Construction column
施工管理の離職率は?離職する要因や離職率が低い職場の特徴・探し方も紹介
2024.9.13
施工管理の離職率は5〜10%程度と、他の職種よりやや低めだと考えられています。
しかし、早期離職率が高いこと、参入者が少ないことから人手不足の状態になっています。
施工管理において離職率を上げる要因としては、どのようなものがあるでしょうか。
また、離職率の低い職場を探すためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。
「施工管理に興味はあるけれど、仕事がきつくてすぐに離職してしまうのではないだろうか」、「施工管理に転職したいので、ホワイト企業の見分け方が知りたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事のポイント
- 施工管理や建設業の離職率について
- 施工管理の離職率を高める要因
- 離職率の低い職場の特徴と見極め方
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目次
データで読み解く建設業の離職率
施工管理の離職率について正確なデータはありませんが、おおよそ1級施工管理技士で5%、2級施工管理技士で10%といわれています。
施工管理技士の資格所有者は業界内でも中堅以上になっており、責任ある地位についているためか、離職率は低めです。
それでは、建設業全体の離職率はどの程度なのでしょうか。
厚生労働省のデータをもとに読み解いていきましょう。
建設業における離職率
建設業全体における離職率は令和4年で10.5%となっています。
しかし、建設業は入職率が8.1%と低いことから超過率は-2.4%と、人手不足の状態になっていることが分かります。
建設業は離職率が高いというより、そもそも入職者が少ない、すなわち建設業に就業したい人が少ないといえるでしょう。
※建設業以外は入職者数70万人以上の産業を抜粋。
※グラフ内の数字は入職超過率。
建設業における早期離職率
続いて、新卒社員における就職後3年以内の離職(早期離職)の割合を見てみましょう。
小売業や宿泊業・飲食サービス業と比較すると離職率は低いものの、比較されることの多い製造業より離職率は高めです。
特に高卒の離職率が全産業の平均を上回っていることから、特に若年層において理想と現実のギャップが起きやすい業種だといえるでしょう。
※令和2年3月卒の就職者が3年以内に離職した割合
※建設業以外は上記産業別離職率・入職率で取り上げた産業を抜粋。
施工管理の離職率を高める要因
施工管理の離職率は高くはないものの、入職者に対して離職者が多く、人手不足の状態になっています。
その要因としては、長時間労働を余儀なくされる体力仕事であること、人間関係や責任の重さに悩むことが多いことが考えられます。
施工管理の離職率を高める要因を、以下に詳しくご紹介しましょう。
労働時間が長い
建設業、中でも施工管理は長時間労働になる傾向にあります。
施工管理は工事の管理に加え、膨大な事務処理も重要な業務です。
日中は現場を巡回して工事が滞りなく進んでいるかを確認し、工事が終わった夜間に打ち合わせや書類作成などを行わなくてはなりません。
悪天候やトラブルによって工事が遅延した場合は、休日出勤を余儀なくされることもあります。
結果として施工管理の労働時間は長くなり、ワークライフバランスが保てない、体調を崩したといった理由から離職を選ぶ人もいます。
人間関係のストレス
施工管理は人間関係で悩むことも多い仕事です。
工事現場では職人たちが安全に、正しい工法で作業を進められるよう指示をしなくてはなりません。
職人に怒鳴られたり、若いからと軽視されたりしてしまうこともあります。
また、クライアントと現場の板ばさみになったり、近隣住民から騒音などの苦情が来たりすることも珍しくありません。
人間関係でのトラブルを苦にして離職してしまう人も少なくないでしょう。
責任が重い
施工管理は現場監督として工事が滞りなく進行するよう管理をする、責任の重い仕事です。
工期中には現場での事故や工期の遅れ、資材不足などさまざまなトラブルが起こります。
トラブルが起こらないよう、安全管理や工程管理をしっかりしなくてはなりません。
それでもトラブルが発生してしまった時には、責任者として解決に向けて動く必要があります。
時には休憩時間や休日にも呼び出されることもあり、ゆっくり休めません。
責任者としてのプレッシャーに耐え切れず、離職してしまうケースもあります。
業務量に給与が見合っていない
施工管理は業務量に給与が見合っていない仕事であるといわれています。
施工管理の平均給与は平均624万円、20代でも477万円と、決して低くはありません。
しかし、労働時間が長くて責任が重い割に給与が低く、報われないと感じる人も多いようです。
特に「ワークライフバランス」という言葉が一般的になった現在では、余暇を楽しむ時間の確保を重要視する人も増えています。
結果として、より条件の良い職種に転職してしまうこともあります。
施工管理の年収についての詳しい情報は、以下の記事でお読みください。
教育体制が整っていない
教育体制が整っておらず、仕事に必要な学びを得られないという点も施工管理における離職事由になります。
施工管理は常に人手不足の状態にあることから、未経験で入社した場合OJTで知識や技術を培わなくてはなりません。
落ち着いて指導してもらう時間が取れないため、自信を持てないまま仕事をしなければならないこともあるでしょう。
特に若年層は仕事に自己実現を求めていることが多く、「この職場は自分を大事に育ててくれない」、「成長できる環境ではない」と考えて辞めてしまう場合があります。
施工管理を辞めたい理由については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
施工管理の離職率が低い職場の特徴
施工管理は心身ともに負担の大きい仕事です。
離職率の低いホワイト企業を選ぶことで、良好な労働環境の中で安心して働けます。
離職率が低い職場の特徴としては、以下のようなものがあります。
企業の規模が大きい
企業の規模が大きいほど、離職率は低くなる傾向にあります。
※令和2年3月卒の就職者が3年以内に離職した割合
理由としては、大企業であるほど
・給与水準が高い
・福利厚生が充実している
・教育体制が整っている
・人材が充足しており業務負担が比較的小さい
など、労働環境が良い傾向にあるからだと考えられます。
もちろん、大企業であればホワイト企業であるとは限りませんが、一つの目安にはなるでしょう。
働き方改革を進めている
現在、建設業は官民一体となった働き方改革が行われており、週休2日制の導入や長時間労働の規制が進められています。
しかし、人手不足が慢性化している施工管理では、一人当たりの業務量が多く、働き方改革が浸透していない企業も少なくありません。
企業の求人情報から、完全週休2日制が整備されているか、時間外労働の上限は決められているかという点をチェックしましょう。
建設業における働き方改革については、以下の記事でも詳しくご紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業は、もっと働きやすくなる!時間外残業規制や国土交通省の取組を解説
福利厚生が整っている
福利厚生が整っている企業は労働環境も良いことから、離職率が低い傾向にあります。
福利厚生の例としては以下のようなものがあります。
・社会保険への加入
・年金制度
・各種休暇制度
・保養施設の利用
年齢層の幅が広い
社員の年齢層が幅広い企業は、ホワイトである可能性が高くなります。
どの年代にとっても働きやすい企業である証明になるためです。
一方で高齢の社員が多い企業は、若年層が定着しづらい環境である恐れも。
逆に若い年代の多い企業はベテランによる教育を受けづらく、思うようにスキルアップできないかもしれません。
企業の年齢構成を確認し、ベテランから若手までバランス良く所属しているところを選びましょう。
DX化が進んでいる
DX化が進んでいる企業は離職率が低くなると考えられます。
DXとは、業務にデジタル技術を取り入れ、革新的な業務効率化を図る試みです。
施工管理においてはドローンによる建設現場の写真撮影や、クラウドを用いたデータの共有などが挙げられます。
DX化によって現場管理や事務作業の負担が軽減されることから、労働環境が是正されると期待されます。
また、DX化を積極的に進める企業は、労働環境の改善や業務効率化に取り組む姿勢がある、つまり社員を大事にする姿勢があると評価できるでしょう。
建設DXについては以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
建設DXで着目すべきポイントや国の取り組みについて解説します
教育体制が整っている
教育体制が整っている企業は、離職率が低いホワイト企業である可能性が高まります。
特に新卒社員や未経験者を対象とした新人研修を行っていると、企業への愛着や仕事への理解度が増し、離職率が下がることが期待できるでしょう。
建設会社では「安全大会」を行い、安全に対する意識を高める教育をすることもあります。
現場の安全管理も施工管理の重要な仕事です。
安全大会への参加は、仕事の質向上のために役立つでしょう。
会社説明会や面接で、研修や教育内容・頻度や、安全大会の開催について聞いてみると、その企業がどれだけ社員の育成に力を入れているかを推し量れます。
施工管理のホワイト企業の特徴を以下の記事でご紹介しています。併せてお読みください。
施工管理の離職率が低い職場を探す方法
施工管理は労働時間が長く、心身ともにきついというイメージがあります。
しかし、上記でご紹介したとおり、建設業の労働環境は年々改善傾向にあります。
就職先を慎重に選べば、良好な労働環境の中で長期的に働く上でスキルアップを目指すことも十分に可能です。
離職率の低い良質な企業を見極める方法を以下にご紹介します。
現場を直接見に行く
希望する企業の営業所を見に行くと企業の良し悪しが分かります。
夜の遅い時間まで明かりがついている事業所は、時間外労働が多い場合があるため要注意です。
また、工事を担当している現場が分かる場合は見に行ってみましょう。
あちこちに資材や道具が散らばっている乱雑な状態であったり、怒号が飛んでいたりする場合は、労働環境が悪い恐れがあります。
インターネットや資料で調べる
離職率の低いホワイト企業を探すためには、資料やサイトを活用することも重要です。
特に役立つ情報源としては、以下のようなものがあります。
就職四季報
新卒者の就職活動に利用される企業情報本です。
残業状況や有給休暇取得の状況、3年後の新卒定着率といった情報が企業別に掲載されています。
「優良・中堅企業版」では、総合版に掲載されていない中小企業も掲載されており、規模は小さいものの優良な企業の情報を得られます。
(総合版2025‐2026の価格。優良・中堅企業版も同額)
有価証券報告書
上場企業が開示する企業情報で、インターネットで簡単に検索可能です。
例えば、「東日本高速道路株式会社 有価証券報告書」で検索すると、ネクスコ東日本の有価証券報告書を閲覧できます。
従業員数や平均年齢、平均勤続年数、男性労働者の育児休暇取得率など、労働環境を知る上での重要な情報が得られます。
インターネットで簡単に検索できますが、上場企業しか調べられない点は注意が必要です。
労働基準関係法令違反に係る公表事案
厚生労働省が発表している「労働基準関係法令違反に係る公表事案」も、企業の良し悪しを判断する上で貴重な情報源になります。
リストには企業名と所在地、違反法条、事案概要などが記されています。
転職を検討している企業が掲載されていないかを確認すると良いでしょう。
また、「一般社団法人セルフキャリアデザイン協会」では、労働基準関係法令違反に係る公表事案の内容を、『労働基準関係法令違反に係る公表事案企業検索サイト』として情報提供しています。
リストに掲載された要注意企業を、エリアや公表日別で検索することが可能です。
出典:労働基準関係法令違反に係る公表事案(令和5年8月1日~令和6年7月31日公表分)
転職サイトの口コミ情報
転職サイトには、現役社員や退社した社員が投稿している口コミがあります。
実際に働いた経験のある社員からリアルな意見を聞ける点がメリットです。
ただし、匿名性が高く信憑性の薄い情報が含まれていることがあるため、あくまで参考程度にとどめておきましょう。
専門家の意見を聞く
専門家の意見を聞きながら転職先を選ぶのも一つの選択肢です。
特に他業種から施工管理に転職する場合、建設業界の常識や採用トレンドがつかめないことがあります。
建設分野に詳しい転職エージェントや転職サポートサービスにアドバイスをもらうことで、優良な企業を見極められます。
専門家によっては、志望動機の書き方や面接対策のアドバイスをしてくれる点もメリットです。
転職活動をする上で心強い味方になってくれることでしょう。
まとめ|施工管理で離職率の低い職場を探すならMACにご相談ください
施工管理の離職率と離職の要因、離職率の低い職場を選ぶ方法をご紹介しました。
施工管理の離職率は平均並とはいえ、心身ともに負担の大きい仕事であることから、離職を選択する人も少なくありません。
離職率の低い職場を選ぶためには、情報誌やインターネットから情報を集め、慎重に検討する必要があります。
「良い企業の見分け方が分からない」、「転職活動が不安」という場合は、専門家の力を借りると良いでしょう。
建設業界に詳しい専門家であれば、希望する労働条件やエリアに合わせて、良質な企業を提案してくれるはずです。
当社MACでは、施工管理に転職を考えている方のサポートを行っています。
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