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Construction column

建設コラム

用地補償総合技術業務ってどんな仕事?

2023.3.23

近年、都市開発や地域復興を目指して新しく商業施設などを建てる動きが全国的に広がっています。それと同時に、その土地の確保や開発に伴い、地元住民や所有者に対しても適正に補償をすることが求められています。

このような土地を取得する際に必要な全般の業務を扱うのが「用地補償総合技術業務」です。

この記事では、用地補償総合技術業務の実際の業務内容や必要なスキル・資格などについてご紹介します。

用地補償総合技術業務とは?

用地補償総合技術業務とは、公共事業や企業の施設建設に必要な土地を取得する際に土地の評価・交渉・調査・分析など用地補償に関する専門的なことを扱う業務です。

この業務によって早期的に用地取得ができることを目的としています。

用地補償総合技術業務ではどんな業務をするの?

ここでは用地補償総合技術業務の具体的な業務についてみていきましょう。

用地補償総合技術業務では以下のようなことを行います。

内容については関東地方整備局 用地部 用地企画課「令和3年度 用地補償総合技術業務等について」の情報をもとに記載しています。

①概況ヒアリング・現地調査

工事対象エリアの状況・留意事項・その他の必要事項を調査・把握する。

②関係権利者の特定と補償額算定書の照合

権利者の特定および補償内容の照合を行い、補償金明細表を作成する。

③補償額算定書の照合

立ち退きを依頼する場合の補償額算定書の照合を行う。

④補償金明細書の作成

・動産移転料

住居や家財、庭木などの全ての者の移転費をカバーするための補償金

いわば引っ越し費用のようなもの

・借家人補償金

現在の住居家賃と転居先の家賃に差額が発生した場合に充当してもうらうことを目的とした補償金

・移転雑費

移転先の物件を探すための費用・契約時に発生する費用・移転のために休業が発生した場合の費用をカバーするための補償金

⑤公共用地交渉方針の策定および公共用地交渉用の資料作成

現地の現況などを正確に踏まえた交渉方針を策定するとともに、権利者ごとに適正な公共用地交渉用資料を作成し、調査職員との協議を行う。

⑥権利者に対する公共用地交渉

権利者と面接を行い、調書・損失補償協議書・補償契約書案の説明および契約の承諾を受けるよう交渉を行う。

この時点で相続権利放棄があった場合には、それを確認できる書面を取得する。

⑦公共用地交渉後の措置

公共用地交渉ごとに交渉記録簿を作成し、権利者の理解または交渉が困難となる要因などが確認された場合には調査職員へ報告する。

⑧移転履行状況などの確認後の措置

契約が締結された権利者について、義務履行が適切に行われるよう、履行状況を確認しやむを得ず履行の遅延がされた時にはその説明を行う。

⑨その他

権利者から移転に伴い必要となる情報提供の依頼があった場合には必要な調査を行い、適正に情報提供を行う。 業務を実施した場合には、用地補償総合技術業務日報を作成し、 業務が完了した場合には、権利者ごとの交渉経緯・交渉状況を記載した交渉達成状況引継書を作成する。

用地補償総合技術業務ではどんなスキルが求められる?

上記で紹介したように、用地補償総合技術業務には細かい作業が多く発生します。そのため、下記のようなスキルが求められる場面が多いです。

正確性

現地調査の内容や、権利者に対する補償金明細書の作成などは1部でも間違えてしまうと後の作業にも影響を与えかねません。それゆえに、1つ1つの業務に対しての正確性が求められます。

迅速性

早い段階での土地確保はもちろんですが、土地の権利者側からしても交渉の時間が経てばたつほど疲れてしまいます。両者のためにも迅速に交渉を進めるスキルが求められます。

中立性

土地の確保や会社の利益ばかりに焦点を置いてしまうと、権利者からクレームが出てしまうことも。権利者側の事情や考えも踏まえながら、あくまで中立的な立場で交渉を行う必要があります。

責任感

これはどの仕事においても当てはまる項目かと思いますが、用地補償総合技術業務は単なる売買ではありません。権利者は別の土地への移動が必要ですし、土地の確保ができるかできないかで、その土地を利用した事業にも関わってきます。

新しい事業を始めるための初期段階の業務ですので、責任感は一段と問われることでしょう。

用地補償総合技術業務をする際に資格はいらない?

では、用地補償総合技術業務をする際に資格はいるのか?という疑問ですが、結果として「補償業務管理士」という資格を求められることがほとんどです。

この資格は公共事業を施工する際に生じる土地の取得や建物などの移転に対して、国や地方公共団体などが支払う補償に関する業務を扱うために、社団法人「日本補償コンサルタント協会」が付与を始めました。

実は、この資格ができるまでは用地業務に携わっている人に対しての資格制度がありませんでした。しかし、年々用地補償総合技術業務の需要が高まっていることから、平成3年に「補償業務管理士資格制度」を発足しました。この資格制度の導入によって下記のような効果も期待できるのでは、と国土交通省からも注目を浴びています。

優秀な人材の育成

用地補償総合技術業務は緻密なやりとりが多く、コミュニケーション能力などを求められることも多々あります。しかし、そのような難易度の高い業務にも挑戦したいという若い世代を確保するためにも、この資格制度による優秀な人材の育成を狙っています。

若い世代への可能性を拡大

登録規定においては、登録部門の専任の補償業務管理者になるためには7年以上の実務経験が求められます。しかし実際には7年以上の実務経験を持っている人は少なく、若い職員がいないのが現状です。

そのため、この資格制度によって若い世代でも補償業務管理者として活躍できる場が広がることを期待しています。

なお、資格取得の流れは以下のようになります。

参照:日本補償コンサルタント協会

発注者支援業務からはじめてみよう

ここまで用地補償総合技術業務の説明をさせて頂きました。用地補償総合技術業務はこれから新しく建物を建てようとする土地の調査・分析・交渉など一番最初の段階をサポートする仕事です。自分が携わった土地に新しい建物ができると思うとわくわくしますよね。

この用地補償総合技術業務は発注者支援業務の1つになるので、この記事を読んで「用地補償総合技術業務」の仕事に興味が湧いてきた!という方はぜひ発注者支援業務からはじめてみてください。

発注者支援業務に就くためには、国家資格である「土木施工管理技士」の資格が必要となります。この資格は土木建設業界において度々重宝されるので、持っていることで自分の活躍の場を広げることができます。

既に別の発注者支援業務に携わっている、という方は「補償業務管理士」資格取得のための研修への参加から始めてみてはいかがでしょうか。研修に参加することでどんな仕事内容なのかがさらに理解できるかと思います。

まとめ

いかがでしたか?今回は用地補償総合技術業務について紹介させて頂きました。現在は都心部に限らず土地開発に取り組んでいる地域が増えてきているため、今後ますます需要が高まってくることでしょう。

現在は資格制度によって若い世代も活躍できる可能性が広がっていますので、ぜひ今後のキャリアアップにつなげてくださいね。

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