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建設コラム

令和6年改正!施工管理技士受験資格の最新情報

2023.10.13

施工管理

施工管理技士は、建設業界での重要な役割を果たしています。その資格を得るための試験は、専門知識と技術を持ったプロフェッショナルを確実に選別するためのものです。近年、この試験の受験資格に関して大きな変動と改正が行われており、これにより多くの受験生や業界関係者の注目を集めています。令和6年の改正についての詳細をこの記事で詳しく解説していきます。

施工管理技士とは?

「施工管理技士」とは、建設業法に基づいて認定される国家資格で、その主な役割は建設工事の進捗を計画通り、安全かつ品質を保ちつつ、予算内で進めることを管理・監督することです。具体的には、工程、原価、安全、品質の四大管理が中心タスクです。資格は1級と2級に分けられ、1級は特定建設業の監理技術者としての役職や、更に高度な専任技術者としての役職に就けるため、取得難易度が高いとされています。一方、2級は一般建設業の主任技術者や専任技術者として活躍するための資格です。

施工管理技士の種類

施工管理技士は7種類に分かれ、それぞれが特定の建設分野に関する資格を持っています。

令和6年の施工管理技士試験受験資格の改正点

引用元:国土交通省(令和6年度以降の技術検定制度概要)

令和6年に実施される施工管理技士試験の受験資格改正は、多くの受験生や現場で働く専門家に影響を与えるものとなるでしょう。具体的な変更点としては、以下にご説明します。

1級施工管理技士

新しい施工管理技士の第一次検定資格要件では、「年度末時点で19歳以上」という年齢のみが要件とされており、これは現行制度と比較して大幅な変更です。現行制度では、2級資格を持たない者が第一次検定を受験するには実務経験が求められますが、新制度ではこの要件がなくなります。また、工学の知識を持つ高度な専門教育機関の卒業生や学士号取得者は、第一次検定の一部が免除される可能性があります。

第二次検定の新しい資格要件では、1級および2級の受験者に以下の実務経験が求められます。

・1級1次検定に合格した場合、実務経験5年以上、特定の実務経験を1年以上含む実務経験3年以上、また監理技術者補佐の経験が1年以上必要です。

・2級2次検定に合格し、1級1次検定も合格している場合は、実務経験5年以上及び特定の実務経験を1年以上含む実務経験3年以上が必要です。

これにより、特定の専門経験を重視する形に変更されています。

2級施工管理技士

第一次検定の受験資格には、「17歳以上(年度末時点)」という現行制度と同じ年齢要件が維持されています。しかし、新たな規定として、高度な専門教育を受け、施工技術の基礎となる工学の知識を有する学校卒業者や学士号取得者には、1次検定の一部が免除されることになっています。

第二次検定における新しい要件では、2級1次検定に合格した後、一般の実務経験が3年以上必要ですが、建設機械種目では2年以上の実務経験が求められます。また、1級1次検定に合格した場合、追加の実務経験は1年以上必要です。この新制度は、以前の「卒業後〇年以上の実務経験」から、「1次検定合格後に3年以上の実務経験」へと変更されており、より厳格な基準が設けられていると言えます。

改正前と改正後の受験資格の比較

引用元:国土交通省(令和6年度以降の技術検定制度概要)

新しい制度では、19歳以上であれば、実務経験を積むことで、1級の施工管理技士資格を直接目指すことが可能になりました。これにより、2級資格を取得するメリットは減少し、特に実務経験がある場合、直接1級の資格を目指すことが効率的となるかもしれません。ただし、試験の難易度は1級が高いため、基本的には2級から始めるのが一般的ですが、実務経験と知識が既にある者にとっては、1級からの挑戦も選択肢になり得ます。

受検資格の追加要件と、試験の免除制度について

引用元:国土交通省(令和6年度以降の技術検定制度概要)

基本的な受検資格は先ほど述べた通りですが、それ以外の追加的受検資格や試験免除の対象になる場合もありますので確認しておきましょう。

1級施工管理技士の第二次検定

1級施工管理技士の第二次検定において、特定の資格を持ち、一定の実務経験がある者は、追加的な受検資格が認められます。具体的には下記をご覧ください。

  • 土木種目:技術士第二次試験(建設部門、上下水道部門等)に合格し、実務経験が5年以上(特定実務経験1年を含む3年以上も可能)。
  • 建築種目:1級建築士試験に合格し、実務経験が5年以上(特定実務経験1年を含む3年以上も可能)。
  • 電気種目:第1種電気工事士試験に合格し、実務経験が5年以上(特定実務経験1年を含む3年以上も可能)。ただし、これらの条件を満たしても、1級施工管理技士の第一次検定には別途合格している必要があります。

これにより、これらの資格を既に持っている専門家は、施工管理技士資格の取得において、追加のルートを利用できることになります。

2級施工管理技士の第二次検定

2級施工管理技士の第二次検定における追加的な受検資格は以下の通りです:

  • 建設機械種目: 建設機械操作施工の経験が6年以上必要ですが、2級1次検定には別途合格する必要があります。
  • 土木、建築、電気、電気通信種目: 技術士第二次試験、1級建築士試験、電気工事士試験、電気主任技術者試験、電気通信主任技術者試験いずれかに合格し、実務経験が1年以上。ただし、1級または2級の第一次検定には別途合格している必要があります。

資格者の2次検定の受検資格(実務経験)は緩和され、特定の資格を持つ者や一定の実務経験を持つ者には新たな道が開かれました。しかし、従来の受検資格も一定期間は有効で、以下の経過措置が設けられています:

  • 令和10年度までは、改正前の受検資格で2次検定の受験が可能です。
  • 令和6年度から10年度に有効な2次検定受検票を受け取った者は、令和11年度以降も受検できます(1次検定不合格者は除く)。
  • 旧2級試験合格者は、合格年度を含む12年以内に限り、2回まで旧資格要件で2次検定を受検可能です。

これらの措置により、資格取得への移行期間中でも、受検者には柔軟な選択肢が提供されています。

1次検定の一部の問題の免除制度

新設される1次検定の一部免除制度では、高度な専門教育を受け、工学の基礎知識を有する者を対象に、1次検定の工学基礎に関わる部分の免除が行われます。この制度は、特定の教育課程を修了した者や学士の学位を取得した者が対象となります。

  1. 大学の土木工学または建築学の専門課程を卒業した者(学位授与機構による学士の学位認定を受けた者や大学院に飛び入学した者を含む)は、1級及び2級の土木種目または建築種目の1次検定で、工学基礎に関する問題が免除されます。
  2. 短期大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の土木工学または建築学の専門課程を卒業した者は、2級の土木種目または建築種目の1次検定で、工学基礎に関する問題が免除されます。

この免除制度は、令和6年度以降に該当する教育機関に入学した者、または学位を取得した者に限り適用され、令和11年度以降の検定から施行されます。この制度により、対象者は1次検定を受ける際に、特定の分野における基礎的な問題を解く必要がなくなります。

施工管理技士取得のメリット・デメリット

施工管理技士の資格取得には以下の3つの主要なメリットとデメリットがあります。

<メリット>

専任技術者・監理技術者になれる

級資格を持つ者は、特定建設業の専任技術者や一般建設業の主任技術者、監理技術者になれます。2級資格では、一般建設業の専任技術者や主任技術者になる道が開かれます。これにより、より高い責任と専門性を要する職務を任され、キャリアの幅が広がります。

年収アップが見込める

施工管理技士の資格は経営事項審査で加点され、企業の技術力評価に寄与します。そのため、資格保持者は企業の収益増に直結し、これが昇給につながる可能性があります。

転職に有利

施工管理技士の資格は建設現場での重要な役割を担い、有資格者の存在は企業の評価向上に寄与します。また、指揮官としてのスキルが求められるため、コミュニケーション能力やリーダーシップを評価され、転職市場での競争力が高まります。

<デメリット>

激務になりがち

工期内のプロジェクト完了を目指すため、天候などの不可抗力による遅延が生じると、残業や休日出勤が増え、職務が非常に厳しくなることがあります。特に下請けの立場にあると、作業量がさらに増える可能性があります。

体育会系の文化

建築業界は伝統的な慣習が根強く、体育会系のノリが強いところが多いです。そのため、こうした文化に馴染めない人には厳しい環境となることがあります。また、パワハラを含む過酷な人間関係が存在する場合もあります。

休日が少ない

建築業界全般において、休日が少なく、残業が多い傾向にあります。特に、天候に左右されやすい外仕事では、計画的な休みが取りにくいこともあり、ワークライフバランスの維持が難しい職種です。

これらの点を踏まえ、施工管理技士の資格取得は、多くのメリットを提供する一方で、そのプロセスと維持にはいくつかの挑戦が伴います。個々の目標や業界での役割によって、この資格が適しているかどうかを検討することが重要です。

まとめ

施工管理技士試験の大きな改正点として、19歳以上であれば、実務経験がなくても1級1次検定を受験できるようになったことが挙げられます。これにより、実務経験を積む前に技士補としての資格を取得でき、その資格を活かして実際の現場での経験を積むことが可能となりました。これは、キャリア形成の柔軟性を高め、より幅広い機会を新たな技術者に提供する画期的なステップと言えるでしょう。

施工管理の仕事にご興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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