NEXCOの管理技術者の業務内容は?通常の技術者との違いはあるの?という疑問にお答えします
- NEXCO
他の仕事と同様に発注者支援業務も発注者が違えば、当然ながら、その業務内容にも違いが生じます。
発注者支援業務の発注者として、国土交通省に次いで発注量が多いのがNEXCOです。
NEXCOと国土交通省やその他の発注者の発注者支援業務には、何か違いがあるのでしょうか?
本コラムでは、NEXCOの管理技術者の業務やで他の技術者との違いを解説します。
目次
管理技術者とは
管理技術者とは、建設プロジェクトにおける現場の技術水準を確保するために配置される技術者です。
具体的な業務としては、工事の品質確保を優先に、工事の進行管理、安全管理、コスト管理、下請けの指導監督などを行います。
さらに管理技術者は、工事の最初から最後まで、つまり施行計画の策定段階から参加し、施行全体の流れを監督しなくてはいけません。
そのため、工事全体の流れを理解し、各工程における必要な作業や技術を把握し、それらをうまく調整する能力が求められます。
また、管理技術者は、施工業者やクライアント、関係各所とのコミュニケーションを円滑に行う役割も果たすため、工事の進行状況や問題点、解決方法などを明確に伝える能力が必要です。
管理技術者は、工事請負額が1件あたり4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上の場合に配置するように規定されています。
NEXCOの管理技術者と通常の技術者に違いはあるのか
コラム冒頭で、発注者支援業務において発注者が違うと業務内容も変わると述べました。
国土交通省に次いで発注量が多いNEXCOの管理技術者と、通常の技術者との間にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、NEXCOの管理技術者と通常の技術者についての違いを解説します。
実は大きな違いはない
結論から言ってしまうと、NEXCOの管理技術者と通常の技術者との間には大きな違いはありません。
基本的には、管理技術者の役割である下記の5つを行います。
- 施工計画を策定し実行する
- 工事の工程管理を行う
- 工事の品質管理を行う
- 工事の安全管理を行う
- 下請けの指導監督を行う
ちなみに、「施行計画を策定し実行する」場合には、5つの項目を検討しなくてはいけません。
- 工事の目的や内容、契約条件等を把握する
- 現場の条件の検討
- 基本工程の検討
- 施行方法の検討
- 仮設備の選択や配置についての検討
つまり管理技術者は、基本的には勤務先の業務とあわせて、現場での業務を行うことになります。
積算業務・監督業務に加えて調査業務・設計業務も含まれる
大きな違いはないものの、NEXCOの管理技術者の業務には、通常の技術者の業務とは異なる点が存在します。
それは、通常の技術者の業務は工事監督業務を担当しますが、NEXCOの管理技術者は、積算業務、調査業務、設計業務も担当します。
NEXCOの管理技術者は、単純に考えて調査・設計・積算・監督と4つの業務を行うため、その業務範囲は広範なものになるのです。
管理技術者は、管理者という工事全体の工程や進捗、安全、調整などを監督する立場のポジションです。
そのため、すべての分野の業務について精通している必要があると言えるでしょう。
ここで、なぜ発注者支援業務において管理技術者は必要なのかについて少し触れておきます。
発注者支援業務を行うチームにおいて、管理技術者を必ず1人は配置することとされています。
その理由は、発注者である国土交通省やNEXCOの職員は原則として、発注者支援業務に携わる人に仕事の指示を出してはいけないからです。
法律上、指揮命令の問題があるため、発注者は管理技術者にある程度のことを伝えるのみとされています。
このことから、発注者支援業務を行う際には、管理技術者の配置が必要となるのです。
NEXCOの管理技術者の担当案件数や業務割合
NEXCOの管理技術者は上述の通り、調査・設計・積算・監督業務を行う必要があるため、業務は広範かつ、業務量も多くなります。
業務量の多いNEXCOの管理技術者ですが、実際のところ、どれくらい担当案件を持っているのでしょうか。
また、調査・設計・積算・監督業務の割合はどのようになっているのか、気になっているのではないでしょうか。
ここでは、NEXCOの管理技術者が抱える担当案件の件数や、業務の割合について見ていきます。
担当案件数
実のところ、担当案件数は1つの事務所単位で受け持つことになります。その中で、発注支援業務のチームとして動いていると考えた方がイメージがしやすいでしょう。
特に技術員の数が多い事務所の場合、管理技術者個人が案件を持つということは、ほとんどありません。
担当する案件は事務所ごとに異なりますが、平均としては以下の通りです。
- 工事監督業務:3〜4件
- 調査業務 :1〜4件
- 設計業務 :1〜5件
おおよそではありますが、1事務所あたりの担当案件数は10件〜15件と言われています。
もちろん、その中には調査業務がまったくない代わりに、設計業務が多いという事務所もありますが、基本的にメインは工事監督業務と思っていただいて差し障りありません。
事務所によって変わってきますが、この案件を複数の管理技術者が管理を行い、発注者支援業務を進めていくのです。
ちなみに、積算業務や工事監督業務については臨場を行うのは想像がつくかと思いますが、調査や設計業務ではどうでしょうか。
調査業務においては、指示通りの作業が行われているかの確認に臨場することがありますが、設計業務に関しては臨場する機会は基本的にはありません。
調査・設計・積算・監督業務の割合
NEXCOの管理技術者が担当する案件数についてご理解いただけたところで、ここからは各業務の割合について解説します。
調査・設計・積算・監督業務と広範にわたる業務ですが、基本的には工事監督業務がほとんどを占めます。
発注者によってその業務に異なる点はあるものの、管理技術者は工事全体の品質を確保する業務です。
そのことからも、工事監督業務が大きな比重を占めるのは当然のことと言えます。
工事監督業務の次に多いのが積算業務となり、調査・設計業務が同じ程度の業務割合となるのが一般的です。
NEXCOの管理技術者の業務は、多岐に渡るため業務量が多くなりますが、主要な業務は通常の技術者と変わらず、工事監督業務なのです。
NEXCOの管理技術者になるのに経験年数はどれくらい必要か
一般的に管理技術者になるためには、2つの方法があります。
1つは、1級国家資格等(1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士など)を取得することで管理技術者になる方法。
もう1つが、一定の実務経験を積むことによって管理技術者になる方法です。
一定の実務経験は、学歴や保有資格によって異なりますが、国家資格を保有していない場合、最短で3年以上の実務経験があれば管理技術者になれます。
つまり、理論上はNEXCOの管理技術者には、3年以上の実務経験があればなることが可能です。
しかし、技術的な知識はもちろん、受注者とのコミュニケーション能力も必要となる仕事ですので、3年の経験で管理技術者になるのは難しいと言えます。
しっかりとした技術的な知識を持ち、ゼネコンなどの所長クラスの人と円滑なコミュニケーションが取れるようになるには、最低でも5年以上は実務経験が必要となるでしょう。
まとめ
一般的に管理技術者の仕事は工事監督業務がメインとなりますが、NEXCOの場合、その業務範囲は多岐にわたります。
そのため、技術的な知識も必要となり、一人前の管理技術者になるのはハードルが高いようにも感じられるでしょう。
しかし、NEXCOの監理技術者の仕事は、私たちの生活に直接影響のある社会インフラ整備という大きな建設プロジェクトに関わることになります。
多岐にわたる管理技術者の仕事は、大変ではありますが、大きな責任感をともなう、やりがいのある仕事なのです。
このように、発注者支援業務は、国や都道府県などの自治体や、官公庁などが発注する公共事業の発注業務をサポートする仕事です。
公務員と同じような年間休日や勤務時間など職場環境も整っており、安定的な仕事であることも魅力のひとつでしょう。
興味がある方は、国民の生活を支えるインフラ整備に関われる「発注者支援業務」の仕事に携わってみませんか。