Construction column
発注者支援業務は激務?仕事の流れや残業があるのかを解説します
2022.12.25
国土交通省やNEXCO各社などの発注機関を支援するのが発注者支援業務です。
ただ、発注者支援業務といってもどのような仕事をするのかイメージがしにくいという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、発注者支援業務の1日の仕事の流れや残業がどれくらいあるのかについて解説します。
発注者支援業務の仕事内容について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
発注者支援業務の1日の流れ
ここからは、発注者支援業務の1日の流れについて解説していきます。
発注機関や業務の種類によって仕事の流れが異なるため、今回は国土交通省の工事監督支援業務を例にご紹介します。
国土交通省の就業時間は平日8:30〜17:15となっており、発注者支援業務の勤務形態も発注者と同じです。
発注者支援業務は、現場で行う業務と事務所で行う業務があります。
朝から立会がある場合は、事務所に立ち寄らずに現場へ直行します。ただ、通常は始業前に事務所へ向かい、メールを確認したり打ち合わせをしたりしてから現場へ向かうことが多いです。
現場では、設計図書通りに構造物が施工されているかの確認が主な業務としてあげられます。構造物の出来形検査や品質検査、材料の規格や数量などの確認を行います。
午前中に現場に向かっている場合は昼休みに一度事務所に戻る場合が多いです。午後は立会があれば現場に向かい、立会がなければ事務所で業務を行います。
事務所では、工事請負業者に対して書類を作成したり、工事請負業者から提出された施工計画書などの資料を確認したりします。
設計変更がある場合は、設計変更協議用資料も作成しなければなりません。
また、発注者との打ち合わせや工程会議への出席なども発注者支援業務の仕事の1つです。
発注者支援業務は担当工事をいくつか持つ場合が多いため、午前中にすべて立会を完了させて午後からは事務作業を行うなど工夫次第で業務を円滑に進められるようになります。
ただし、工事によっては夜間に仕事を行うこともあるため、出勤時間が異なる場合もあります。
発注者支援業務に残業はあるのか
発注者支援業務に残業があるのかについては、気になる方も多いのではないでしょうか。
まず、発注者支援業務は発注機関の勤務形態に準拠しています。
たとえば、国土交通省では「建設業働き方改革加速化プログラム」によって働き方改革を進めているため、発注者と同じ立場で仕事をする発注者支援業務も残業は少ない傾向があります。
工事請負業者と比較すると残業が少ないことで、ゼネコンや建設会社から発注者支援業務に転職する方も多いのです。
ただし、繁忙期の場合は工事請負業者と同じように残業がある場合もあります。
発注者支援業務が激務といわれる理由
ここからは、発注者支援業務が激務といわれている理由について解説します。
次の2つの理由から発注者支援業務は激務といわれています。
・短時間で仕事をこなす必要がある
・高いスキルが求められる
それでは、それぞれについて順番にみていきましょう。
短時間で仕事をこなす必要がある
発注者支援業務の仕事の魅力の1つは「残業が少ない」「休みが多い」など、働きやすさがあげられます。ただ、逆にいうと限られた時間に仕事をこなさなければならないということでもあるのです。
発注者支援業務は担当工事が1つだけではありません。担当工事をいくつか持つため、効率よく業務を進める必要があります。
また、発注者と工事請負業者の間に入って仕事をしなければなりません。
工事請負業者からの資料をいつまでに受け取ればいいのか、資料の確認をいつまでに完了させる必要があるのかなど、計画的に業務を進めるのがポイントです。
高いスキルが求められる
発注者支援業務は高いスキルが求められます。そのため、業務を覚えることとスキルの習得することを同時に行う必要があるため「発注者支援業務は忙しい」と感じてしまう方もいるのです。
発注者支援業務は、構造物が設計図書通りに施工されているかを確認するために、出来形検査や品質検査を行います。
「設計図書と異なる」「品質に問題がある」など、発注者支援業務を行う上で正確性が求められるのです。
さらに、意思疎通ができない場合はトラブルが発生する可能性も高まります。
現場の安全面や工程面で支障が生じないように、発注者や工事請負業者などのさまざまな人とコミュニケーションを密にして仕事を進めていく必要があります。
発注者支援業務のデメリット
発注者支援業務には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。ここからは、発注者支援業務のデメリットについて解説していきます。
ものづくりに関われない
発注者支援業務は工事請負業者とは違い、直接ものづくりに関わることはありません。工事請負業者が施工した構造物を検査したり確認したりするのが発注者支援業務の仕事です。
また、発注者支援業務で関わる人は現場代理人や監理技術者などです。そのため、工事に携わる多くの人と関わることはありません。
ゼネコンや建設会社の場合、協力会社や職人と打ち合わせをしたり調整をしたりして、工事を進めるからこそ完成したときの喜びは大きいでしょう。
「チームで一丸となってものづくりをしたい」という方にとっては、発注者業務で達成感を得られない場合もあるといえます。
決定権はない
発注者支援業務は発注者の立場で業務を行いますが、業務において決定権がないのです。
たとえば、工事請負業者からの確認事項については発注者支援業務が指示できないことになっています。
受け取った確認事項は必ず発注者に伝え、発注者の指示通りに工事請負業者に伝える必要があります。
さらに、現場でトラブルが発生した場合でも責任を負う必要はありません。
発注者支援業務は発注者と工事請負業者の間に入って仕事をすることから、決定権がないことに加えて責任を負う必要がないのです。
発注者支援業務のメリット
発注者支援業務には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、発注者支援業務のメリットについて解説していきます。
幅広い知識やスキルが身につく
発注者支援業務では、構造物の出来形や品質が設計図書通りにつくられているかの確認が重要です。また、設計図書以外にもさまざまな法令や標準仕様書を確認する必要があります。
「法令を遵守しているか」「標準仕様書に基づいた施工をしているか」など、工事以外の幅広い知識やスキルが身につけられるのも発注者支援業務の魅力です。
大規模な建設工事に携われる
発注者支援業務では公共工事を担当するため、民間工事では味わえないような大規模な建設工事に携われます。
道路・橋梁・ダム・トンネル・河川・港湾などの土木工事に携わることで、仕事のやりがいにもつながるでしょう。
また、完成後も多くの人々が利用するものが多いため、発注者支援業務は社会貢献度の高い仕事ができるといえます。
仕事とプライベートのバランスが保てる
発注者支援業務の勤務形態は発注機関と同じです。そのため「土日祝が休日」「残業時間が少ない」という点から、仕事とプライベートのバランスが保ちやすいといえます。
ゼネコンや建設会社などの民間企業と比べると、完全週休二日制を採用している場合も多いです。
仕事とプライベートにメリハリをつけたいという方にとっては、発注者支援業務がおすすめです。
まとめ
今回の記事では、発注者支援業務が激務なのかについて解説しました。
高いスキルが求められる中で短時間で仕事をこなさなければならない点から、発注者支援業務は忙しさを感じやすいといわれています。
しかし、経験を積むことで業務を円滑に進められるようになるのも事実です。
残業が少ないことや休日が充実していることなどが発注者支援業務の魅力といわれているように、建設業界の中でも働きやすい環境が整っています。
「建設業界で活躍したいけど、働き方を改善したい」という方は、ぜひ発注者支援業務に挑戦してみてはいかがでしょうか。