Construction column
BIMオペレーターの年収は?仕事内容や将来性も含めて解説します
2024.1.27
BIMオペレーターは、国土交通省が建設業界に対し、積極的な導入を推進しているBIMを操作できる職業です。
BIMは、導入したい・学びたいと希望しても、予算や時間も要すため、BIMを操作できるオペレーターは需要が高い存在です。
この記事では、BIMオペレーターの仕事内容や将来性について解説します。
目次
BIMとは?
BIM(Building Information Modeling)とは、設計図面から3次元デジタルモデルを用いて設計する手法です。
設計だけではなく意匠設計や竣工後の維持管理まで、一貫して分析できる機能も、BIMは持っています。
BIMのイニシャルコストやランニングコストは決して安価ではありませんが、導入メリットは複数あります。
「業務効率化と生産性の向上」「出戻りなどのトラブルを未然に防げる」「設計や現場の職人など担当を横断した情報共有が可能」「コスト削減」が代表的です。
BIMを導入すると、非常に魅力的なメリットが得られます。
BIMには、ソフトの種類が複数展開されており、ソフトにより意匠設計に強いなど、特徴があります。
代表的なBIMソフトはこの通りです。
・Archicad
設計・構造・設備に対応している。レイヤー機能があるため、CADを使っている人にはなじみやすい。
・GLOOBE
日本製のBIMソフトで、日本の建築基準法に則った計算や確認申請など対応できる。
・Autodesk Revit
設計・構造・設備・施工に対応しているため、建築プロジェクト全体を管理し効率化できる。
・Vectorworks
CAD機能も充実しており、操作性や意匠のしやすさが特徴的。
BIMオペレーターの仕事内容と求められるスキル
BIMオペレーターの仕事内容は、BIMソフトへ情報を入力し、三次元デジタルモデルを作成したり、修正が発生したら、修正内容をBIMに反映させたりすることです。
設計士などの指示を受け、実行します。
CADオペレーターとの違いは、二次元ではなく三次元でモデリングを行うことや、部材のコストや強度をはじめ、多岐にわたる要素のBIMソフトへの入力業務が挙げられます。
複雑かつ広範囲な知識や作業が求められるBIMオペレーターには「BIMソフトを操作できる知識と経験」や「コミュニケーション能力の高さ」が望まれます。
BIMオペレーターには、BIM自体の知識やBIMを操作できる実務経験や理解度が必要です。
未経験の場合は、BIMソフトのメーカーが開催している講習会への参加や、スクールなどで知識と技術を手に入れられます。
BIMオペレーターは、設計士などとのやり取りも発生するため、単なるパソコン入力作業ではありません。
聞く力や、質問をして建築プロジェクトに関わろうとする姿勢も重要です。
BIMオペレーターの年収と給与UPのポイント
専門的な知識と経験が求められるBIMオペレーターの年収と収入を上げるポイントをいくつか紹介します。
平均的なBIMオペレーターの年収
BIMオペレーターの平均的な年収は、330万円から400万円くらいと言われています。時給に換算すると、1,700円から2,000円ほどです。
・1,700円×8時間×20日=272,000円(月収)
・272,000円×12カ月=3,264,000円(年収)
BIMオペレーターの給与は、一般的にCADオペレーターよりも高い傾向がありますが、給与はさまざまな要件に応じ変動します。
・業務内容
BIMオペレーターとして、任せられる業務の幅や量が広く、大きくなると給与は高くなります。例えば、設計助手としての意味合いが強く、一歩踏み込んだ仕事が発生するケースが挙げられます。
・勤務地域
就職先の地域によっても、収入は変わります。一般的に、勤務先が首都圏や関西、東海地方の場合は、他の地域と比較して、給与が高くなります。
・実務経験
BIMオペレーターとしての実務経験、知識や技術の習熟度も収入には加味されます。未経験者では育成コストが必要なため、採用が難しい場合でも、知識があり実際に動かした経験があると、給与に反映されます。
給与をアップさせるポイント
BIMオペレーターは需要が高く、また、建設業界では人手不足が叫ばれていますが、最初から給与は高くありません。BIMオペレーターが給与をアップさせるには、給与を上げる要因の積み上げが大切です。
・BIMに関連する資格を取得する
・専門性の高い知識と実務経験を積む
BIMに関する資格を取得すると、資格手当として反映される企業もあります。
資格取得は、知識の証明でもあるため、年収アップを目指して転職する際も、有効に働きます。
BIMに関連する資格は複数あり、BIMソフトウェアメーカーの認定資格として「Autodesk Revit Architectureユーザ試験」や「Graphisoft Archicad認定試験」があります。
また、一般社団法人日本BIM協会「BIM資格認定試験」や一般社団法人コンピュータ教育振興協会「BIM利用技術者試験」など、一般社団法人主催の試験も開催されています。
そして、実直に専門性の高い知識と実務経験を積む作業も、収入アップには重要です。
作業スピードや正確性、BIMの最新動向の把握をはじめ、専門性の向上は、給与にダイレクトでアプローチできます。
BIMオペレーターになりたい人が気になること
BIMオペレーターに関心があっても、一歩踏み出しきれない方もいます。
未経験や資格などに注目して、BIMオペレーターの気になることを解説します。
未経験でもBIMオペレーターになれるのか?
BIMオペレーターは、未経験でも就職可能です。
BIMオペレーター自体の求人は、転職サイトをのぞくと多数あり、その中には未経験歓迎と記載のある求人もあります。
未経験者でも需要があることに間違いありませんが、誰でもBIMオペレーターとして採用してもらえるわけではありません。
BIMの実務はなくても、BIMに関する資格や知識をもっている人材の方が、圧倒的に有利です。
育成コストの小さい人材の方が、早く実務に取り組めるため、企業としては望ましい人材と言えるでしょう。
BIMオペレーターは、未経験でも就業可能ですが、希望はすべて通らない可能性もあります。
資格がないとBIMオペレーターにはなれないのか?
BIMには、Autodesk Revit Architectureユーザ試験や、一般社団法人日本BIM協会のBIM資格認定試験があり、BIMに関する資格を取得できますが、BIMオペレーターとして勤務する条件ではありません。
資格の取得は、知識や熱意の証明書として、就職の際に利用すると良いでしょう。
BIMオペレーターについては、資格の有無の他に、BIMを操作した実務経験やBIMを動かせる知識の有無が、アピールポイントになります。
BIMオペレーターになるためには?
未経験者がBIMオペレーターになるには、育成コストが少なく、即戦力になり得る人材と認識してもらうことがポイントです。
アピールするには、BIMの資格の取得やスクールの活用が挙げられます。
BIMは、国土交通省が導入を推し進めているため、BIMを操作できる人材の需要は、高いと言われています。
また、BIMは出戻りの防止など、建築プロジェクトのコストカットにもつながります。
政府の積極的な導入姿勢や、コスト削減にも貢献するBIMオペレーターの将来性は、良好のようです。
将来的には、中小企業においてもBIM採用が浸透する可能性もあるため、活躍できる場は、増加すると考えられます。
まとめ
BIMオペレーターは、三次元デジタルモデルを用いて、建物の設計から維持管理まで行えるBIMソフトを操作する職業です。
BIMを操れる人材は建設業界でも需要がありますが、ご興味ある方は「発注者支援業務」もおすすめです。
発注者支援業務も需要が高く、活躍の範囲を広げられる可能性が高まります。
発注者支援業務とは?仕事内容と必要な資格やスキルまで詳しく解説します