【職種別】建設業の一日の流れとは?建設業の労働環境やワークライフバランスを保つポイントも解説
建設業の一日の流れは職種によって異なります。
責任の重い仕事であれば、残業や休日労働が発生することも少なくありません。
今回の記事では、建設業の一日の流れを職種別にご紹介します。
また、建設業の労働環境における課題や解決策、ワークライフバランスを保つポイントについても解説。
建設業への転職を考えているものの、「仕事内容や流れが分からない」、「労働時間が長く、きついのではないか」という悩みをお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 建設業の職種別一日の流れ
- 建設業の労働環境における課題
- 建設業で労働環境の良い仕事につくポイント
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目次
建設業とは
建設業とは、建設工事に携わる仕事の総称です。
建設工事には住宅やマンション建設といった建築工事はもちろんのこと、道路や橋梁、トンネルなどのインフラ設備も含まれます。
人の生活に欠かせない建設物を造ることにより、人々の快適かつ安全な生活を支え、社会の維持と発展に貢献する仕事です。
建設業法においては、建設業は29種類に分類されています。
工事を受注する際には、原則として該当する業種において建設業許可を取得しなければなりません。
建設業の種類については、以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
建設業に見られる職種一覧
建設業と聞くと、まず思い浮かべるのは工事現場で働く「現場監督」や「職人」かもしれません。
しかし、建設業は現場仕事だけではなく、デスクワークの仕事も多くあります。
建設業に見られる主な職種を以下にご紹介します。
建設業の職種とその業務内容については以下の記事でも詳しくご紹介していますので、併せてお読みください。
建設業の主な職種にはどのようなものがある?仕事の内容と特徴も解説
施工管理
施工管理とは、いわゆる「現場監督」です。
工事現場を巡回し、工程通りに施工が進んでいるか、危険な箇所や作業はないか、予算内で工事が進んでいるかといった施工管理を行います。
無資格でも従事できますが、主任技術者や管理技術者といった工事のリーダーになるためには、「施工管理技士」の国家資格が必要です。
責任が重く、心身ともにタフさを求められますが、努力次第でキャリアアップやより大きな工事への参加が可能になる、やりがいのある仕事です。
施工管理技士については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
施工管理技士とは?建設業界で求められる資格と業務内容を解説!
技能職(職人)
技能職(職人)は工事現場で実際に作業に携わる仕事です。
建設物が完成するまでにはさまざまな工程があり、各工程において専門の職人が作業を進めます。
現代日本の建設物は非常に複雑で、技能職も細かく分類されています。
代表的な技能職は以下の通りです。
技能職の種類 | 主な仕事内容 |
大工 | 木造家屋や鉄筋コンクリート造建築物の内装に当たる木造部分を建築する |
土木職人 | ブルドーザーやショベルカーといった重機を操作し、基礎工事や土地造成といった土木工事を行う |
とび職 | 高所作業を行う技能職。鉄骨や足場の組立、重量物の運搬、機械操作などを行う |
左官 | 床や壁の下地塗りや仕上げを行う |
植木・造園職人 | 植樹や剪定を行う。造園職人は石の配置や垣根の設置など、庭や公園づくりや手入れも担当する |
職人になるためには、工業高校や専門学校を卒業後、就職して働きながら技術を習得するケースが一般的です。
大工であれば「建築大工技能士」、とび職であれば「とび技能士」といった資格があり、取得するとさらなるキャリアアップを望めます。
積算業務
積算業務とは、工事に必要な材料費、人件費、光熱費、運送費といった費用を拾い出し、合算して工事に必要な総費用を導き出す仕事です。
積算によって算出された費用をもとに発注の判断や事業計画策定が行われるため、少しの計算ミスが大きな損失につながることもあります。
現場に出ることは少ないため、裏方のように思われますが、建設工事の根幹をなす重要な業務です。
無資格でも従事可能ですが、「建築積算士」、「建築コスト管理士」の資格があるとより有利です。
積算業務については、以下の記事でも詳しくご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
営業
建設業における営業職において最も重要な仕事は、工事の受注を獲得することです。
取り扱う工事が民間工事であるか、公共工事であるかによって仕事内容が多少変わります。
民間工事では、地主や不動産会社と交渉し、物件を建設します。
クライアントを説得するためには、建てられた建設物をどのように運用し、どれほどの利益が出るか調査・プレゼンしなくてはなりません。
高度なマーケティング力と、交渉力が求められる仕事です。
公共工事では基本的に入札によって施工業者が決まります。
参加資格の把握、申請の手続きといった発注に関する深い知識が求められます。
丹念に情報を収集し、着実に発注を進められる正確さと粘り強さも必要です。
事務
他業種の事務と同じく、電話やメールの応対、来客対応、書類の作成や整理などが主な仕事です。
工務店や小規模な建設会社では、少人数で事務仕事全般をこなす場合もあります。
規模の大きい会社では営業や現場をサポートする「営業事務」や「現場事務」が設けられているところもあります。
建設に関係する技術や法律の知識など、一般的な事務より高い専門性が求められることが多いようです。
いずれにせよ、建設業の事務職は縁の下の力持ちとして会社をサポートする重要な仕事です。
建設業の事務職については、以下の記事でもご紹介しています。
建設業の事務ってどんな仕事?働き方や仕事のメリットについて解説
【職種別】建設業の一日の流れ
「建設業は現場仕事が多くきつい」、「労働時間が長い」というイメージを持たれることもありますが、実際はどうでしょうか。
建設業の一日の流れを、上記でご紹介した職種別にご紹介します。
※あくまで一例です。会社やシーズンにより業務内容・業務時間は異なります。
施工管理技士
施工管理技士の一日の流れは以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
7:00 | 出社 |
7:00~8:30 | 朝礼、スケジュール確認、業務引継ぎ |
8:30~12:00 | 現場の巡回 ※写真撮影、進捗確認、作業員への指示出しなどを行う |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~17:30 | 引き続き現場の巡回 ※社内会議やクライアントとの打ち合わせを行う場合もある |
17:30~20:00 | 事務作業 ※書類作成、材料手配、写真整理など |
20:00 | 退社 |
施工管理技士は出勤が早く、退勤が遅い傾向にあります。
現場監督という職務上、打ち合わせや事務処理は施工時間外に行わなくてはならないためです。
技能職
技能職(職人)の一日の流れは以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
8:00 | 出社 |
8:00~9:00 | 朝礼作業前の確認(体調、危険箇所、本日の作業内容など) |
9:00~10:00 | 作業 |
10:00~10:30 | 小休憩 |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~15:00 | 引き続き作業 |
15:00~15:30 | 小休憩 |
15:30~17:30 | 引き続き作業 |
17:30~18:00 | 作業終了※片付けや道具の整理などを行う |
18:00 | 退社 |
技能職は限られた時間の中で安全かつ迅速に作業を進めなければならず、大変な集中力を必要とします。
疲れや集中力の低下から事故が起こる危険性が高いため、昼休憩以外に小休憩が設けられていることが多いようです。
積算業務
積算業務の一日の流れは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
8:00 | 出社 |
8:00~9:00 | 朝礼、メールチェック、ミーティング、打ち合わせなど |
9:00~12:00 | 積算業務 業務例)各業者からのメール対応や打ち合わせ稼働中の現場の打ち合わせ |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~17:00 | 積算業務 業務例)見積依頼の手配書類作成部材の確認 |
17:00 | 退社 |
積算業務はデスクワークが中心ですが、業者との打ち合わせや説明会のために社外に出ることもあります。
細かな計算を繰り返す積算業務に加え、さまざまな業者とのやり取りや書類作成を並行してこなさなくてはなりません。
特に入札期限前には残業をする場合もあります。
営業
営業職の一日の流れは以下の通りです。
先述の通り営業活動は対象となる工事によって異なりますので、その違いにも注目してください。
時間 | 仕事内容 |
8:00 | 出社 |
8:00~9:00 | 朝礼、メールチェック、書類作成など |
9:00~12:00 | 【民間工事対象】地主や顧客を訪問 【公共工事対象】入札公告の確認や閲覧外回り・入札地鎮祭への出席 |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~17:30 | 【民間工事対象】営業資料や見積書の作成現地調査打ち合わせ事務処理 【公共工事対象】官公庁へのあいさつ回り工事の進捗状況など現場視察打ち合わせ事務処理 |
17:30 | 退社 |
民間工事・公共工事を問わず、外回りは必須の業務です。
外回りの合間を縫って書類作成や社内での打ち合わせを行う必要があります。
事務
事務職の一日の流れは以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
8:00 | 出社 |
8:00~9:00 | 朝礼、メールチェック、書類作成など |
9:00~12:00 | 事務処理 業務例)電話対応、メール対応、伝票整理、支払金額のまとめ、備品の確認、人事事務(入退社の手続きなど)、清掃など |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~17:30 | 引き続き事務処理 |
17:30 | 退社 |
事務職は他の部署と比較すると残業時間は短い傾向にあり、全く残業がない企業も少なくありません。
しかし、月末月初は財務状況の整理や決算書の作成といった「月次処理」を行うため、業務量が増えて残業になる可能性があります。
建設業の労働時間は長い?
建設業は労働時間が長く、きつい仕事であると考えられています。
確かに、上記でご紹介した建設業の一日の流れを見ると、出社時間が早く、退社時間が遅い傾向にあるようです。
建設業は本当に労働時間が長いのでしょうか。
国の発表したデータをもとに読み解いていきましょう。
建設業の労働時間は他業種より長い
厚生労働省が発表した「人口構造、労働時間等について」によると、令和4年における産業別年間総実労働時間は以下のようになっています。
※パートタイム労働者を含む
建設業の総実労働時間は「運輸業・郵便業」の次に多く、1,966時間(うち所定外労働時間166時間)です。
また、所定内労働時間は1,800時間と全産業中トップです。
上記のデータにはパートタイム労働者が含まれているため、正社員の労働時間はさらに長くなると考えられます。
建設業の休日数はやや少なめ
建設業の所定内労働時間が長い理由の一つに、休日数の少なさが挙げられます。
国土交通省が作成した「建設業を巡る現状と課題」によると、建設業の休日の取得状況は以下のようになっています。
※調査時点:令和4年1月1日
建設業のうち、4週8休以上の休日が確保できている企業・事業所は全体の10%にも当たりません。
建設業の休日数が少ない要因としては、無理な工期設定が挙げられます。
建設業における工事は、元請は下請へ、下請はさらに下請へ仕事を発注する「重層下請構造」が一般的です。
最下層の下請が利益を上げるためには、工期を短くせざるをえません。
人材不足が深刻化している現状においては、休日数を減らして対処することになるでしょう。
働き方改革により労働環境は改善が見込まれている
上記でご紹介した通り、建設業は他産業と比較して休日数は少なく、労働時間は長い傾向にあります。
労働時間という観点からみると、建設業が「きつい」仕事であるというのは否定できないでしょう。
しかし、建設業でも働き方改革が進められており、2018年には国土交通省によって「建設業働き方改革加速化プログラム」が作成されました。
長時間労働是正の施策として「週休2日制の導入の後押し」と「適正な工期設定の推進」を掲げ、公共工事における週休2日工事の拡大や、「適正な工期設定等のためのガイドライン」の策定といった対策を進めています。
民間においても、人手不足解消のために週休2日制を導入する企業も増えています。
今後、建設業の労働環境は改善の方向に進むと考えられるでしょう。
建設業でワークライフバランスを保つポイント
現在、建設業は官民一体となって働き方改革を進めています。
しかし、いまだ労働環境が改善されていない企業も存在します。
労働環境の良好な建設業に就職し、ワークライフバランスを保った働き方を実現するためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
以下に詳しくご紹介します。
働き方改革やDX化が進んでいる企業に転職する
まずは希望する企業が働き方改革やDX化に力を入れているかどうかを確認しましょう。
企業のホームページや会社紹介資料をチェックするのが一番の近道です。
また、企業情報誌のひとつである「就職四季報」には、残業状況や有給休暇取得の状況、3年後の新卒定着率といった情報が企業別に掲載されており、労働環境の良し悪しを推し量れます。
労働環境の良いホワイト企業の探し方については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
施工管理の離職率は?離職する要因や離職率が低い職場の特徴・探し方も紹介
技術系公務員に転職する
技術系公務員とは、理系の専門職に従事する公務員です。
建設関係では建築土木公務員が該当します。
建築土木公務員が担当する公共工事は、建設業の働き方改革のロールモデルとされ、適切な工期設定や週休2日制が導入されるケースが多くみられます。
安定した地位と収入を確保しながら、ワークライフバランスを取れる点が技術系公務員の魅力です。
技術系(土木)公務員の仕事内容やメリットについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
土木公務員は勝ち組なのか?土木公務員のメリットと公務員以外のおすすめ業種をご紹介
発注者支援業務に転職する
発注者支援業務とは、公共工事の発注者である公務員をサポートして、工事積算や工事検査といった業務を行う仕事です。
公務員ではありませんが、発注者とともに国や地方自治体などの事務所で働くため、労働時間は公務員に準じます。
年功序列制が色濃く残る公務員とは異なり、努力次第でキャリアアップできる点が発注者支援業務のメリットです。
発注者支援業務の詳細が気になる場合は、以下の記事もチェックしてみましょう。
発注者支援業務のメリットは?働く上での重要ポイントもまとめました!
まとめ|建設業への転職に興味を持ったらMACにご相談ください
建設業の一日の流れや、労働時間について解説しました。
建設業はきついと言われますが、積算や事務職のようなデスクワークであれば、肉体労働が苦手な人でもこなせるでしょう。
しかし、人手不足や無理な工期設定のために休日数が少なく、労働時間が長い傾向にある点は否定できません。
建設業でワークライフバランスを保つためには、働き方改革を積極的に進めている企業を選ぶことが重要です。
また、技術系公務員や発注者支援業務であれば、週休2日制で働ける可能性が高いでしょう。
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