工事監督支援業務はどんな仕事をするの?発注者支援業務でも重要なポジション|現場とデスクワークのどちらが多いのか?
- 発注者支援業務
皆さんは工事監督支援業務という言葉を聞いたことはありますか?
聞いたことはあるけど、実際の仕事内容まではあまり知らない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、工事監督支援業務の具体的な仕事内容や、どのようなスキルや資格が必要なのかをご紹介します。
新たなスキルを身に付けたい、キャリアアップしたい方には見ごたえのある内容となってますのでぜひ最後までご覧ください
目次
工事監督支援業務とは
工事監督支援業務は、工事発注者である国土交通省が品質の高い工事物を完成させるために発注者と施工業者の間に入って工事の調整・支援を行う業務です。
工事監督支援業務は、発注者支援業務のメインともいえる仕事で、「品質」「工程」「安全」「原価」などの主要項目を官公庁の職員に代わって確認していきます。
工事監督支援業務の具体的な仕事内容
それでは工事監督支援業務の具体的な仕事内容をみていきましょう。こちらの内容は国土交通省の「発注者支援業務(工事監督支援業務・積算資料作成業務)の概要」の資料を基に記載しています。
請負工事の契約履行に必要な資料作成
・設計図に基づいて、工事受注者への指示・協議に必要な資料の作成
・工事受注者から提出された資料と設計図書との照合および報告
・現地調査に関する資料作成
請負工事の施工状況の照合
・支給された材料を含んだ使用材料についての設計図書との照合
・施工状況と設計図書との照合
・設計図書と適合しない場合の報告
地元関係機関との協議・調整に必要な資料の作成
・工事予定地である地元関係機関との協議・調整に必要な測量・調査・資料の作成
工事現場への訪問
・調査職員の指示に従い、工事監督職員のもと、中間技術検査・技術検査を伴う既済部分検査・完成検査などをする際には工事現場に訪問し立ち会う。
・最低週に1回のペースで現場の安全確認・施工状況の確認および把握を行い報告。災害発生時、またはそれが予想される場合には情報の収集を行う。
参照:国土交通省「発注者支援業務(工事監督支援業務・積算資料作成業務)の概要
工事監督支援という言葉だけだと、現場へ出向くイメージが強いかと思われますが、実際は資料作成などのデスクワークも多いようです。
構造物作成に必要な材料の個数や規格の確認、完成後は施工図書とズレがないか、品質に問題はないかなど、工事の着工から引き渡しまでの全行程を支援するのが工事監督支援業務の役割です。
工事監督支援業務にはどんなスキルが必要?
では、工事監督支援業務をするに当たってどんなスキルが求められるのかをみていきましょう。
正確性
建設工事の基本として、設計図通りに構造物を作成しなければなりません。見た目はもちろんですが、内部構造などの細かい部分も1㎜もズレが生じることなく仕上げる必要があります。
工事の規模が大きければ大きいほど、一度ズレが生じてしまうとそう簡単に修正はできません。着工から完成まで、こと細かく確認し、正確に作業するスキルが求められます。
柔軟性
正確性と同じくらい柔軟性も求められます。工事を計画通りに進める必要がある一方で、悪天候が続いてしまい作業の進行に遅れが生じた場合や、周辺住民からのクレームを受けた場合、作業員が体調不良で人手不足になってしまった場合など。
工事現場には予測していなかった事が起こることが多々あります。そのような事態にも柔軟性をもって対応できるスキルが求められます。
CADソフトの使用経験
建設現場で使われる設計図のほとんどがCADソフトで作成されています。土地の調査・クライアントとの協議の結果修正が必要になった場合は自分で修正図案を作成しなければいけません。
設計士やオペレーターが操作する場合もありますが、上記の仕事内容で紹介したように、工事監督支援業務には資料作成業務も多く存在します。
CADソフトの使用経験があることで仕事がスムーズにできる可能性が高まりますので、まだ使用経験がない方も今から少しずつソフトに慣れておくのが良いでしょう。
コミュニケーション能力
工事監督支援業務は発注者と施工業者の間に入って業務を行うので、両者の考えを理解・検討する必要があります。
また、工事監督支援業務を行っている人が直接、作業員の方へ指示することはできません。工事に不備が生じたり、現場の環境改善が必要だったりする場合には一度発注者へ報告しなければなりません。その報告を元に発注者が施工業者へ指示を行うという流れになっています。
しかし、常日頃から発注者・施工状況と交流をし信頼関係を築いておくことで、工事もスムーズに進むことがありますので、そのような面からコミュニケーション能力があるに越したことはありません。
発注者支援業務の職に就くためには
冒頭で説明したように、工事監督支援業務は発注者支援業務の中の仕事の一種です。それでは、発注者支援業務の職に就くにはどうしたら良いのかを説明していきます。
発注者支援業務ではほとんどが土木関連の仕事を扱うことになるので、その際に必要な資格をご紹介します。
土木施工管理技士
発注者支援業務といえばこの資格、と既にご存じの方も多いのではないでしょうか。土木施工管理技士は、施工技師管理士国家資格の1つです。
工事現場で「主任技術者」または「監理技術者」になるためにも必要な資格で1級と2級があります。
特に1級土木施工管理技士の資格は取得することでより仕事の幅が広がり、大規模プロジェクトに関わる機会も豊富です。
特にこの建設業界に入りたての方や、長く建設業界に関わっていきたいと思っている方はぜひ取得しておくことをお薦めします。
参考コラム:土木管理技士1級は転職活動に有利?資格を活かして収入アップを狙おう
技術士・技術士補
技術士は、計画・調査・設計などの技術力を証明する称号と言われており、科学技術分野で最高位の国家資格とされています。
技術士の資格は1次試験と2次試験両方に合格することで得られる資格で、1次試験に合格すると「技術士補」、2次試験に合格すると「技術士」の資格が与えられます。
2次試験の受験資格には「技術士補」としての一定期間の実務経験が必要ですので、なるべく早い段階で1次試験を受けておくことが望ましいです。
RCCM
RCCMとは「Registered Civil Engineering Consulting Manager」の略で、建設コンサルタント業務に関わる管理技術者・責任技術者の育成と技術力を的確に評価することを目的とした民間資格です。
この資格を持っていることで将来的には発注者支援業務に限らず、建設コンサルタントの仕事に就くこともできるので、興味がある人はぜひ取得を目指してみてはいかがでしょうか。
受験には最終学歴によって5〜10年ほどの実務経験が必要ですので、一度確認してみてくださいね。
どの資格にもある程度の実務経験が問われるのですぐに取得できるものではありませんが、持っておくと将来活躍の場を広げてくれる資格でもあります。
特に工事監督支援業務を希望するのであれば「土木施工管理技士」の資格は持っておくべきでしょう。
参考コラム:RCCMってどんな仕事?仕事内容や資格について解説
まとめ
いかがでしたでしょうか?工事監督支援業務という言葉は知らなかったけど、発注者支援業務という言葉にはなじみがあったという方は多いのではないでしょうか。
工事監督支援業務は責任感が問われることの多い仕事ですが、その分達成感や充実感を味わえる仕事でもあります。
工事監督支援業務の仕事を目指すことで、今よりも大規模なプロジェクトに関われるチャンスも増えますので興味がある人はぜひ今から実務を積んで次のステップへとつなげていきましょう。