Construction column
積算技術業務とは?どんな業務なのか解説します
2023.3.17
これから工事を行うにあたって必要になるのが、1回の工事でどのくらいの材料が必要なのか、どのくらいの費用がかかるのかを算出することです。
あらかじめどのくらいの費用がかかるのか計算することによって、予算を組むことができます。その算出を行うのが積算技術業務であり、工事を請け負う職種に必要不可欠な業務となっています。
それでは、積算技術業務とは何か、どんな業務内容なのか、積算技術業務を行う時の注意点、建築積算士についてご説明しましょう。
目次
積算技術業務とは?
積算技術業務とは、工事を進める上で必要になる材料や作業員、専用機材などを初めとする全ての費用を算出し、発注者が行っている工事予定価格を算出する際に必要な基礎資料を作成して提供する業務です。
全ての費用から工事予定価格を算出する際に必要な基礎資料を作成するために、工事全体のスケジュールや仮設工所の詳細などを協議し、工事現場の状況を確認して積算に必要な情報を集めなければなりません。
実質的に工事計画の初期段階から参加する重要な業務であり、同時に工事内容や工事を行うために必要となる労務や機材をまとめて換算しなければならないため、かなりの業務量になるでしょう。
積算とは?
積算技術業務における積算とは建築工事における費用を算出することで、主に人材や材料費、工事費用の算出、金額の設定、価格交渉を行う役割を持っています。
人材や材料費に関する業務なら、工事に必要な材料や作業員の人件費など、工事を完了させるまでにかかる費用の全てを算出します。
その他に工事にかかる全ての諸経費を洗い出してまとめなければならないため、設計図書や仕様書を読み解く必要もあるのがポイントです。
金額の設定とは、1回の建設工事で得られる利益のことで、積算技術業務の担当者はお金の管理を一括して行う役割も持っています。
価格交渉に関する業務の場合、材料を扱う業者や設備工事を請け負う業者と価格交渉を行うことにより、より多くの利益が得られるようにするのが目的です。もちろんお互いに利益が得られるようにしなければならないので、交渉力が求められるでしょう。
積算技術業務の内容
積算技術業務の主な業務内容は、以下の通りです。
・工事内容の打ち合わせ
・積算に必要な現地調査を行う
・工事発注図面と数量総括表の作成
・積算資料を作成する
・積算システムに積算データを入力する
・成果物を提出する
それでは、積算技術業務の主な業務内容についてご説明しましょう。
工事内容の打ち合わせ
最初に工事内容の打ち合わせを行うことで、業務に必要な設計成果品や工事計画案、仮の設計画、特記仕様書を貸し与えられることになります。
複数の工事を行う場合は、まとめて打ち合わせを行う場合もあります。
積算に必要な現地調査を行う
次に、積算に必要な現地調査を行います。
事前に現地調査を行う必要性があるか協議を行い、現地調査を行う許可を得なければなりません。現地調査を行った上で調査職員に調査結果をまとめた書類を提出し、積算に必要な現場条件の承諾をもらいます。
工事発注図面と数量総括表の作成
次に受注者は設計成果等の貸し与えられた資料を基に、工事設計書に必要な加工や追加などを行い、工事発注図面と数量統括表を作成します。
積算資料を作成する
次に積算に必要なシステム入力データなどの諸数値の算定を行います。
工事を施行するために必要な工程計画案、仮の設計画、特記仕様書の内容の確認と修正を行い、使用する材料や施工方法などの条件を洗い出し、整理を行っていきます。
積算システムに積算データを入力する
次に土木工事標準積算基準書などの積算基準類や、上記の工程業務の結果を基に、積算システムに積算データを入力します。
その結果をUSBなどを初めとする記録媒体に保存して発注者に提出します。
成果物を提出する
最後に工事発注図面と数量総括表、積算資料、積算データ、打ち合わせ記録簿を発注者に提出します。
なお、業務が完了する前でも指定された期日までに提出しなければならないので注意しましょう。
積算技術業務を行う時の注意点
積算技術業務を行う時の注意点は、以下の通りです。
・設計成果品の内容を把握する
・関連工事の内容を把握する
・新技術や特許工法等を把握する
それでは、積算技術業務を行う時の注意点についてご説明しましょう。
設計成果品の内容を把握する
積算技術業務を行う受注者は、発注者から貸し与えられた設計成果品の内容を把握しなければなりません。
ただ把握するのではなく、設計成果品から読み取れる設計思想や留意事項、その他必要事項を隅々まで把握して業務を遂行するようにしましょう。
関連工事の内容を把握する
積算技術業務を行う受注者は、発注者から積算と密接に関連する工事を行うことを指示を受けた場合、その積算にかかる条件を把握しなければなりません。
新技術や特許工法等を把握する
事前に新技術や特許工法などが指定されている場合は、作成する工事発注図面、または特許仕様書などに指定された新技術や特許工法を明示し、その積算にかかる条件などを反映させなければなりません。
積算技術業務を行うなら建築積算士がおすすめ
積算技術業務を行うなら、建築積算士の資格を取得するのがおすすめです。
建築積算士とは激務となる積算技術にかかわる高度な技術を持つ人として認められたスペシャリストです。
この資格を取得することは就職や転職に有利になる上に、年収アップも期待できます。また、企業側にとっても建築積算士を雇用するメリットがあります。
それは、公共工事の入札を行う際に建築積算士の資格を取得している人材を雇用していることが基準の一つになっているため、建築積算士の資格を取得していた方が有利になるのです。
建築積算士の資格を取得する際の難易度はそこまで高くないとされていますが、実技試験に関しては計算の正確性が求められるので想像以上に難易度が高いと言えるでしょう。
積算技術業務に求められるスキル
積算技術業務に求められるスキルは、以下の通りです。
・計算力
・豊富な知識
・コミュニケーション能力
それでは、積算技術業務に求められるスキルについてご説明しましょう。
計算力
積算業務技術において最も重要なスキルは、常に正確な計算ができるかどうかです。
積算技術業務によって算出された内容を基に金額が決まるため、ここで計算が間違っていると不利益を被ったり、本来なら利益になるところが大した利益にならなかったりとデメリットしかありません。
工事内容の全てを把握しないと正確な計算ができないため、激務だと言われています。連続で計算することになったとしても根気良く正確な計算ができる能力が必要です。
豊富な知識
積算技術業務において正確な計算を行うには、材料の種類や仕様、設計図書、仕様書を読み解いたり、様々な工法や工事過程などの豊富な知識が必要です。
最初に入念な計算を行っていたとしても、実際の建築現場で作業工程が増えたり不具合が発生したりする可能性があるため、どんな状況においても計算できるように豊富な知識が求められます。
コミュニケーション能力
積算技術業務を行うにあたって、コミュニケーション能力も求められます。
建設に関係する人や業者との価格交渉、設計者に材料の特定や不明な点を聞くなど、多くの人とコミュニケーションを取る場面が多くあります。積極的にコミュニケーションを取らないと分からないことが多いため、コミュニケーション能力を身に付ける必要性があるでしょう。
まとめ
積算技術業務は工事に関連する費用の全てを把握した上で正確に計算しなければならないため、非常に忙しい業務だと言えるでしょう。
豊富な知識やコミュニケーション能力が求められるので建築積算士の資格を取得しても、勉強に励む日々が続きます。
しかし、積算技術業務が遂行できるだけの技術や知識があれば発注者支援業務でも活躍できるため、興味がある人は資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。