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Construction column

建設コラム

詳細設計・工事においてBIM/CIMが原則適用を国土交通省が発表!どのような変化が起こるのか解説します!

2023.6.24

国土交通省は、2023年度から公共工事での詳細設計・工事について、本格的にBIM/CIMの原則適用をスタートさせました。

これによって、発注者支援業務においてもBIM/CIMを利用できることが必要となってくることでしょう。

それでは、詳細設計・工事においてBIM/CIMの原則適用が始まったことで何が変わってくるのでしょうか。

本コラムではBIM/CIMの導入によって、どのような変化が起こるのかを解説します。

BIM/CIMとは

国土交通省が、小規模を除く全ての公共工事においてスタートさせたBIM/CIMの原則適用。

そもそもBIM/CIMとは、どのようなものなのでしょうか。

BIM/CIMは、建設・土木事業における品質の向上や生産性向上を目的としており、BIM/CIMモデルを構築・管理・利活用する取り組み全体のことを指す言葉です。

BIMとCIMは、それぞれどのようなものなのかを解説します。

BIMとは

BIMは「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の略称です。

コンピューター上に作成した3Dモデルを用いて、建設プロジェクトのライフサイクル全般を共有・管理する手法です。

BIMは単なる3D設計ツールではなく、設計から施工、運用・維持管理まで一貫した情報管理を可能にします。

BIMを活用することで、設計図面だけでなく、物件の仕様、コスト、スケジュール、環境性能といった多岐にわたる情報を一元的に管理が可能です。

これにより、設計を変更した際の影響の分析や施工手順のシミュレーションなど、より高度な情報活用が可能となり、設計図における不整合や、施工上の問題点の早期発見や建設コストの削減など効率化が図れます。

またBIMは、建設DX(デジタルフォーメーション)を牽引する重要な技術にもなっています。

BIMを利用することで、さまざまなステークホルダー間での共同作業を助けることができ、高品質な建築物の実現に貢献することが可能です。

CIMとは

CIMは「Construction Information Modeling(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」の略称です。

BIMと同じく設計段階から3Dモデルを共有し、随時新しい情報を追加できるため、施工や維持管理段階において高精度の3Dモデルやデータを利用が可能になります。

日本においてBIMの普及が推進されたことを受けて、国土交通省が2012年に提唱したことがCIMの始まりです。

CIMは建物だけでなく道路、橋、下水道などのインフラ全般を対象としており、土木分野ので活用をメインとしていました。

しかし、2018年5月に国土交通省は、建設分野全体の3D化を指す総称として名称を「BIM / CIM」としました。

これは、国際的には3D化の取り組みとして「BIM」が一般化されていることが理由とされています。

CIMの導入により、プロジェクト全体で効率的な計画や管理を行い、開発後の運用・維持まで見据えた取り組みが可能です。

また、CIMは地理情報システム(GIS)との連携も進められており、実際の地形や土地利用の情報と組み合わせることで、より現実に近い状況をシミュレーションが可能となるでしょう。

これにより、災害リスクの評価や環境影響評価など、都市開発における複雑な問題を解決するための一助となると考えられています。

BIM/CIMの導入で何が変わる?

ここまで、BIMとCIMはどのようなものかを解説しました。

それでは、BIM/CIMが詳細設計・工事において原則適用されることによって、何が変わってくるのでしょうか。

BIM/CIM原則適用によって考えられる2つの変化について解説します。

BIM/CIMで作図された図面は素人でも分かりやすい

これまで、建設の現場で利用されてきたのは2Dの図面でした。

BIM/CIMが導入されることによって大きく変わるのは、図面が2Dから3Dへと変わる点です。

2Dの図面では建物だけでなく、橋、道路についても平面図や側面図、正面図を基に完成物をイメージしなくてはいけませんでした。

このように、2Dの図面を用いて立体をイメージするのは、素人には非常に困難なことだったと言えます。

一方で、BIM/CIMの図面は3Dで作成されるため、専門的な知識がない一般の人にも設計の段階から完成物をイメージしやすくなります。

このように、設計段階から完成図をイメージしやすいため、設計者・施工主・事業者間で情報を共有することも容易にできるのです。

さらに、アニメーション機能などを用いることで施工の手順を確認することもできるため、進行計画を共有することも容易になります。

BIM/CIM導入によって、今までは専門知識を持った人でなければイメージが困難だった完成物を誰でも容易にイメージできるようになるのです。

当事者間で情報の共有や進行計画の手順などをイメージしやすくなることで、設計や管理における仕事の効率化が図れます。

BIM/CIMでの作画はCAD経験者でも難しく感じる

BIM/CIMの導入によって、3Dの図面が作成できるようになり、完成物のイメージがしやすくなることにより、仕事の効率化が図れるメリットが生じます。

その一方で、CADを使って図面作成経験のある人でもBIM/CIMを使用して図面を作成するのは難しいと言います。

その理由は、CADが「線を引く」ようにして図面を作成するのに対し、BIM/CIMは立体パーツもいくつも使って構造物を作り上げていくためです。

例えばCADを使用する場合、イラストを描いていくように図面を作成していくため、ある程度慣れていれば、簡単に図面の作成ができます。

しかしBIM/CIMの場合、使用するツールによって異なりますが、さまざまなパーツが用意されており、それらを組み上げて構造物を作り上げていく作業を行います。

このようにCADとBIM/CIMでは、図面の作成において大きく異なる作業が必要になるのです。

さらに、完成図をイメージする能力(立体把握能力)が必要となってくるため、図面作成経験のある人でもBIM/CIMを使用するのが難しく感じる理由と言えるでしょう。

BIM/CIMの操作は発注者支援業務でも重要になる

公共工事における設計図の作成は、多くの場合、建設コンサルタントが担うことになります。

公共工事でBIM/CIMの原則適用がされたということは、図面の作成にも当然のことながらBIM/CIMを使用しなくてはなりません。

設計図がBIM/CIMで作成されたものであった場合、発注者支援業務においてもBIM/CIMが操作できないと業務が進められなくなります。

例えば、設計変更があった場合、設計変更箇所の図面を修正するのは発注者支援業務を担う人が行わなくてはいけません。

すなわち、BIM/CIMで作成された図面を、BIM/CIMを用いて修正しなくてはいけないということです。

現状として国土交通省は、大型公共工事においてのみBIM/CIMを原則適用しています。

しかし、今後はすべての公共事業においてBIM/CIMを原則適用することが予想されていますので、発注者支援業務を担う人も基本的な操作を学んでおくことが重要です。

まとめ

国土交通省が小規模をのぞく公共工事において、BIM/CIMの原則適用を開始したことにより、今後、BIM/CIMの操作ができることは重要なスキルとなることが予想されます。

今までの図面とは大きく異なり、3Dデータで完成図を作成する能力が必要となるため、公共工事への全面的な導入前に対応できる体制を整えておくことが肝心です。

発注者支援業務に携わる人にとっても、BIM/CIMを操作できる能力が求められるようになりますので、こちらも対応できる体制を整えておくことをおすすめします。

発注者支援業務は、国や都道府県などの自治体や、官公庁などが発注する公共事業の発注業務をサポートする仕事です。

公務員と同じような年間休日や勤務時間など職場環境も整っており、安定的な仕事であることも魅力のひとつでしょう。

興味がある方は、国民の生活を支えるインフラ整備に関われる「発注者支援業務」の仕事に携わってみませんか。

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