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Construction column

建設コラム

建設業の労働時間や賃金を全産業と比較。統計データをもとに解説します

2023.6.13

建設業に携わる人あるいは、今後建設業に転職を考えている人にとって、賃金や労働環境は気になるポイントになると思います。

特に、他の産業と比較してどのような傾向なのか、業界全体として今後はどのような取り組みをしていくのか、という観点で知ることは大切です。


今回は、厚生労働省や国土交通省が発表している統計データを元に、建設業の賃金や労働時間の動向をまとめましたので、解説します。

建設業の賃金を全産業や製造業と比較

建設業及び製造業や全産業平均の年間賃金では、全産業が微増しているのに対して、建設業は上昇傾向となっています。


全世界で、もっともコロナ禍の影響を受けた2020年に一旦落ち込むものの、その後は順調に回復しており、その伸びは全産業と差をつけることになりました。


出典:厚生労働省:毎月勤労統計調査及び賞与を元に作成

建設業の年齢階層別の賃金水準の推移

国土交通省は、賃金ピークから業界を分析しています(2017年・単位は千円)。

建設業及び製造業の男性・生産労働者に絞ったデータになりますが、
製造業の賃金ピークが50~54歳に対して、建設業では40代前半でピークの水準に到達しており、45~49歳で賃金ピークを迎えています。


これを現場の管理、後進の指導などのスキルが評価されていない可能性があると指摘しています。


出典:国土交通省/建設業における賃金等の状況について

建設業の労働時間の傾向とは?

建設業と他の産業と比較すると、まだまだ長時間労働であり、特に全産業とでは、年間で328.9時間の差があります。日数にするならば、約40日(1日8時間労働として)の差です。

但し、建設業単体では、年間労働時間は2018年以降毎年短縮されており、労働環境は改善傾向にあるといえます。


出典:厚生労働省:毎月勤労統計調査及び賞与を元に作成

建設業における働き方改革

2024年4月にはいよいよ建設業における働き方改革関連法が適用開始します。
先ほどの賃金ピークで話題になった管理方法の改善や労働時間への是正にフォーカスを当てて、働き方改革の具体策をみていきます。


参考コラム:建設業は、もっと働きやすくなる!時間外残業規制や国土交通省の取組を解説

週休二日の取得

国土交通省では、「働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト」を立ち上げています。
工期設定に際し、歩掛かり毎の標準的な作業日数や、標準的な作業手順を自動で算出する「工期設定支援システム」を提供しています。
また、直轄工事においては、週休2日を確保できるように工期設定をし、経費補正を実施する試みです。


出典:働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト

労働時間の管理

労働時間の記録などは、客観的な情報を用いて管理することが義務付けられています。現場からの直帰などといったやむを得ない場合のみ、自己申告制が認められます。
2024年4月より、建設業においても罰則付きの時間外労働規制が適用されます。

ICT建機の採用による生産性向上

建設現場において一人ひとりの生産性を向上させて、企業の経営換気用の改善とともに、安全性の確保を推進するため、ICT建設機械を積極的に導入していきます。
国土交通省では、土工へのICTの全面的な活用に向けて、産学官関係者によるICT導入協議会を設置するなど取り進めています。


出典:ICTの全面的な活用

建設キャリアアップシステム加入への推進

「建設キャリアアップシステム」は、技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。
技能者ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげる目的があります。
業界全体で技能者を育成をし、伸びていけるような環境づくりを行うことで、若い世代の人たちが安心して働き続けられる建設業界を目指しています。


出典:建設キャリアアップシステム

社会保険への加入を推進

建設業法の改正により2020年より建設業許可を取得するためには、社会保険への加入が実質的に義務化されています。
各建設業団体では、社会保険加入促進計画を策定し、主体的に対策を進めています。


出典:国土交通省/社会保険加入について

まとめ

今回は、厚生労働省や国土交通省が発表している統計調査を元に、建設業の労働時間や賃金動向をまとめ解説しました。

全産業の中でも賃金は高いものの、労働時間は改善されつつも長時間といえる建設業。しかし、国の機関や全建設業団体の施策によって、改善に向けてさまざまな試みが始まっています。



今後、建設業への就職を検討されている人は、国の機関とともに常に新たな取り組みを試みている業界であることを意識し、自分に合った仕事を探してみてはいかがでしょうか?


株式会社エムエーシーでは、発注者支援業務として、国土交通省やNEXCO、都道府県の公共事業の建設業務を全国で展開しています。
少しでも、ご興味がある方は、ぜひご検討してみてください。


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