Construction column
施工管理を辞めたい理由と続ける理由、辞めるべきサイン5選
2024.6.26
施工管理の仕事は、やりがいを感じる人がいる一方で、精神的にも肉体的にもハードで長く続かない人も少なくありません。
平均より年収が高くなる業界なので頑張って続けるべきか、辞めることを視野に転職活動を開始すべきか、自分で判断できず迷っている方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、施工管理を辞めたい理由と続ける理由、迷わずやめた方がいいサイン、辞めたいと思ったときに取るべき行動を解説します。
自分の進路に迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- 施工管理を辞めたい理由
- 施工管理を続ける理由、やりがい
- 施工管理を辞めるべきサイン
- 施工管理を辞めたいと思ったときに取るべき行動
目次
施工管理を辞めたい理由5選
施工管理の求人を見ると、ほかの業界に比べて月収がかなり高く、福利厚生なども悪くないように見えます。
実際、令和5年9月に発表された、国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」を見ると、日本人の平均年収458万円に対し、建設業の平均年収は529万円とかなり高めです。
では、それほどの高収入の仕事から離職するのはなぜなのでしょうか。
1.仕事量が多く、処理しきれない
「激務の毎日に終わりが見えず辛い」と言って辞めてしまうのが、一番よくみられる離職の原因です。
現場の一日は朝8時のラジオ体操から始まります。
施工管理はそれより早く、7時には現場に到着、その日のスケジュール確認や事務作業に入るケースが大半です。
8時以降の現場の作業中は、管理・監督業務に集中します。
17時に現場作業の終了時刻をむかえ、職人は帰宅しますが、施工管理はここからが勝負です。
事務所に戻って、昼間に撮影した品質管理用の膨大な写真の整理、書類や報告書の作成、作業工程の調整などを行います。
納期遅れなどのトラブルもしばしば起こり、仕事が終わらないまま帰宅する日も珍しくありません。
2.残業・休日出勤が多い
建設業界は基本的に土曜も出勤、日曜祝日が休みです。
周りの友人が週2回の休みを謳歌しているときに自分は出勤。
週に1度の休みはくたびれ果てて自宅でぐったりしてしまいます。
「プライベートを犠牲にして、何のために働いているのか分からなくなって辞めた」という意見も多くみられます。
3.人間関係でストレスがたまる
「ひと癖もふた癖もある職人とはうまくいかなくて当たり前」と割り切れず、全く違う業界に転職したという話もよく聞きます。
施工管理の仕事は、現場を総合的に見るので広く浅い知識をもちます。
一方、各現場にいる職人は、狭く深い知識があるため、一つの工程に関する知識量はとうてい及びません。
したがって、経験の浅い施工管理の場合、きつい言葉をかけられたり、忙しいときには怒鳴られたりすることもあるようです。
自分より知識も経験も上、さらに30年以上の経験を積んだ年上の職人に指示するのは、相当なコミュニケーション能力がないと難しいでしょう。
4.業務量と給料が見合わない
夕方、現場から事務所に戻り、そこから延々とデスクワークする日々。
激務なだけではなく、週休1日です。
いくら施工管理はほかの業界と比べると収入が良いと言われても、実際の業務量を考えると決して高収入だと感じないかもしれません。
5.家庭を犠牲にしている
独身なら残業が多くても耐えられるかもしれませんが、家族がいるとそうはいきません。
最初は家族の理解を得られても、家には寝に帰るだけの生活が続くと、自分もパートナーも不満が溜まるのは時間の問題です。
子どもがいるとなおさらです。
もっと家族と一緒に過ごせる仕事に就いて、家庭と仕事のバランスをとれる仕事を望むのは当然でしょう。
施工管理を続ける理由、やりがい5選
きついことばかりを述べましたが、施工管理の仕事にやりがいを感じ、楽しく働いている人がいるのも事実です。
では、どんな時にやりがいを感じ、きつい仕事を継続できるのでしょうか。
1.完成して達成感が得られた時
施工管理の仕事は、どの現場でも必ず終わりが来ます。
自分が携わった建設プロジェクトが完了し、達成感を得る経験は、完了まで関わった工事があれば誰もが味わったことがあると思います。
施工中はあれほどきつかった職人が満足そうに声をかけてくれたり、施主の喜ぶ顔を見たりして、疲れが癒されたという意見もありました。
2.難しい人と信頼関係を築けた時
建設現場は、良くも悪くも期間限定の人間関係です。
また、若手の施工管理は長く続かないケースが多いことから、職人は歩み寄ってくれるどころかぶっきらぼうでとっつきづらい場合がほとんどかもしれません。
それでも、一つの現場が完了するころには施工管理として必ず一回りも二回りも成長しています。
今までやりづらいと思っていた職人に別れを惜しまれて、信頼関係ができていたことに気が付いたという話もよくあることです。
3.地図に載った時
工期が長く、規模が大きい仕事ほど、完成する建築物も大きくなります。
地図を書き変えるほどの大きな仕事を完了した時は、感動し、誇らしく思うでしょう。
関わった人だけでなく、その家族にとっても自慢できる仕事であることは間違いありません。
4.スキルアップして昇給した時
自分では意識していなくても、一つの現場が終わるころには毎回成長しているのが若手の施工管理の特徴です。
計画通りに進まないことは頻繁に起こりますが、一つずつ乗り越えることで着実にスキルアップしていきます。
経験を積めば積むほど、いい意味で力が抜けて、精神的な負担も軽くなります。
2022年3月から、国土交通省と建設業団体は、技能労働者の賃金の約3%引き上げを目指すことを合意しました。
2024年3月は、国土交通省から建設業界に5%を上回る賃上げを要請しています。
定期昇給だけでなく、業界全体のベースアップ、スキルアップによる昇給など、昇給の機会は多い職種です。
昇給は、自分の評価が上がったことをはっきり認識できるので「頑張って良かった」と思う瞬間と言えます。
価値提供・社会貢献ができた時
自分の造り上げたものが、これから何十年にもわたって誰かの役に立つのは感慨深いものです。
公共施設なら、新聞やニュースに取り上げられたり、本や雑誌に掲載されたりすることもあるでしょう。
戸建てやマンションなら、施主の一生を左右する大切な空間を作ることになります。
施工管理は責任が重い仕事だからこそ、完成したときの喜びも大きく、達成感や満足感を得られる仕事です。
以下のコラムでも、施工管理の楽しさときつさについて深掘りしています。ぜひ参考にしてみてください。
施工管理の楽しい点8選|施工管理のきついところも一緒に解説します。
施工管理を辞めるべき・辞めた方がいいサイン5選
施工管理を目指す人は、真面目で責任感が強く、向上心の高い人が多い印象です。
さぼることや休むことに罪悪感をもってしまうので、ストレスに押しつぶされて燃え尽きてしまう人も少なくありません。
過労で倒れてしまう可能性が大きいなら、自分のために退職を選択してください。
一般的に、退職したほうがいい会社の特徴は次のとおりです。
1.心身に異常が出ている
ストレスが限界に達すると以下の症状が現れます。
・疲れが取れない
・集中できない
・やる気が起きない
・疲れているのに眠れない
・体重が急に減った、急に増えた
この状態が続くと、うつ病や摂食障害、胃潰瘍など心と体の異変につながることがあります。
辞めることを真剣に考えた方がいいかもしれません。
2.時間外労働が月45時間を超える月が多い
実際、施工管理の残業時間は月45時間どころではありません。
2020年に日本建設産業職員労働組合協議会が発表した「2019時短アンケートの概要」によると、建設業は他の産業に比べて残業時間が3倍も多いとされています。
もちろん改善の動きはありますが、産業構造からみて直ちに働き方を変えるのは困難です。
既に体力の限界を感じている場合は、転職を視野に入れたほうがいいでしょう。
3.パワハラがひどく現場が変わっても改善が見込めない
建設現場は、工事の完了とともにメンバーが変わり、人間関係がリセットされます。
しかし、社内の上司から業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を受けたら、指導ではなくパワハラに該当します。
パワハラを受けたら、人事や総務、社内の相談窓口に相談した後、各都道府県の労働局などの相談窓口に連絡するのが一般的な流れです。
ただ、直接戦うのが難しい場合は、早々に転職したほうがダメージは少なくすみます。
4.モチベーションが湧かない
入社する時に面接で語ったことを思い出してみてください。
その時に考えていた将来像は、数年後に手に入りそうでしょうか。
・現在の延長線上に希望の未来が見えない
・日曜の午後が憂鬱でしかたない
・常に何もしたくない
これらに当てはまる場合は、職場を変えることを検討しましょう。
5.努力が評価されない
毎日朝から晩まで施工管理として休まず勤務しているだけで、すでに十分頑張っています。
しかし、上司からの期待値が高い場合や、できて当然と思われるなど、努力が報われず何のために働いているのかわからない人も多いかもしれません。
自分の努力が正しく評価されない原因が会社にある場合は、環境を変えるのも一つの手です。
施工管理の仕事は転職率が高く、経験者は優遇される傾向にあります。
自分の能力を発揮できる職場に転職することで人間関係だけでなくや待遇面でも大きく改善したケースはよく見られます。
次のコラムでは、向いていない人の特徴と仕事をうまくやるコツを解説しています。
施工管理を辞めたいと思った時に取るべき行動3選
今の環境を変えることを決めた場合は、まず、施工管理を辞めたいのか、会社を辞めたいのか、じっくり考えましょう。
仕事は好きだけど人間関係がうまくいかなかった人が、同業種に転職することで花開くことは珍しくありません。
さっそく、次のステップで転職を具体的に検討してみましょう。
1.悩みとなる問題点を明らかにする
辞める原因が人間関係の場合は、収入を維持するために施工管理への転職を考慮に入れるのも一つです。
会社の規模や建設現場の規模を変えることで、業務がしやすくなるだけでなく、年収アップも見込めるケースは多く見られます。
辞める原因が残業や休日出勤の場合は、経験を活かせる発注者支援業務への転職がおすすめです。
発注者支援業務は、発注機関の勤務形態に準拠する働き方を求められているため、残業は少なく、年間休日の多い職場ばかりです。
2.退職のスケジュールを考える
一つの現場が終わるタイミングで退職するのがベストですが、それまで頑張れない方も多いと思います。
自分の代わりがいるのか、引継ぎ期間がどの位必要なのかによって退職する時期は変わりますが、余裕をもって上司に意思表示すると円満に退職できます。
2~3カ月前に上司に退職を伝え、業務の引継ぎを開始、1ヵ月前に退職願を提出といいでしょう。
3.実際に行動する
無収入の離職期間を短くしたければ、辞める前に次の仕事を決めておきたいところです。
上司に辞めることを伝えたら、転職サイトで希望の職種や収入を調べてみましょう。
異業種へ転職したい場合は、施工管理の経験を活かせる建設営業やインフラエンジニア、技術系公務員がおすすめです。
また、週休2日で発注者側の立場で建設に携われる発注者支援業務は、施工管理の経験を活かしながらも働き方が楽になります。
こちらの記事で、発注者支援業務のメリットや働く上でのポイントを解説しているので、参考にしてみてください。
発注者支援業務のメリットは?働く上での重要ポイントもまとめました!
まとめ:施工管理を辞めたいと考えている場合はMACに一度ご相談ください!
常に人手不足が叫ばれている建設業界ですが、厚生労働省の「令和4年 雇用動向調査」によると、1年間の建設業の離職率は10.5%です。
離職率1位の宿泊業・飲食サービス業26.8%と比較すると高い数字ではありません。
対象の16業種の中でも建設業は12番目、どちらかというと安定している方です。
ただ、建設業全体で見ると安定していても、施工管理は別です。
「きついからやめとけ」と身内に反対されながらこの業界に入った人も多いことでしょう。
辞めたくても無理して頑張りたいという気持ちも大切ですが、頑張りすぎて精神的にも肉体的にもまいってしまう前に環境を変えることを考えてみてください。
当社MACでは、国土交通省、NEXCO、都道府県などの発注者支援業務を紹介しています。
以下のリンクからLINEにて無料相談が可能なので、ぜひお問い合わせください。