します。

一方で、発注者支援業務では、平均的な終業時間が19時となっており、業界全体として残業時間が減少傾向にあるものの、現状では民間企業の方が残業時間が長い傾向にあります。発注者支援業務の発注者が公的機関であるため、勤務ルールがより厳格であり、これが残業時間の少なさに影響していると考えられます。

発注者支援業務と民間で担当する工事の違い

発注者支援業務 工事

民間企業での施工管理業務では、通常は1件の工事のみを担当します。複数の現場を同時に見ることはほとんどなく、毎日同じ現場に出勤し、そこで一日を過ごすことが一般的です。滞在時間は長く、仕事内容には測量、写真撮影、出来形管理、職人との打ち合わせなどが含まれます。このため、現場に深く関与し、細部にわたる管理を行うことが求められます。

施工管理について詳しくはこちらの記事も参考にしてください

一方、発注者支援業務の工事監督者は、一般的に5件から10件の工事を並行して担当します。大規模な工事を除き、1件だけを担当することはほとんどありません。

発注者支援業務では、複数の工事を監督するため、各現場での滞在時間は短く、平均して約1時間から2時間です。主な仕事内容は状況の把握と確認、段階的な検査などです。現場での作業は少なく、そのため滞在時間は短くなります。複数の現場を効率的に管理するためには、このような短時間の滞在が必要です。

発注者支援業務と民間の実際の仕事内容の違い

発注者支援業務 仕事内容

民間企業における施工管理業務では、職人との調整がメイン業務の一つとなります。例えば、鉄筋コンクリートの建物を建造する際には、型枠作りや鉄筋の加工、生コンクリートの流し込みなど、様々な工程があります。これらの工程において、各職人の日程調整や現場の段取りを整えるのが施工管理者の役割です。職人と直接やり取りをし、チームとして共に工事物を作り上げることに大きなやりがいを感じることができます。

一方で、発注者支援業務では、職人と直接接する機会はほとんどありません。この業務では、施工体制での職人の作業チェックは行うものの、直接指示を出したり、詳細なやり取りをしたりすることはありません。国土交通省の「発注者支援業務など説明資料」によると、工事監督支援業務に携わる者は工事受注者に対して指示や承諾を行ってはならず、これらは発注者が行うべきとされています。このため、発注者支援業務においては、主に代理人、管理技術者、主任技術者、元請け業者の職員といった人々と関わることが多いです。

このように、職人との直接的なやり取りがある民間企業の施工管理に比べ、発注者支援業務ではより間接的な役割を担います。職人との直接的な関わりに醍醐味を感じる人にとっては、発注者支援業務は物足りない印象を持つかもしれません。

予算管理の違い

発注者支援業務と民間企業では、予算管理のアプローチにも違いがあります。

民間の建設会社では、特に上層職(例:現場所長や現場代理人)になると、単に「良い物を作る」だけでは不十分です。民間企業は利益を出さなければならず、高品質の工事を行いつつも、赤字にならないようにする必要があります。このため、工事の“実行予算”を組み、予算内でのコストと経費の管理をしつつ利益を追求することが求められます。過去には公共工事における低い落札率が問題となった時期もあり、利益を出すことは困難でした。工事の品質を保ちながら、工期内に終わらせ、かつ利益を出す必要があるため、多くの人がこの仕事を「キツイ」と感じます。

発注者支援業務では、予算や利益管理には基本的に関与しません。発注者支援業務は、工事が仕様書やルールに則って実施されているかを確認することが主な仕事であり、ルール違反があれば、現場の利益や工数に関わらず指摘する義務があります。利益の問題に関与することは、純粋な検査の実施を妨げるため、発注者支援業務ではそういった側面には触れません。このため、民間企業での予算管理業務の負担を感じた人が、発注者支援業務へ転職することがあります。

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